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壱 籠の鳥
二
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「そうじゃございません! 先ほども申し上げたとおり、もっと手首を使って、肘の角度はこう! 軽やかに弦を弾いて!」
鬼気迫る女性の怒声が、静かな中庭に響き渡る。
白い玉砂利が敷き詰められた瀟洒な庭は、邸の最奥に面しており主屋と離れの間に広がる。
声が飛んでいるのは、離れの一室からだ。
「あああ、弦が切れてしまわれた……ようございます……今日はここまでということで……」
悲痛な叫びを残し、部屋から出て、中庭を望む廊下を、肩を落として歩くのは、女だてらに紋付きの黒い羽織りを着た、三十代中ほどの女性だ。
着物の後襟を大きく抜き、半襟を幅広く見せた着こなしは、近頃花街で流行しているものであり、島田髷に派手な簪を挿していることも含めて、一流の芸妓であると一目でわかる。
その人物が声を荒げて指導していたのは、離れの一室で大きな琴に上半身を被せるようにして、突っ伏している朔だった。
「ダメだ……ぜったい弾ける気がしない……」
小奇麗な着物を着て白い足袋を履いた朔は、畳の上に置かれた琴に寄りかかっている。
演奏を指導してくれていた人物に愛想を尽かされ、途方に暮れているように見えるが、単にそれだけではない。
すっかり足が痺れてしまい、その格好から動けないのだ。
「お嬢様……大丈夫ですか……?」
部屋の隅に控えていた、朔より少し年長の少女が、恐る恐る声をかける。
「大丈夫……です……」
心配をかけないために笑顔で答えたが、実際は、まだしばらくこの格好のまま動けそうにない。
「次は、日本舞踊の先生がお見えになりますが……」
それまでに琴をしまい、踊りの稽古用の着物に着替えなければならないと、朔も頭ではわかっているが、どうしようもない。
「先に、手習いの練習時間にするというのは……?」
試しに聞いてみたが、きっぱりと首を横に振られた。
「無理です」
「ですよね……」
朔はなんとか琴の上から上半身を起こし、足の指を少しずつ動かして、痺れを解こうとする。
(琴、お茶、踊り、お花……手習いに歌……これまで何一つやったことがないのに、この家の娘と認めてもらうには、急いで全部身につけなくちゃならないんだから……とにかく時間が足りない!)
「先生をご案内してまいりますね」
部屋を出ていく少女に、かろうじて笑顔で答える。
「はい、それまでに片づけておきます」
「お願いします。櫻子様」
「……あ……はいっ!」
その名前が、自分の新しい名前だということには、まだ慣れない気持ちのほうが大きかった。
「今日から櫻子様と名乗っていただきます」
月照院家を初めて訪れた日、祖母に当たる月照院菊乃との面会の末に、朔もなんとかこの家に住まわせてもらうことが決まった。
それは、望が住む主屋とは中庭を挟んだ離れでの生活だったが、同じ屋敷内で暮らせるというだけで安堵した。
少し不穏な空気を醸し出しながらの、天晴の助言あってのことだったが、事前に彼があれほど謝っていた理由も、合点がいった。
月照院家は、行方不明になった息子の血を引く子どもを捜していたが、それは跡取りとなり得る望だけだったのだ。
女である朔は、必要とされていなかった。
だからこそ望は、自分を迎えに来た光流と天晴に、「二人揃ってでしょうか?」と念を押したのだと、今となっては朔にもわかる。
(私だけ、追い返される可能性もあった……そう思えば、望と引き離されたって……名前を変えられたって……ここに居られるだけましだ)
多少のことには我慢しようと決意し、ここでの生活を始めたが、課されたものが多すぎて、すでに投げ出してしまいたくなっている。
(ダメだ、ダメだ! もっとがんばらなくちゃ……望と一緒にいられなくなる……)
それこそが、朔がもっとも恐れていること。
最愛の弟のことを思い、ようやく痺れが取れてきた足を動かし、よろよろと立ち上がろうとした時、よく知るあの感覚が過ぎった。
「―――――!」
よくない感じがする。
(望がいる主屋のほうだ!)
そう思った時には、朔は琴を乗り越えて部屋を飛び出し、廊下へ転がるように走り出ていた。
足袋のまま庭へ下り、見事に手入れされた松の木の間を抜けて、正面に見えてきた建物を目指す。
朔は、主屋のどこにどのような部屋があるのかを知らない。
初めてこの屋敷を訪れた日に、離れに住まうように言い渡されてから、一歩もそこから出ていないからだ。
もちろん望と会ってもいないし、彼がどの部屋に住んでいるのかもわからない。
それでも、どんな磁石よりも強く引きあう双子は、己たちの力だけで再会を果たした。
それは、何者にも引き離すことは不可能であると、証明するかのように――。
こちらが嫌な感じがすると――感覚だけを頼りに、中庭を抜けて主屋の廊下へ駆け上がり、一室の障子をぱーんと音をさせて開け放った朔は、その部屋の奥で、望が黒い霧に乗りかかられている光景を目の当たりにした。
「望!」
すぐに駆け寄ろうとしたが、その望に手で制される。
「大丈夫、朔。僕一人でなんとかなる」
言葉の通りで、望が畳に横たわった状態のまま、手を様々な形に組み替えていくと、霧は晴れるように次第に薄くなっていき、朔が感じていた嫌な気配も消え失せた。
肩で大きく息をしながら、望が畳に座り直す。
「久しぶりだね、朔……なんだか見違えた」
望は眩しそうに目を細めて、優しく微笑み、褒めるような言葉をかけてくれたが、朔は自分の格好を見直して、穴があったら入りたい心境だった。
「ち、違うの! 本当はもっと綺麗に着物を着てて……! 髪もちゃんと梳かしてて……!」
全力で中庭を駆け抜けた結果、着物はすっかり着崩れ、足袋も泥だらけで、髪もぼさぼさという有様だ。
それでも朔は、嬉しそうに笑っている。
「うん。だから、元の格好も含めて、僕の知ってる朔じゃないみたいで……」
望こそ、洋風のシャツの上に小袖を着て、袴を穿いた姿はこれまで見たことのないものだ。洋装は高価で、普段着として用いることができるのは一部の華族のみなので、月照院家がいかに資産家なのかがわかる。
(もうすっかり華族のお坊ちゃまみたい……)
髪を綺麗に撫でつけた望の姿に、朔が一抹の寂しさを感じていると、同じようなことを言われた。
「知らないお嬢様みたいだ……」
「え?」
望と比べるとすっかり着崩れてしまっている、自分の情けない格好を見回して、朔はぱちぱちと目を瞬かせた。
「どこが?」
望は、はははと笑いながら、文机の前から立ち上がって、部屋の入り口で立ち尽くしている朔へ歩み寄る。
「朔……僕は一日でも早く一人前になって、朔がこの家でもっと伸び伸びと暮らせるようにするから……」
朔の手を取って、真剣な顔で語る望の背後には、たくさんの書物が積まれている。
文机の上にも、書棚にも、畳の上にも、山のように――。
根を詰めてそれらを読んでいたのか、顔色があまり良くない望のことが、朔は心配になる。
「望、そんなに無理しなくても……」
しかし望はきっぱりと首を横に振り、朔の手を握る手に力を込めた。
「必ず僕が守る」
「望……」
二人きりの貧しい生活の中でも、家事を担当して体の弱い望の世話をしている朔のほうが、一見すると彼を守っているように見えた。
しかし実際には、双子にとって何が最善かを、常に考えて判断を下してきた望もまた、確かに朔を守ってきたのだ。
住む場所を離され、顔をあわせることもままならない生活の中でも、お互いを思う気持ちが以前と変わっていないことを、朔は胸が熱くなるほど嬉しく思う。
「ありがとう……」
朔も、望の手を握る手に力を込めた時、遠くから女性の悲鳴のような声が聞こえた。
「お嬢様!? 櫻子お嬢様ー!!」
「お晴だわ!」
自分の身の回りの世話をしてくれている少女の声だと気が付き、朔は血相を変えて望の部屋を出ていく。
「ごめんね、望! また来るわね!」
「うん、また」
望は面白そうに笑って手を振るが、朔は笑うどころの心境ではない。
(どうしよう! 踊りの先生が来るまでに着替えておかなくちゃいけないんだった……! まだ琴も片づけてない……ううん、そもそもこの格好! 勝手に部屋から出たことも、後できっとお祖母様とお志麻に叱られる……!)
どれほど急いで中庭を駆けても、全てが間にあいそうにはなかった。
鬼気迫る女性の怒声が、静かな中庭に響き渡る。
白い玉砂利が敷き詰められた瀟洒な庭は、邸の最奥に面しており主屋と離れの間に広がる。
声が飛んでいるのは、離れの一室からだ。
「あああ、弦が切れてしまわれた……ようございます……今日はここまでということで……」
悲痛な叫びを残し、部屋から出て、中庭を望む廊下を、肩を落として歩くのは、女だてらに紋付きの黒い羽織りを着た、三十代中ほどの女性だ。
着物の後襟を大きく抜き、半襟を幅広く見せた着こなしは、近頃花街で流行しているものであり、島田髷に派手な簪を挿していることも含めて、一流の芸妓であると一目でわかる。
その人物が声を荒げて指導していたのは、離れの一室で大きな琴に上半身を被せるようにして、突っ伏している朔だった。
「ダメだ……ぜったい弾ける気がしない……」
小奇麗な着物を着て白い足袋を履いた朔は、畳の上に置かれた琴に寄りかかっている。
演奏を指導してくれていた人物に愛想を尽かされ、途方に暮れているように見えるが、単にそれだけではない。
すっかり足が痺れてしまい、その格好から動けないのだ。
「お嬢様……大丈夫ですか……?」
部屋の隅に控えていた、朔より少し年長の少女が、恐る恐る声をかける。
「大丈夫……です……」
心配をかけないために笑顔で答えたが、実際は、まだしばらくこの格好のまま動けそうにない。
「次は、日本舞踊の先生がお見えになりますが……」
それまでに琴をしまい、踊りの稽古用の着物に着替えなければならないと、朔も頭ではわかっているが、どうしようもない。
「先に、手習いの練習時間にするというのは……?」
試しに聞いてみたが、きっぱりと首を横に振られた。
「無理です」
「ですよね……」
朔はなんとか琴の上から上半身を起こし、足の指を少しずつ動かして、痺れを解こうとする。
(琴、お茶、踊り、お花……手習いに歌……これまで何一つやったことがないのに、この家の娘と認めてもらうには、急いで全部身につけなくちゃならないんだから……とにかく時間が足りない!)
「先生をご案内してまいりますね」
部屋を出ていく少女に、かろうじて笑顔で答える。
「はい、それまでに片づけておきます」
「お願いします。櫻子様」
「……あ……はいっ!」
その名前が、自分の新しい名前だということには、まだ慣れない気持ちのほうが大きかった。
「今日から櫻子様と名乗っていただきます」
月照院家を初めて訪れた日、祖母に当たる月照院菊乃との面会の末に、朔もなんとかこの家に住まわせてもらうことが決まった。
それは、望が住む主屋とは中庭を挟んだ離れでの生活だったが、同じ屋敷内で暮らせるというだけで安堵した。
少し不穏な空気を醸し出しながらの、天晴の助言あってのことだったが、事前に彼があれほど謝っていた理由も、合点がいった。
月照院家は、行方不明になった息子の血を引く子どもを捜していたが、それは跡取りとなり得る望だけだったのだ。
女である朔は、必要とされていなかった。
だからこそ望は、自分を迎えに来た光流と天晴に、「二人揃ってでしょうか?」と念を押したのだと、今となっては朔にもわかる。
(私だけ、追い返される可能性もあった……そう思えば、望と引き離されたって……名前を変えられたって……ここに居られるだけましだ)
多少のことには我慢しようと決意し、ここでの生活を始めたが、課されたものが多すぎて、すでに投げ出してしまいたくなっている。
(ダメだ、ダメだ! もっとがんばらなくちゃ……望と一緒にいられなくなる……)
それこそが、朔がもっとも恐れていること。
最愛の弟のことを思い、ようやく痺れが取れてきた足を動かし、よろよろと立ち上がろうとした時、よく知るあの感覚が過ぎった。
「―――――!」
よくない感じがする。
(望がいる主屋のほうだ!)
そう思った時には、朔は琴を乗り越えて部屋を飛び出し、廊下へ転がるように走り出ていた。
足袋のまま庭へ下り、見事に手入れされた松の木の間を抜けて、正面に見えてきた建物を目指す。
朔は、主屋のどこにどのような部屋があるのかを知らない。
初めてこの屋敷を訪れた日に、離れに住まうように言い渡されてから、一歩もそこから出ていないからだ。
もちろん望と会ってもいないし、彼がどの部屋に住んでいるのかもわからない。
それでも、どんな磁石よりも強く引きあう双子は、己たちの力だけで再会を果たした。
それは、何者にも引き離すことは不可能であると、証明するかのように――。
こちらが嫌な感じがすると――感覚だけを頼りに、中庭を抜けて主屋の廊下へ駆け上がり、一室の障子をぱーんと音をさせて開け放った朔は、その部屋の奥で、望が黒い霧に乗りかかられている光景を目の当たりにした。
「望!」
すぐに駆け寄ろうとしたが、その望に手で制される。
「大丈夫、朔。僕一人でなんとかなる」
言葉の通りで、望が畳に横たわった状態のまま、手を様々な形に組み替えていくと、霧は晴れるように次第に薄くなっていき、朔が感じていた嫌な気配も消え失せた。
肩で大きく息をしながら、望が畳に座り直す。
「久しぶりだね、朔……なんだか見違えた」
望は眩しそうに目を細めて、優しく微笑み、褒めるような言葉をかけてくれたが、朔は自分の格好を見直して、穴があったら入りたい心境だった。
「ち、違うの! 本当はもっと綺麗に着物を着てて……! 髪もちゃんと梳かしてて……!」
全力で中庭を駆け抜けた結果、着物はすっかり着崩れ、足袋も泥だらけで、髪もぼさぼさという有様だ。
それでも朔は、嬉しそうに笑っている。
「うん。だから、元の格好も含めて、僕の知ってる朔じゃないみたいで……」
望こそ、洋風のシャツの上に小袖を着て、袴を穿いた姿はこれまで見たことのないものだ。洋装は高価で、普段着として用いることができるのは一部の華族のみなので、月照院家がいかに資産家なのかがわかる。
(もうすっかり華族のお坊ちゃまみたい……)
髪を綺麗に撫でつけた望の姿に、朔が一抹の寂しさを感じていると、同じようなことを言われた。
「知らないお嬢様みたいだ……」
「え?」
望と比べるとすっかり着崩れてしまっている、自分の情けない格好を見回して、朔はぱちぱちと目を瞬かせた。
「どこが?」
望は、はははと笑いながら、文机の前から立ち上がって、部屋の入り口で立ち尽くしている朔へ歩み寄る。
「朔……僕は一日でも早く一人前になって、朔がこの家でもっと伸び伸びと暮らせるようにするから……」
朔の手を取って、真剣な顔で語る望の背後には、たくさんの書物が積まれている。
文机の上にも、書棚にも、畳の上にも、山のように――。
根を詰めてそれらを読んでいたのか、顔色があまり良くない望のことが、朔は心配になる。
「望、そんなに無理しなくても……」
しかし望はきっぱりと首を横に振り、朔の手を握る手に力を込めた。
「必ず僕が守る」
「望……」
二人きりの貧しい生活の中でも、家事を担当して体の弱い望の世話をしている朔のほうが、一見すると彼を守っているように見えた。
しかし実際には、双子にとって何が最善かを、常に考えて判断を下してきた望もまた、確かに朔を守ってきたのだ。
住む場所を離され、顔をあわせることもままならない生活の中でも、お互いを思う気持ちが以前と変わっていないことを、朔は胸が熱くなるほど嬉しく思う。
「ありがとう……」
朔も、望の手を握る手に力を込めた時、遠くから女性の悲鳴のような声が聞こえた。
「お嬢様!? 櫻子お嬢様ー!!」
「お晴だわ!」
自分の身の回りの世話をしてくれている少女の声だと気が付き、朔は血相を変えて望の部屋を出ていく。
「ごめんね、望! また来るわね!」
「うん、また」
望は面白そうに笑って手を振るが、朔は笑うどころの心境ではない。
(どうしよう! 踊りの先生が来るまでに着替えておかなくちゃいけないんだった……! まだ琴も片づけてない……ううん、そもそもこの格好! 勝手に部屋から出たことも、後できっとお祖母様とお志麻に叱られる……!)
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