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93 アイスタイム

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 心菜が先生の持つクーラーボックスを覗き込むと、中には3種類のアイスがあった。見覚えのあるマークは最近心菜の住む地域に進出してきた、某有名スイーツチェーン店のものだ。そして、そこのアイスは値段に不相応レベルに絶品で、たくさんの種類があることで有名だ。心菜は本当に悩んだ。どの種類のアイスも一応食べたことがなくて、どれも食べてみたかったのだ。だが、結局食べられる種類は1種類だけだ。

「じゃあ、このアイスをもらいますね」

 エスプレッソのコーヒー味チョコレートとバニラアイスのコラボレーションのプレミアムアイスを選択した心菜は、ほくほく顔で自分の席に戻っていく。

「さあ!残りはとったもん勝ち!!みなさん好きなものをとっていってください!!」
『わあああぁぁぁ!!』

 先生の元に生地たちが集まっていき、そして全員がほくほく顔でアイスを持って行った。『いただきます』と手を合わせると、心菜はぱくっと口付ける。ほろ苦いコーヒー味のチョコレートに、ふんわりと甘いバニラアイスがまさに完璧な調和を放っていて、心菜はご機嫌そうにルンルン揺れながらアイスをパクパクと食べ進める。

「あーあー、ご機嫌なことで。久遠、お前やっぱりチョコ好きなんだね」
「………立花はレモンにしたんだね、意外」
「俺はあっさりしたのが好きなんだよね~」

 レモンのガリガリアイスを食べながらやってきた立花に、心菜はむうっと頬を膨らませる。

「チョコレートほどこの世に美味しいものはないのに、………勿体無い」
「はいはい」

 適当に返事をした立花は、新谷の方にとてとてと歩いて行き、みんなと派手でいて元気にみんなで話し始める。

「………惚れた?」
「………………なんの話?ゆーなちゃん」
「そろそろ認めたら?」
「だーかーらー、なんの話?」

 ぺろっと最後の1種類、いちご味のパ○ムもどきを食べながら、優奈ははあーっとため息をこぼす。

「ここなっていっつも思うけど、肝心なところで鈍感で、それでいてお馬鹿ちゃんで、義理堅いよね。まあ、そんなところも可愛いし、好きなんだけど」

 ぱくっとアイスを全て食べ切った優奈は、じーっと狙うかのように心菜のアイスを見つめ続ける。心菜は優奈の視線を知らないふりをして、そしてアイスを黙々と食べ続ける。

(私に必要なのは“恋”じゃない。絶対的なーーー“友情”ーーー)

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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