109 / 144
108 教えてよ、
しおりを挟む
▫︎◇▫︎
優奈が素っ頓狂なことを言ってお勉強会を去った後、心菜は立花に送られて家に帰宅していた。帰宅中、なぜか彼の顔を見れなくてあたふたとしてしまった心菜は、部屋に戻ってすぐにお洋服を取ってお風呂に入った後、ベッドにダイブして枕に顔を押しつけて奇声を上げた。
「~~~ーーー………………!!」
(ゆーなちゃんの、ばかあああぁぁぁあああ!!)
どうして1人にしたのか、どうして心菜に何も言わずに、いつのまにか彼氏ができていたのか、心菜には優奈に聞きたいことがいっぱいあった。
だが、心菜には優奈への連絡手段がない。
「………こんなとき、メッセージアプリがあったらな………………」
3年目になる相棒のタブレットをベッドから起き上がって抱きしめたい心菜は、中学3年生にもなって入れてもらえないメッセージアプリに、ため息を落とす。
心菜の周囲の友人はみんな持っているメッセージアプリ。
けれど、心菜はそのアプリを持っていない。それどころか、心菜の相棒のタブレットは元々入っている検索アプリぐらいしか使用するものがない。それ以外の追加ダウンロードアプリなど、何も入っていないのだ。
「………ゆーなちゃんのばか」
口に出してみると余計にしっくり来る言葉を吐露しながら、心菜はタブレットを真っ白なお勉強机の上に置く。
「………立花のこと、本気だったくせに、なんで外で彼氏なんか作ったの?………ばかばかばかばか、………ばか」
ぽつぽつと呟いても、幼馴染もむうっとくちびるを尖らせたような表情が見えることもも、不機嫌そうでいて困ったような声が聞こえることも、ぎゅっと心菜のほっぺたを引っ張るような感覚もない。
ただ虚しい1人だけの空間。
その中で、心菜はただただ文句を1人愚痴り続ける。
「………どうして私に、立花を観察させたりしたの?
………どうして私に、感情を教えようとしているの?
………どうして私に、何にも相談してくれないの?
………わかんないよ、ゆーなちゃん。
………心菜、馬鹿だから、分かんないよ」
いつも心菜を正しいと思える道に導いてくれる優奈。彼女の読めない行動に、心菜はぐっと涙に濡れた視界をごしごしと擦りながら、ぎゅっとくちびるを噛み締める。
「………教えてよ、ゆーなちゃん」
********************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
優奈が素っ頓狂なことを言ってお勉強会を去った後、心菜は立花に送られて家に帰宅していた。帰宅中、なぜか彼の顔を見れなくてあたふたとしてしまった心菜は、部屋に戻ってすぐにお洋服を取ってお風呂に入った後、ベッドにダイブして枕に顔を押しつけて奇声を上げた。
「~~~ーーー………………!!」
(ゆーなちゃんの、ばかあああぁぁぁあああ!!)
どうして1人にしたのか、どうして心菜に何も言わずに、いつのまにか彼氏ができていたのか、心菜には優奈に聞きたいことがいっぱいあった。
だが、心菜には優奈への連絡手段がない。
「………こんなとき、メッセージアプリがあったらな………………」
3年目になる相棒のタブレットをベッドから起き上がって抱きしめたい心菜は、中学3年生にもなって入れてもらえないメッセージアプリに、ため息を落とす。
心菜の周囲の友人はみんな持っているメッセージアプリ。
けれど、心菜はそのアプリを持っていない。それどころか、心菜の相棒のタブレットは元々入っている検索アプリぐらいしか使用するものがない。それ以外の追加ダウンロードアプリなど、何も入っていないのだ。
「………ゆーなちゃんのばか」
口に出してみると余計にしっくり来る言葉を吐露しながら、心菜はタブレットを真っ白なお勉強机の上に置く。
「………立花のこと、本気だったくせに、なんで外で彼氏なんか作ったの?………ばかばかばかばか、………ばか」
ぽつぽつと呟いても、幼馴染もむうっとくちびるを尖らせたような表情が見えることもも、不機嫌そうでいて困ったような声が聞こえることも、ぎゅっと心菜のほっぺたを引っ張るような感覚もない。
ただ虚しい1人だけの空間。
その中で、心菜はただただ文句を1人愚痴り続ける。
「………どうして私に、立花を観察させたりしたの?
………どうして私に、感情を教えようとしているの?
………どうして私に、何にも相談してくれないの?
………わかんないよ、ゆーなちゃん。
………心菜、馬鹿だから、分かんないよ」
いつも心菜を正しいと思える道に導いてくれる優奈。彼女の読めない行動に、心菜はぐっと涙に濡れた視界をごしごしと擦りながら、ぎゅっとくちびるを噛み締める。
「………教えてよ、ゆーなちゃん」
********************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる