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No.30 灰色の軍団の次は……え!またですか!?

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マドボラが作り出した灰色の軍団。
それは機械兵とキメラの軍団だった。

「それにアイツラはまだまだいるからな」
ティターノとグラドのもとに歪な者が次々と押し寄せていた。 

「まだいるのか!こいつらの相手ばかりしてられんぞ!」
「俺を兵士たちの援護に向かわせないつもりか!」

彼らはこの歪な者に対処できるが他の兵は違う。
機械兵達に物量で押されてしまえば、そう長くは持ち堪えられないだろう。

「う、うわああ!!」
「しまった!!」

ティターノの攻撃から逃れた機械兵や歪な者が兵士たちを襲い、その先の国に向かって突きすすんでいく。

(まずい!あそこまで行かれてはもうこの体で攻撃はできん!)

彼は一旦巨大化を解除する。
この隙をついて、歪な者は自身の身体を変形させ、ティターノを拘束した。

「ぐっ!この程度!!」
炎で相手の肉体を焼き、拘束から逃れようとするティターノ。
そうしている間にも敵は国へと進攻していく。

「いかん、国に入られてしまう!」
グラドもまた歪な者に阻まれていた。

各国の兵士の抵抗もむなしく、門を破壊し中になだれ込んでくる敵軍。

「「やめろおおお!!」」
ティターノとグラドは叫んだ。


国民達が……

そう思った瞬間。

ティターノの国では火柱が
グラドの国では氷塊が
城壁越しでも見える程の規模で発生した。

「ふぅー、ギリギリ間に合ったな」
「我が愛しき者の大切なものたち、それに手出しなど許さん」

「ああ、貴女様は!」
「君はッ!!」

「おい、お前ら!邪魔だからもっと後ろに下がってろ。兵士たちもだ!アタシの後ろにいるこいつら守る事だけ考えろ!」

「皆の者無事か?この前のように国の中心に避難するのだ」

国内に侵入した敵軍を蹴散らして現れたのは
フラマーラとグレイシモンドだった。

「ここはアタシの魔力を持ったティターノが統べる国だ、つまりアタシの縄張りって事だ。そんな場所になに勝手に入り込んでだ?ふざけやがって、全員灰すら残さず焼消してやるぜ」

「我が愛しき者が命を懸けてでも守ろうとする、そんな大切なものに貴様らのような者が触れて良いわけがない!!」


「なんだと!?さっきまで俺の国にいた筈!もう到着したのか!!」
マドボラは二人の登場に驚く。

「流石に連中では分が悪すぎるな……って事は」
別の場所の映像を出す。

「うおおおお!!」
その場所では歓声が上がっていた。

「アウレンデント様とテネバイサス様だ!!!」
そこは資源力の国。

アウレンデントとテネバイサスが、雷と闇の力で敵を蹴散らした。

「存外無事みたいね」
「ああ、あれのお陰だろう」

ティターノやグラドのような戦力に秀でた者がいないのに、どうして彼女たちが現れるまで持ちこたえていたのか。

それはこの国の植物だ。

植物達が歪な者や機械兵を捕縛し、足止めをしていたのだ。

「ここの植物はアギ―ちゃんの力が流れているからかしら。意思があるみたい」
「恐らくそうだろう、悪意ある者を認識しているのかもしれん」

二人は残りの敵を排除するために移動する。

「とりあえず片付けてしまいましょうか」
「ああ」


「連中まで!それになんだあの植物は?!ただの植物じゃねぇな、なんだあれは!」
マドボラはアギ―に向かってこう言った。

「え、あ、あれは私が元気にした植物さん達です」
「元気になっただけであそこ迄の力を身に着けるか!やはりお前の能力は異質だ」

「本当はもう少しデータが取れるかと思ったがもうダメだな。アイツらじゃあそう長くはもたない。次の段階に進めるか」

マドボラは木の箱を取り出した。

「あ!それは!」

「そうだ、魔王達に施された封印を解くための鍵だ。ほら」
そう言って彼はアギ―の檻を開けて、指輪を投げた。

アギ―がその指輪を受け取ると、指輪は光を放って彼女のネックレスの一部となった。

「え、どうしてこれを?!」
「計画のうちだからな。まあ、本音を言えば3つの国をめちゃくちゃにしてくれた方が良かったが。しょうがない、結果は結果だ」

マドボラは光に包まれる。

「お前の能力ならここからすぐに出られるだろう。俺は次の段階の為に動かないといないからな。ここでしばしのお別れだ」

そして姿を消すマドボラ。

「え?お別れって、うわ!うわ、うわ!」
突然地震が起きる。

「す、すぐにでないと!」
アギ―は壁に触れるとその部分から植物へと変化していき、外までの道を作った。

「あれは!!」

外に出たアギ―。彼女が周りを見渡すと遠くの空に召喚陣が発生していた。
それも一か所ではない、3か所同時に。

召喚陣が強く光るとそこから破壊者が現れた。

資源力の国にはタコの破壊者が。
「あら、この前ぶりね」
「そうだな、ん?いや、少しばかり様子が違うな」

経済力の国には象の破壊者が。
「この前氷漬けにしたやつとは別物か?」
「さあね、どちらにせよこちらの仲間ではなさそうだ」

そして武力の国には猿の破壊者が現れた。
「フラマーラ様、あやつは一体?」
「へぇーあれがこの国の破壊者か」


「魔王様、召喚が完了しました」
マドボラはどこからかその光景をみていた。

彼の後ろには玉座に座る者がいた。

「そうか、では次の準備をせい」
「は!仰せのままに」

マドボラはその場を去った。

「さあ、この世界よ。もうすぐ貴様に逃げようのない運命の時が訪れるぞ」



「アウレンデント、みんなを頼む」
「ええ、ダーリン♥」
テネバイサスは破壊者に向かって飛んでいく。

「UOOOO!!」

破壊者の口が開くとそこにはイビルハンガーの顔が。

「腹の中から捕食でもしたのか?より一層醜くなったな」

「ユル”ザナ”イ”ィィィィィ!!」
テネバイサスをギョロッと複数の目でにらみつけるとイビルハンガーは吠える。

無数の足から闇の魔力が放たれた。

「ふん、終息点シンギュラリタス

伸ばされたイビルハンガーの腕が彼の身体に引っ付く。

「ナ、ナンダ?!」
その巨体が宙に浮く、いや浮くというよりは中心に押し込まれていく、と言った方が正しいかもしれない。

「ウ、ウゴゲナイ!?」

「前々から貴様の力の使い方に一つ言いたかったんだ。これが闇の力の使い方だ、分かったか下手くそめ」
ベキベキと音を立てて体の中心に圧縮されていくイビルハンガー。

そして最後は跡形もなく姿を消してしまった。


グレイシモンドは相手が生み出した超低温の竜巻の中にいた。
「今の我にはこの程度の冷気、なんてことはない」

彼が指をパチンッと鳴らす、すると周囲の竜巻がかき消された。

「もう貴様らなど、脅威でもなんでもない」
剣を構えたグレイシモンドは相手に一突き。

刺された瞬間に相手は凍結された。

「終わりだ」
グレイシモンドが剣を抜くと破壊者は氷の粉となり崩れ去る。

「な、なんて美しい……」
その光景にグラドは見惚れていた。


猿の破壊者はフラマーラと後ろにある国に目掛け、口から炎を吐き出した。

「---!!」

(いかん!あの炎は防がねば!国もろとも焦土となってしまう!巨大化して足りるか?いや、そんな事を考えている場合ではない!)

「フラマーラ様!!俺が盾に!」
ティターノが巨大化し、国とフラマーラを守ろうとする。

しかし
「いらねぇよ、盾なんて」

フラマーラは巨大化した彼の下を通り、敵が吐いた炎に向かって飛んで行く。

「この程度の炎」
彼女は炎を人差し指で止めた。

「なんと!!」

「本物の焔ってのをみせてやるよ!」
相手の炎を吸収し、フラマーラは弓をつがえ、焔の矢を放った。

矢が直撃した相手はそのまま天高く昇って行き、規格外の大爆発を引き起こす。

世界全体が揺れる程の爆発、破壊者は跡形も残すことなく消し飛んだ。

「ふん、一昨日きやがれ」
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