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2nd フェーズ 集

No.17 連続誘拐犯メンハギ

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クラスメイトのハナの行方不明事件を捜査していると、同様に姿を消していた人間が保護されたとの報告が。

保護された者は決して正常と呼べない状態だった。
皮が全て剝がされている、なんとも痛々しい顔の状態で病院のベットの上で横になっていた。


「メンハギ?」

「昔同じような事があってな。被害者は全員顔の皮膚が剥ぎ取られていた。私達は一連の事件を同一人物または組織の犯行と判断した。メンハギはその犯人の仮称だ」

キビは女性の顔を見ながらそう説明した。

「死人もでる事件だったが、結局犯人は逮捕できないどころか犯人を特定する事も出来ずじまい……それが4年前だ」



「ウミノ・サヨリ、会社から帰宅中に誘拐された可能性が高いか……。彼女の意識が戻り次第、話をしたい。意識が戻ったら連絡してくれるか?その間私達はウミノ・サヨリの家を捜索するぞ」

そう言ってキビは病室から出る。

「え?今からですか?上の許可を取るので流石に今日中は厳しいかと……」
 
「それじゃあよろしくなー!」
相手の警官の言葉には気にとめず、ウルルを連れて外に出る吉備。

「え、ええ?!ちょっと待ってください!」


「先輩、まさか本当に家宅捜索するわけじゃないですよね?なんの申請もしてませんけど!?」

「なーに事後報告しとくさ、始末書とババア達の小言聞き流せば良いだけだ。それよりもまた逃げられる前にメンハギを捕まえるのが最優先だ」

コウノが止めるがこれも気にとめる事なく車に乗り込みエンジンをかける。

「その始末書、私も手伝うんですよね」
「さて!次の目的地にゴーだ!」

車を発進させるキビ。

「無視しないでください!!」


キビ達はウミノ・サヨリが住むマンションに到着する。
車から降りてキビ達はマンション内に入って行く。

一般的なデザインの白を基調にしたマンション。部屋に入ってみると、これといった特徴はない、しかし唯一目を引くものがあった。壁一面に飾られた化粧品の数々だった。

「ここがウミノさんの自宅だ、ほらこれ手袋付けといて。指紋とかほら、まあ君には要らないだろうけど。体裁として色々荒らすとうるさいから、コウノが」
白い手袋を取り出してウルルに渡す。

「私ですかッ!!」
コウノが通信越しでツッコミを入れる。

「すごい化粧品の数ですね。こちらはすべて観賞用なのでしょうか?それではこれらからみていきますね。えーっと様々な会社の製品が並んでますね、その中でもパッケージや容器のデザインが凝っているものが多いですかね」

棚に並んだ商品を見ていくウルル。

「あ!それ!」
するとユキチカがそのうちの一つの商品を見てウルルを止める。

「こちらは、あのお店であった商品ですね」
ハナが購入してた化粧品と同じものだ。

「それ持って帰ってきて!」
「いやいや、流石に被害者の物を勝手に持って帰ってくるのは……」
コウノがユキチカの要望に待ったをかけようとする。

「しょうがねぇなぁ。ウルルちゃんそれこの袋に入れておいてくれないか」
キビがビニールの袋を取り出してウルルに渡す。

(いいんだ)
(キビ様もなんだかんだ甘いんですね)
コウノとウルルはそんな事を思った。



「あ、キビさんお疲れ様です。わかりました、こちらも調査が終わったので店の外で待っておきますねー」

映像の調査が終わったジーナは店長に挨拶をし、店を出ようとした。
その時、一人の女性が店内に入ってきた。

女性を見た瞬間、ジーナは確信した。
映像で見たあの女性だ。

ジーナは呼び止める。
「すみません、ちょっといいですか?」

呼び止められた女性はジーナの目を見て、すぐにその場を逃げ出す。

「あ!待て」

ジーナは彼女の後を追いかける。

走る女性を追いかけるジーナ。
この女性が、この犯人が、自分の大事な友人を誘拐したのだと思うと、胸の内にふつふつと熱がこみ上げてきた。

走りながらも自然と拳に力が入る。

走りには自信があったジーナだったが、相手もかなり足が速い。いくつか角を曲がり、大通りに出た。そこは多くの人々で賑わっていた。

ジーナは完全に相手を見失った。

「くっ……!!」
叫びたい気持ちを押し殺すジーナ。


その後ジーナ、ウルル、キビは警察署に戻った。
到着し車を止めるキビ、隣ではジーナが顔を下に向けて座っていた。

「すみません……あそこで捕まえられたら」
助手席で落ち込むジーナの肩にポンと手を置くキビ。

「何言ってんだ。君は犯人特定を大きく進歩させただけじゃなく、遭遇までできた。大したもんさ、一気に沢山やろうとすると上手く行かねぇぞ。着実に一歩ずつだ」

「はい……やってみます!」
ジーナは顔を上げてそう言い笑顔を見せた。

「ほら、お望みのもの。これでいいのか?って甘っ!何だこの部屋の匂い!?」
キビのオフィスに入るととても甘い匂いがしていた。

「ドーナツ食べる?チンしたの」
「さっきの話聞いて食いたいと思うのか?とりあえず上司様方の血糖値を爆上げしてくるわ」
そう言ってニヤニヤしながらドーナツを皿に乗せるキビ。

「先輩……差し入れにそこまで悪意込められる人そうそういませんよ」

そうしているとキビの端末に連絡が入る。

「はい、キビだ。え?意識が、ああそうか。分かった、音声を送ってくれ。ありがとう、また何かあったら連絡くれ」
キビはそう手短に対応して連絡をきった。

「被害者の意識が少し戻ったそうだ。まだあまり話は出来ないらしいが、いくつか質問できたそうだ。今その音声ファイルを再生する」

机の上に端末を置いて音声を再生するキビ。

「会社から帰った時だったわ。帰り道、目の前が真っ暗に、すっと、暗くなるの、何かチクッとしたような、気付いたら冷たい部屋で……うっうっ顔が……!!」

ウミノが泣き始めた所でキビが再生を止める。

「まあ、ここぐらいまでだな」

「これだけの化粧品を使って、本当に自分の肌を大事にしてただろうに……酷い」
ジーナは音声を聴いて再び悔しそうな顔をする。

「ああ、メンハギの被害者の中には自分に起きた事に耐えられず自ら命を絶ったものもいる。今度は絶対に捕まえてやる」


少しばかり沈黙が流れるとユキチカがキビに話しかける。

「こっちの調査終わったよー」
ユキチカの手には化粧品の瓶を持っていた。

「変なのはいってたよ、これ」
「えっと、拒絶反応抑える為の薬が使われてるの。これを一定量を一定期間使い続けるとその部位は拒絶反応することなく、移植できるようになるの。それを顔に使う美容品に使うって事は」

シャーロットはユキチカの話に説明を加えた。

「顔の皮を剥いで……移植するって事?」
ジーナの顔が険しくなる。

「大丈夫だよ!場所もうすぐ分かるから!」
ユキチカはそう言って別の情報を見せた。

「顔の皮膚をただ剥がすだけでなく、とてもキレイに剥がれていたの。当然移植できるようにするなら当然だけど、その他にも手術後に必要な処置が行われていたの。特に変なのが塗られてた薬品、これは酷い火傷をした時に植皮って言って皮膚を移植する前段階で行う奴なの」

「確かに、過去にもそんな報告はあったな」
キビはそう言うと、ジーナが頭に手を当てる。

「それじゃあ何?犯人は攫った相手の顔を剥いで移植するような奴なのに、その人が顔に皮膚を移植して戻せるように処置してたって事?意味が分からない」

「そうだな。まあこんなイカレた奴の頭の中知った所で良い事ねぇだろ」

「これらの条件を満たすには犯人は医療にかなり精通した人間という事ですよね。手術も出来て、各種薬品を揃えられるという事は」

ウルルがそう言うとシャーロットが手を上げて話し始める。

「あー、えっと、さっき解析した映像からこの女性が何を話しているか分かったよ」
解析した音声を再生する。

「これで……完成……」
独り言だが、相手の声は知る事が出来た。

「完成って言ったか?何の話だ」

一体メンハギは何をなそうとしているのか。
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