【完】ふむふむ成る程、わたくし、虐めてなどおりませんわよ?

桐生桜月姫

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結婚式①

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 ミルフィーユ・アフォガードは今日、結婚する。
 結局王妃という重責から逃げることはできなかったが、それでも自分を愛してくれる男との結婚なのだから文句はない。
 真っ白なロングトレーンのドレス繊細に編み込まれた裾が部屋を覆い尽くし、侍女たちがいそいそと忙しなく動き回ってミルフィーユの花嫁の準備を終わらせていく。
 ルイボスがいつも誉めて弄んでくる髪は複雑に編み込まれ、アメジストの瞳をきらきらと輝かせるような化粧が施される。
 ルイボスの嫉妬のせいで憧れていた肌を見せるドレスは着られないけれど、それでも彼が選んでくれたという理由だけでとても満足なのは、彼に毒されてしまったからなのだろうか。
 ミルフィーユはくるくると毛先をいじると、鏡に映る自分を見た。

(ルー君、綺麗ってちゃんと言ってくれるかしら?)

 杞憂な心配をしながらも、一生に1度の結婚式に向けて緊張を高めるミルフィーユは、お守りとしてずっと持ち歩いていた相棒たる眼鏡をわざわざこの場に持ってきてもらった宝石箱へと仕舞い込み、宝石箱に鍵をかけた。

 ーーーカチャン、
 ーーーカツカツカツカツ、

 そして、窓際へと歩みを進めた。
 準備を終えてほっとしている侍女たちは、不思議そうにミルフィーユのことを見つめた。

「さようなら、引っ込み思案なわたくし」

 ぽいっと鍵を投げ捨てると、ミルフィーユは寂しそうに微笑んだ。
 ミルフィーユの持ってきてもらった箱は歴代の瞳を隠すための魔道具たち、つまりミルフィーユの眼鏡を入れた箱だ。
 中には両親との思い出の品もある。けれど、ミルフィーユはそれを封じることに決めた。王妃はいつまでもウジウジしていられないのだ。

(またね、お父さま、お母さま)

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊
おこ様ご依頼の結婚式です!!
結婚式編はもう少し続きます!!

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