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2人目のお客様 1

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カラン、コロン……

 『あやかし書堂』にお客様の訪れを告げる鐘の音が鳴る。

 今回の特別なお客様は、野球帽子を被った日に焼けた小柄な小学生くらいの男の子だった。招かれたお客様たる男の子は、不思議な書堂たる『あやかし書堂』を野球道具が入っているであろう大きなリュックを背に興味津々に見回している。

 かつんかつんとどこからか規則的で静かな下駄の足音が書堂に響いた。

「ようこそ、あやかし書堂へ。
 ここは客のどんな願いをも願いを叶える書堂だ。
 新たな客よ、お主の願いを言うがい。我がそなたのどんな醜い願いをも叶えて信ぜよう。」

 『あやかし書堂』の店主たる麗しの妖狐、揺尾ようびは、藤色の着流しを纏い、妖艶に微笑みながら現れた。光の当たり具合によって白にも銀にも金にも見える美しい毛並みに中性的な容姿、現世うつしよに存在するものとは到底思えない程に美しい。何より、大きな獣耳に尻尾がのものが現世のものではないことを物語っている。そして、彼のものが言った尊大とも横暴とも言えることを実行してしまいそうな、彼の前に立つだけで圧倒される妙な迫力らしき圧力もある。

 現に、お客様たる男の子は店主たる妖狐に圧倒され、リュックをぎゅっと握りしめて怯えてしまっている。

「ん?」

 揺尾の促しに、男の子はすっと身構えた。

「お前はなんなんだ?」

「我か?我は店主だ。疾くと願いを言いたまえ。」

「………………、」

 男の子の無言に気を悪くした様子もなく、店主はふわりと立派な尾を揺らす。精神的に疲れ果てていた男の子はその尻尾に視線を注ぎながら、ダメ元で願いを告げた。

「………野球が上手になりたい。身体が大きくなりたい。
 ………………できるか?」

「そんなことで良いのか?」

「そんなこと?俺には重大なことだ!!野球が下手だから仲間はずれにされる。ベンチに入れない。こんなだから、ずっと仲が良かったやつにも見放された!!………体格が小さいと何かと不利だし、期待すらもしてもらえない。………ーーだから、俺にはそんなことじゃない。………分かったか?」

 男の子の真っ直ぐな視線に、揺尾はふっと笑った。

「面白い。良いだろう。その粗末な願い、この我が聞き入れようじゃないか。」

 店主は綺麗な丁重のされた1冊の本を手に取った。

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊
お気に入り数が10人に達したため執筆いたしました(*'▽'*)
3人目のお客様は20人に達したら書こうかと思います。
最後まで楽しんで読んでいただけると幸いです(*´꒳`*)

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