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帝の狂気(R18)
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最初に感じたのは、振動。
何かに揺さぶられていることに気づく。ふっ、と意識を取り戻した時、ぎょっとした。なぜ、という疑問は、
「あっ、んっ…やあっ」
喘ぎ声として出てしまった。
分からない。意味がわからない。
だって、私はひたすら犯されていた。抱かれている。
誰に? 男にだ。胸に顔を埋める男の表情は見えない。
何度も胸を吸われ、ぴくりと身体が反応してしまう。
淫らな水音が響き、絶えず身体にぞくぞくと快感が走る。
気を抜けば、みっともなく喘いでしまいそうな所を何とか耐える。
薄暗い部屋の中では、月明かりだけが頼りだ。
ギシギシと揺さぶられながら、周りに視線を走らせれば、何処か見覚えのある部屋だと気付く。
煌びやかな装飾。天蓋付の豪華な寝台。西国風の装飾が施された紋様がはしる部屋。
この部屋は、知っている。
私が、かつて暮らした部屋であり、――陛下が私の為に造らせた、私と陛下の蜜月を過ごす為の部屋だ。
その時、一層強い快楽が身体に走り、ビクビクと身体を仰け反らせてしまう。
「あっああ…いくッ……!」
「余所見をするな。……お前が見るべきは、私だろう?」
ぐちゃぐちゃと激しい水音が響く。
強い快楽に身を捩らせる私を、男が顔を上げて見ていた。。
薄暗い部屋の中で、ぼんやりと照らされている姿は、私のよく知るお方。
この国の皇帝その人。
烏の濡れ羽色の髪に、皇帝の証たる赤い瞳。
彫像かと見紛う程、整った美しい顔貌は、今や柳眉を逆立てていた。
「私だけを、俺だけを見ろと…あれ程言っていた筈だが」
――私を映す赤い瞳が、怒りの色から愉悦に染まる。
ぱちゅん、と腰を強く打ち付けられ、快楽に抗えず嬌声が漏れる。
開いた唇を塞ぎ、舌で口内を貪りながら、皇は愛おしげに笑う。
「ああ、愛いな。……この俺から目を逸らすのは…お前だけだ」
あとは俺に逆らった大臣か、あの女狐くらいか……既に殺してやったが――と薄く笑みを浮かべながら。
「こればかりは、神に感謝しなければ。あの張りぼても、役に立つでは無いか」
「――なぁ? 私の宝石。やっとだ、ああ、ようやくお前を――」
はぁ、と熱い吐息が耳をくすぐり、ぞくりと肌が泡立つ。
「もう二度と逃がしてやらないからな――私の半身」
「お前が望むなら、俺はなんだってしてやる。国も、富も、人も、何だってくれてやる」
うっすらと浮かべる笑みは、何処か虚ろで狂気を帯びていた。
「もしまたお前が居なくなれば、俺はどうなるだろうなぁ? 次こそは、この国を滅ぼしてしまうかもしれないなぁ」
耳にへばりつくような、恐ろしい声音で、軽い口調の言葉に、私は呆然とする。以前の陛下なら、決して言わなかったような、国を捨てるような言葉。
多くの人が言っていたように、この方は狂ってしまわれたのだ。
その事実を目の当たりにして、この世界に戻ってきて初めて、私は涙を流した。
何かに揺さぶられていることに気づく。ふっ、と意識を取り戻した時、ぎょっとした。なぜ、という疑問は、
「あっ、んっ…やあっ」
喘ぎ声として出てしまった。
分からない。意味がわからない。
だって、私はひたすら犯されていた。抱かれている。
誰に? 男にだ。胸に顔を埋める男の表情は見えない。
何度も胸を吸われ、ぴくりと身体が反応してしまう。
淫らな水音が響き、絶えず身体にぞくぞくと快感が走る。
気を抜けば、みっともなく喘いでしまいそうな所を何とか耐える。
薄暗い部屋の中では、月明かりだけが頼りだ。
ギシギシと揺さぶられながら、周りに視線を走らせれば、何処か見覚えのある部屋だと気付く。
煌びやかな装飾。天蓋付の豪華な寝台。西国風の装飾が施された紋様がはしる部屋。
この部屋は、知っている。
私が、かつて暮らした部屋であり、――陛下が私の為に造らせた、私と陛下の蜜月を過ごす為の部屋だ。
その時、一層強い快楽が身体に走り、ビクビクと身体を仰け反らせてしまう。
「あっああ…いくッ……!」
「余所見をするな。……お前が見るべきは、私だろう?」
ぐちゃぐちゃと激しい水音が響く。
強い快楽に身を捩らせる私を、男が顔を上げて見ていた。。
薄暗い部屋の中で、ぼんやりと照らされている姿は、私のよく知るお方。
この国の皇帝その人。
烏の濡れ羽色の髪に、皇帝の証たる赤い瞳。
彫像かと見紛う程、整った美しい顔貌は、今や柳眉を逆立てていた。
「私だけを、俺だけを見ろと…あれ程言っていた筈だが」
――私を映す赤い瞳が、怒りの色から愉悦に染まる。
ぱちゅん、と腰を強く打ち付けられ、快楽に抗えず嬌声が漏れる。
開いた唇を塞ぎ、舌で口内を貪りながら、皇は愛おしげに笑う。
「ああ、愛いな。……この俺から目を逸らすのは…お前だけだ」
あとは俺に逆らった大臣か、あの女狐くらいか……既に殺してやったが――と薄く笑みを浮かべながら。
「こればかりは、神に感謝しなければ。あの張りぼても、役に立つでは無いか」
「――なぁ? 私の宝石。やっとだ、ああ、ようやくお前を――」
はぁ、と熱い吐息が耳をくすぐり、ぞくりと肌が泡立つ。
「もう二度と逃がしてやらないからな――私の半身」
「お前が望むなら、俺はなんだってしてやる。国も、富も、人も、何だってくれてやる」
うっすらと浮かべる笑みは、何処か虚ろで狂気を帯びていた。
「もしまたお前が居なくなれば、俺はどうなるだろうなぁ? 次こそは、この国を滅ぼしてしまうかもしれないなぁ」
耳にへばりつくような、恐ろしい声音で、軽い口調の言葉に、私は呆然とする。以前の陛下なら、決して言わなかったような、国を捨てるような言葉。
多くの人が言っていたように、この方は狂ってしまわれたのだ。
その事実を目の当たりにして、この世界に戻ってきて初めて、私は涙を流した。
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