73 / 77
7 もう一度『初めまして』から始めよう
8
しおりを挟む
「今日、親父とお袋の合同年忌があるらしいから、俺たちもこれから墓参りだけ行くぞ」
父に突然そう告げられたのは、向かいあって遅めの朝ご飯を食べている時だった。
「うん、わかった……って、ええっっ!?」
あまり深く考えないで頷きかけ、私が大きな声を発してしまったのは、「出かけるぞ」「はい」で済むほど、十七歳の女の子の外出の支度は簡単に済まないからだ。
「どうして昨日のうちに言ってくれないの? せめて朝早い時間とか……」
ぶつぶつと文句を言いながらも、急いでご飯を食べる私に、父は悪びれもしない。
「俺だって今聞いたからな、ハナさんに……」
縁側に座ったハナちゃんは、私たちに笑顔でひらひらと手を振ってみせた。
「悪いのは、ご両親の命日を覚えていない親不孝な息子じゃ」
「確かに」
ハナちゃんの意見に賛成して、私は父に訊ねる。
「お祖父ちゃんとお祖母ちゃんって、同じくらいに亡くなったの?」
「ああ、お袋が亡くなってすぐ、あとを追うように親父も亡くなったから、一か月違いくらいかな」
「それってなんかすごいね」
「まあな。最後まで本当の仲のいい夫婦だったよ」
一度も会ったことのない祖父母のエピソードとして、普通に聞いても思わず頬が緩んでしまいそうだが、私は二人を直接に知っているので、尚更感慨深い。
(そうか……幸せだったんだなぁ、椿ちゃん……本当によかった……)
気持ちは彼女の人生に馳せながらも、私はしっかりと朝ご飯を食べ続けた。
父に突然そう告げられたのは、向かいあって遅めの朝ご飯を食べている時だった。
「うん、わかった……って、ええっっ!?」
あまり深く考えないで頷きかけ、私が大きな声を発してしまったのは、「出かけるぞ」「はい」で済むほど、十七歳の女の子の外出の支度は簡単に済まないからだ。
「どうして昨日のうちに言ってくれないの? せめて朝早い時間とか……」
ぶつぶつと文句を言いながらも、急いでご飯を食べる私に、父は悪びれもしない。
「俺だって今聞いたからな、ハナさんに……」
縁側に座ったハナちゃんは、私たちに笑顔でひらひらと手を振ってみせた。
「悪いのは、ご両親の命日を覚えていない親不孝な息子じゃ」
「確かに」
ハナちゃんの意見に賛成して、私は父に訊ねる。
「お祖父ちゃんとお祖母ちゃんって、同じくらいに亡くなったの?」
「ああ、お袋が亡くなってすぐ、あとを追うように親父も亡くなったから、一か月違いくらいかな」
「それってなんかすごいね」
「まあな。最後まで本当の仲のいい夫婦だったよ」
一度も会ったことのない祖父母のエピソードとして、普通に聞いても思わず頬が緩んでしまいそうだが、私は二人を直接に知っているので、尚更感慨深い。
(そうか……幸せだったんだなぁ、椿ちゃん……本当によかった……)
気持ちは彼女の人生に馳せながらも、私はしっかりと朝ご飯を食べ続けた。
0
あなたにおすすめの小説
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。
ヤクザに医官はおりません
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした
会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。
シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。
無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。
反社会組織の集まりか!
ヤ◯ザに見初められたら逃げられない?
勘違いから始まる異文化交流のお話です。
※もちろんフィクションです。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
子持ち愛妻家の極悪上司にアタックしてもいいですか?天国の奥様には申し訳ないですが
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
胸がきゅんと、甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちだというのに。
入社して配属一日目。
直属の上司で教育係だって紹介された人は、酷く人相の悪い人でした。
中高大と女子校育ちで男性慣れしてない私にとって、それだけでも恐怖なのに。
彼はちかよんなオーラバリバリで、仕事の質問すらする隙がない。
それでもどうにか仕事をこなしていたがとうとう、大きなミスを犯してしまう。
「俺が、悪いのか」
人のせいにするのかと叱責されるのかと思った。
けれど。
「俺の顔と、理由があって避け気味なせいだよな、すまん」
あやまってくれた彼に、胸がきゅんと甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちなのに。
星谷桐子
22歳
システム開発会社営業事務
中高大女子校育ちで、ちょっぴり男性が苦手
自分の非はちゃんと認める子
頑張り屋さん
×
京塚大介
32歳
システム開発会社営業事務 主任
ツンツンあたまで目つき悪い
態度もでかくて人に恐怖を与えがち
5歳の娘にデレデレな愛妻家
いまでも亡くなった妻を愛している
私は京塚主任を、好きになってもいいのかな……?
✿ 私は夫のことが好きなのに、彼は私なんかよりずっと若くてきれいでスタイルの良い女が好きらしい
設楽理沙
ライト文芸
累計ポイント110万ポイント超えました。皆さま、ありがとうございます。❀
結婚後、2か月足らずで夫の心変わりを知ることに。
結婚前から他の女性と付き合っていたんだって。
それならそうと、ちゃんと話してくれていれば、結婚なんて
しなかった。
呆れた私はすぐに家を出て自立の道を探すことにした。
それなのに、私と別れたくないなんて信じられない
世迷言を言ってくる夫。
だめだめ、信用できないからね~。
さようなら。
*******.✿..✿.*******
◇|日比野滉星《ひびのこうせい》32才 会社員
◇ 日比野ひまり 32才
◇ 石田唯 29才 滉星の同僚
◇新堂冬也 25才 ひまりの転職先の先輩(鉄道会社)
2025.4.11 完結 25649字
鷹鷲高校執事科
三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。
東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。
物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。
各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。
表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる