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「……さぁ?何故なのでしょうね。私にもさっぱりだわ。」
雅楽はまた無表情で平坦な声音に戻っていた。
「……質問には全て答えるのではなかったのか?」
「答えられる限り、ね……。」
また2人の押し問答が始まった。一切引く気のない一触即発のピリピリとした息の詰まる空気が書堂を満たした。
「「……。」」
大変長く感じられる静寂が僅かな時間“願い叶える『あやかし書堂』”に流れた。
「はぁ……。そなたは前世で何を犯したのだ?」
先に沈黙に耐えかねたのは揺尾の方だった。真っ直ぐな質問からはただの興味というより、相談に乗ろうというという真摯な想いが感じられた。
「……。」
雅楽は答える気がないというより答えられないというような淋しい表情を、僅かに無表情の仮面にのせて無言を貫いた。
「……答える気がないのか?」
「……答える気がないわけではないわ。ただ、答えたくても答えられないの。
……こうして表情を作ってあげたのだから、表情くらい読んでくれるとありがたいのだけれど?」
「妖怪である我に感情を読めということを求めるのは無理難題な話だな。即刻諦めよ。」
「……努力するだけしてみればいいと思うのだけれど?」
「それは無理な話だ。」
「ふふ、ふふふふふ……。そもそもやる気がない人?に言っても無駄だったわね。」
「……我は人ではない!妖怪だ……!!」
不穏な空気はいつの間にか霧散し、『あやかし書堂』にはぎこちないながらも穏やかで明るい空気が流れ始めた。
意思があるこのように自由気ままに動き回る本達は、いつの間にか揺尾と雅楽の周りを大きな円を描きながら楽しげにくるくる回っていた。本を包んでいたはずの煙もいつの間にか足元に沈んで集まって2人が雲の上に立っているかのように演出していた。
「……はぁー、もういい。これが最後の質問だ。我は過去1度でもそなた会ったことがあるか?」
「……。……私はないわ。」
雅楽は硬い無表情で不自然に答えた。
「そうか、ならば良い。」
「……そ、そう……。」
雅楽の不自然な返答を一切気にしていないように揺尾は返答した。
気付かれてしまったのではないかと挙動不審になってしまった事によって、何か聞き返されてしまうだうろうと覚悟を決めていた雅楽は逆にびっくりして尚、素っ頓狂な返答をしてしまった。
「……はぁ……もう質問はありませんよね?」
「あぁ、ない。」
「なら、早く私の願いを叶えてください。」
ーー……そして私を忘れてください……。ーー
雅楽の呟きはふわりと浮かび上がった煙に巻かれて消えていった。
*******************
読んでいただきありがとうございます♪♪♪
雅楽はまた無表情で平坦な声音に戻っていた。
「……質問には全て答えるのではなかったのか?」
「答えられる限り、ね……。」
また2人の押し問答が始まった。一切引く気のない一触即発のピリピリとした息の詰まる空気が書堂を満たした。
「「……。」」
大変長く感じられる静寂が僅かな時間“願い叶える『あやかし書堂』”に流れた。
「はぁ……。そなたは前世で何を犯したのだ?」
先に沈黙に耐えかねたのは揺尾の方だった。真っ直ぐな質問からはただの興味というより、相談に乗ろうというという真摯な想いが感じられた。
「……。」
雅楽は答える気がないというより答えられないというような淋しい表情を、僅かに無表情の仮面にのせて無言を貫いた。
「……答える気がないのか?」
「……答える気がないわけではないわ。ただ、答えたくても答えられないの。
……こうして表情を作ってあげたのだから、表情くらい読んでくれるとありがたいのだけれど?」
「妖怪である我に感情を読めということを求めるのは無理難題な話だな。即刻諦めよ。」
「……努力するだけしてみればいいと思うのだけれど?」
「それは無理な話だ。」
「ふふ、ふふふふふ……。そもそもやる気がない人?に言っても無駄だったわね。」
「……我は人ではない!妖怪だ……!!」
不穏な空気はいつの間にか霧散し、『あやかし書堂』にはぎこちないながらも穏やかで明るい空気が流れ始めた。
意思があるこのように自由気ままに動き回る本達は、いつの間にか揺尾と雅楽の周りを大きな円を描きながら楽しげにくるくる回っていた。本を包んでいたはずの煙もいつの間にか足元に沈んで集まって2人が雲の上に立っているかのように演出していた。
「……はぁー、もういい。これが最後の質問だ。我は過去1度でもそなた会ったことがあるか?」
「……。……私はないわ。」
雅楽は硬い無表情で不自然に答えた。
「そうか、ならば良い。」
「……そ、そう……。」
雅楽の不自然な返答を一切気にしていないように揺尾は返答した。
気付かれてしまったのではないかと挙動不審になってしまった事によって、何か聞き返されてしまうだうろうと覚悟を決めていた雅楽は逆にびっくりして尚、素っ頓狂な返答をしてしまった。
「……はぁ……もう質問はありませんよね?」
「あぁ、ない。」
「なら、早く私の願いを叶えてください。」
ーー……そして私を忘れてください……。ーー
雅楽の呟きはふわりと浮かび上がった煙に巻かれて消えていった。
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