29 / 51
29 目指すものは……
しおりを挟む
「私――その意識を失っている間に、神様に会いました」
私の言葉に、その場の三人が目を丸くする。そりゃそうだよね、いきなり倒れたと思った人間が「神様に会いました」って言うなんて。
「多分、お祈りを始めた途端に意識をあっちに持って行かれたんです。真っ白い空間で、神と名乗る人と会いました。男の人か女の人かよくわからない感じで……」
それから――。彼とした会話を辿って行きながら、私は頭痛を覚えた。存在力とかいろいろ面倒な話をした気がする。その辺はややこしいから説明することはないな。
「結論から言うと、LV99になれば元の世界に帰れるそうです」
結局、それが一番大事なことだった。バグがどうの、モンスターが増えすぎたからどうのなんて話は、私たちには直接関係がないのだ。
「帰る方法がわかったのね? それはよかったわ!」
目尻に残った涙を拭って、レティシアさんは我がことのように喜んでくれた。
私が倒れたのを見て、即レティシアさんが子供たちに声を掛けてくれて、桂太郎くんが怪我を治してくれたそうだ。
打ったのが頭だから動かさない方がいいとその場に寝かされていたけども、なかなか目を覚まさないからみんなが焦っていて、特に頭から血を流す私を見た桂太郎くんと優安ちゃんは「先生死んじゃったらどうしよう」と大泣きだったとか。
頭を打って怖いのは、切れて血が出るよりも内側に血が溜まることなんだけども。
でも、切るとびっくりするくらい出血する場所だから、そりゃあ驚くよね。
私は桂太郎くんと優安ちゃんとレティシアさんにお礼を言って、頭の血を洗い流すためにお風呂に入ることにした。
「あっ、お風呂ね! 私も入るー! あれ、入ってみたかったのよ!」
レティシアさんが元気よく挙手したので、お風呂と脱衣所を出してもらい、ふたりで小さめの脱衣所に入った。
その途端に、彼女は私の顔を正面から見て尋ねてきたのだ。
「元の世界に帰る方法がわかったのに、浮かない顔をしていますね」
レティシアさんはただ好奇心でお風呂に入りたいと言ったのではなかった。私とふたりきりになるタイミングを計っていたんだろう。
「あ……。はい、そうかも、しれません」
元の世界に帰る条件は、私が一番知りたかったこと。ぶっちゃけ、それさえわかれば「召喚された理由」なんてわからなくてもどうにかなった。
だけど、私の心はいまいちすっきりしていない。
「何故神を信じられるのですか?」
レティシアさんにそう問いかけたのは、ほとんど八つ当たりに近い感情だったと思う。私が会った「彼」は、およそ私の想像している範囲の神様らしくなかった。
「では、あなたは神を信じないのですか? 神に会ったのでしょう?」
穏やかな声が返される。その声からは私を責めるような響きはない。ただ純粋に、「会った存在を信じないのは何故か」と訊いているのだ。
「私は『神』と名乗るものに会いました。……でも彼は、私が想像していたような『神』とはあまりに違いすぎて。レティさんは、会ったことがなくても神はいると信じているのですか?」
一気にまくし立てた私に調子を乱されることなく、レティシアさんはすっと天を指し示す。そして、穏やかな声で言った。いかにも司教らしく、聖女らしく。
「この世界がこのように在り、人が在り、生きている。それが神の御業ではなく何だというのでしょう」
……この場で進化論とか言うのはナンセンスなんだろうな。地動説以前のキリスト教の神父と宗教問答をするようなものだ。
私が無言でいると、彼女は言葉を続けた。
「生きるのは楽しいことだけでも幸せなだけのことでもありません。苦しみも悲しみも、全て生にはある。楽しいときはいいのです。苦しいとき、ひとりでは押しつぶされそうなとき、高みにある尊き方が見守っていて下さると思うだけで、人は少し強くなれるのですよ」
白い僧服から取り出した女神像を両手にそっと持って、レティシアさんは微笑む。彼女が苦しいとき、それを頼りにしていたのだとその動作だけで私には理解できた。
「どんなに不幸に思えても、生まれたこと自体が神の祝福なのです。もしもすぐに天に召されたとしても、生まれたことがなくなるわけではありません。
ここに『在れ』と神が願ったからこそ私たちがいる。だから、『在っていい』のです。道を違えそうなとき、善き行いをしたとき、全て神が見守っておられると思うことが大事なのです。自分の存在が誰かに喜ばれ、祝福されていたと思えることは、人をとても強くするのですよ」
慈愛に満ちた眼差しが私に向けられる。
心のどこかが、パキパキと音を立てて割れていく。けれどそれは悪い感じではなかった。
「神が本当にいるかいないか、それは実は些細なことなのです。人の心が求めるとき、そこに『神が在り』ます。何もしなくても、ただあなたの側に『在り』ます」
ああ、そうか。ここの世界では神様ってそういうものなのか。
あの神が言っていたように「精神的にも未熟」なんてもんじゃないよ。もし「神は本当はいないけど」とわかっていてこの教義があるなら、この世界の人たちはとんでもなく強い。
レティシアさんの語る「神様」は、私には一切否定しようがないものだった。
「だから、ミカコさん、泣かないで」
レティシアさんの白い手が私の頬にふわりと触れた。それで初めて、私は自分が泣いていたことを知った。
「……神様は、そんなに優しい存在じゃありませんでしたよ」
「ミカコさんが会った神様は、どんな神様だったの?」
「なんだか、穏やかそうに見えるけど冷酷で、自分勝手で……」
「よく考えてみて。それはもしかして、あなたが『こうなりたい』と思った姿なんじゃなくて?」
「ええっ!? 私あんな性格悪く――。ああ、そうかもしれない……。そうかも、しれません」
この世界に来て非情を見せつけられて、子供たちの前ではいつもと変わらずありたいと思ったけども、私は最大限の警戒を自分に強いていた。クリスさんたちをすぐに信じられなかったのもそう。
レイモンドさんと張り合ったのも、舐められたくなかったから。
子供たちを守るために、私が強くないといけないと、全身に力を込めていた。
ここのところずっと、私はありのままの私ではなくて、「こうあらねば」という像を掲げてそのように振る舞っていた……。それは確かに、一見甘く見えるかもしれないけど本質は冷酷で、『一軍の司令官として舐められないように』と見せたかったから。
「凄いなあ、レティさん。何でもお見通しなんですね。それも千里眼なんですか?」
レティシアさんはにこりと微笑むと、私の手に女神像を乗せてきた。やっぱりレティシアさんに似ている。髪の毛の感じとか、顔立ちとか。
「この女神像、レティシアさんに似てますね」
「ええ、そうなの。それは私に似せて作った物だから」
「ぶぉえっ!? ゲホッゲホッ!」
聖職者が自分に似せて神像を作る!? 聞いたことないわ!
私が盛大に咽せていると、レティシアさんが遠い目をして語り出した。
「今の私からでは信じられないかもしれないけど、幼い頃は私は本当にお転婆で……」
「信じます」
というか、今だってかなりそのままなんじゃないのかなあ?
「木剣を振り回してクリスを泣かすのも日常茶飯事、お勉強の時間に抜け出して厩舎の馬を全部放して庭で一緒にどろんこになって遊んでいたなんて事もあって」
太一レベル以上かよ……。こんな子がクラスにいたら私も泣くわ。
「そんな時、お母様がこれを下さったのです。私に少し似ているけど、ずっと穏やかで、慈悲深い女神像を。私はこの女神像を一目で気に入りました。そして、お母様は私に言いました。『レティはこの神様のようになりたい?』と。幼かった私は、素直に頷きました」
ああ、なんだか、その光景が目に浮かぶ気がする。幼いレティシアさんは女神像に憧れて、こうなりたいと思ったんだろう。
「物心ついたときから千里眼の力を見せていた私は、聖女と認められて教会に入ることが決まっていたのです。――人が『聖女』に求めるものは、元々の私からはかけ離れたもの。それに私が潰されてしまわないように、母は私に『憧れ』を示しました。そして『なりたい貴女になりなさい』と言ってくれたのです」
きっと、その時点で人々が望む聖女像が、レティシアさんの『なりたい私』になったのだろう。
美しく、穏やかで、慈悲深い、『聖女』に。
「ミカコさん、これをあなたに差し上げます」
レティシアさんは今まで大事そうに手の中に包んでいた女神像を私の手に乗せてきた。木彫りの女神像は少し彼女の温もりが残っていて、驚いた私は「おっ、ええっ、あう?」と奇声を発しながら彼女の顔を呆然と見ていた。
「ぶっちゃけ言うとね、あなたが会った『神様』なんて、私たちにとってはどうでもいいの。ほら、言ったでしょ、人によって神様の姿が違っていいんだって。
ミカコさんの会った神様は教会にとってはあんまり都合のいい存在じゃないから、あまり吹聴しない方がいいわ。せいぜいミカルさんとクリスと私と、子供たちが知っていればいい話。
その上でやっぱり思うの。天の高きから尊き方が見守ってくれていると思うとき、人は少し強くなれる、って。この女神像、あなたの会った神様とは違うでしょう? だから、辛くなったりしたときにはこれを見て。私がずっと力づけられてきたように、あなたを支えてくれますように。あなた自身が鎧を着ることはないわ。必要なときに、強さを少し分けてもらえばいいのよ」
それは、宗教とかよりもずっと原始的な「信仰心」かもしれなかった。
だからこそ、純粋で、まっすぐで。
レティシアさんの手が温かくて。
私は今までの強がりとかを脱ぎ捨てて、しばらくわあわあと声を上げて泣いた。
血がつくのも構わずに、そんな私をレティシアさんは抱きしめて、撫で続けてくれていた。
私の言葉に、その場の三人が目を丸くする。そりゃそうだよね、いきなり倒れたと思った人間が「神様に会いました」って言うなんて。
「多分、お祈りを始めた途端に意識をあっちに持って行かれたんです。真っ白い空間で、神と名乗る人と会いました。男の人か女の人かよくわからない感じで……」
それから――。彼とした会話を辿って行きながら、私は頭痛を覚えた。存在力とかいろいろ面倒な話をした気がする。その辺はややこしいから説明することはないな。
「結論から言うと、LV99になれば元の世界に帰れるそうです」
結局、それが一番大事なことだった。バグがどうの、モンスターが増えすぎたからどうのなんて話は、私たちには直接関係がないのだ。
「帰る方法がわかったのね? それはよかったわ!」
目尻に残った涙を拭って、レティシアさんは我がことのように喜んでくれた。
私が倒れたのを見て、即レティシアさんが子供たちに声を掛けてくれて、桂太郎くんが怪我を治してくれたそうだ。
打ったのが頭だから動かさない方がいいとその場に寝かされていたけども、なかなか目を覚まさないからみんなが焦っていて、特に頭から血を流す私を見た桂太郎くんと優安ちゃんは「先生死んじゃったらどうしよう」と大泣きだったとか。
頭を打って怖いのは、切れて血が出るよりも内側に血が溜まることなんだけども。
でも、切るとびっくりするくらい出血する場所だから、そりゃあ驚くよね。
私は桂太郎くんと優安ちゃんとレティシアさんにお礼を言って、頭の血を洗い流すためにお風呂に入ることにした。
「あっ、お風呂ね! 私も入るー! あれ、入ってみたかったのよ!」
レティシアさんが元気よく挙手したので、お風呂と脱衣所を出してもらい、ふたりで小さめの脱衣所に入った。
その途端に、彼女は私の顔を正面から見て尋ねてきたのだ。
「元の世界に帰る方法がわかったのに、浮かない顔をしていますね」
レティシアさんはただ好奇心でお風呂に入りたいと言ったのではなかった。私とふたりきりになるタイミングを計っていたんだろう。
「あ……。はい、そうかも、しれません」
元の世界に帰る条件は、私が一番知りたかったこと。ぶっちゃけ、それさえわかれば「召喚された理由」なんてわからなくてもどうにかなった。
だけど、私の心はいまいちすっきりしていない。
「何故神を信じられるのですか?」
レティシアさんにそう問いかけたのは、ほとんど八つ当たりに近い感情だったと思う。私が会った「彼」は、およそ私の想像している範囲の神様らしくなかった。
「では、あなたは神を信じないのですか? 神に会ったのでしょう?」
穏やかな声が返される。その声からは私を責めるような響きはない。ただ純粋に、「会った存在を信じないのは何故か」と訊いているのだ。
「私は『神』と名乗るものに会いました。……でも彼は、私が想像していたような『神』とはあまりに違いすぎて。レティさんは、会ったことがなくても神はいると信じているのですか?」
一気にまくし立てた私に調子を乱されることなく、レティシアさんはすっと天を指し示す。そして、穏やかな声で言った。いかにも司教らしく、聖女らしく。
「この世界がこのように在り、人が在り、生きている。それが神の御業ではなく何だというのでしょう」
……この場で進化論とか言うのはナンセンスなんだろうな。地動説以前のキリスト教の神父と宗教問答をするようなものだ。
私が無言でいると、彼女は言葉を続けた。
「生きるのは楽しいことだけでも幸せなだけのことでもありません。苦しみも悲しみも、全て生にはある。楽しいときはいいのです。苦しいとき、ひとりでは押しつぶされそうなとき、高みにある尊き方が見守っていて下さると思うだけで、人は少し強くなれるのですよ」
白い僧服から取り出した女神像を両手にそっと持って、レティシアさんは微笑む。彼女が苦しいとき、それを頼りにしていたのだとその動作だけで私には理解できた。
「どんなに不幸に思えても、生まれたこと自体が神の祝福なのです。もしもすぐに天に召されたとしても、生まれたことがなくなるわけではありません。
ここに『在れ』と神が願ったからこそ私たちがいる。だから、『在っていい』のです。道を違えそうなとき、善き行いをしたとき、全て神が見守っておられると思うことが大事なのです。自分の存在が誰かに喜ばれ、祝福されていたと思えることは、人をとても強くするのですよ」
慈愛に満ちた眼差しが私に向けられる。
心のどこかが、パキパキと音を立てて割れていく。けれどそれは悪い感じではなかった。
「神が本当にいるかいないか、それは実は些細なことなのです。人の心が求めるとき、そこに『神が在り』ます。何もしなくても、ただあなたの側に『在り』ます」
ああ、そうか。ここの世界では神様ってそういうものなのか。
あの神が言っていたように「精神的にも未熟」なんてもんじゃないよ。もし「神は本当はいないけど」とわかっていてこの教義があるなら、この世界の人たちはとんでもなく強い。
レティシアさんの語る「神様」は、私には一切否定しようがないものだった。
「だから、ミカコさん、泣かないで」
レティシアさんの白い手が私の頬にふわりと触れた。それで初めて、私は自分が泣いていたことを知った。
「……神様は、そんなに優しい存在じゃありませんでしたよ」
「ミカコさんが会った神様は、どんな神様だったの?」
「なんだか、穏やかそうに見えるけど冷酷で、自分勝手で……」
「よく考えてみて。それはもしかして、あなたが『こうなりたい』と思った姿なんじゃなくて?」
「ええっ!? 私あんな性格悪く――。ああ、そうかもしれない……。そうかも、しれません」
この世界に来て非情を見せつけられて、子供たちの前ではいつもと変わらずありたいと思ったけども、私は最大限の警戒を自分に強いていた。クリスさんたちをすぐに信じられなかったのもそう。
レイモンドさんと張り合ったのも、舐められたくなかったから。
子供たちを守るために、私が強くないといけないと、全身に力を込めていた。
ここのところずっと、私はありのままの私ではなくて、「こうあらねば」という像を掲げてそのように振る舞っていた……。それは確かに、一見甘く見えるかもしれないけど本質は冷酷で、『一軍の司令官として舐められないように』と見せたかったから。
「凄いなあ、レティさん。何でもお見通しなんですね。それも千里眼なんですか?」
レティシアさんはにこりと微笑むと、私の手に女神像を乗せてきた。やっぱりレティシアさんに似ている。髪の毛の感じとか、顔立ちとか。
「この女神像、レティシアさんに似てますね」
「ええ、そうなの。それは私に似せて作った物だから」
「ぶぉえっ!? ゲホッゲホッ!」
聖職者が自分に似せて神像を作る!? 聞いたことないわ!
私が盛大に咽せていると、レティシアさんが遠い目をして語り出した。
「今の私からでは信じられないかもしれないけど、幼い頃は私は本当にお転婆で……」
「信じます」
というか、今だってかなりそのままなんじゃないのかなあ?
「木剣を振り回してクリスを泣かすのも日常茶飯事、お勉強の時間に抜け出して厩舎の馬を全部放して庭で一緒にどろんこになって遊んでいたなんて事もあって」
太一レベル以上かよ……。こんな子がクラスにいたら私も泣くわ。
「そんな時、お母様がこれを下さったのです。私に少し似ているけど、ずっと穏やかで、慈悲深い女神像を。私はこの女神像を一目で気に入りました。そして、お母様は私に言いました。『レティはこの神様のようになりたい?』と。幼かった私は、素直に頷きました」
ああ、なんだか、その光景が目に浮かぶ気がする。幼いレティシアさんは女神像に憧れて、こうなりたいと思ったんだろう。
「物心ついたときから千里眼の力を見せていた私は、聖女と認められて教会に入ることが決まっていたのです。――人が『聖女』に求めるものは、元々の私からはかけ離れたもの。それに私が潰されてしまわないように、母は私に『憧れ』を示しました。そして『なりたい貴女になりなさい』と言ってくれたのです」
きっと、その時点で人々が望む聖女像が、レティシアさんの『なりたい私』になったのだろう。
美しく、穏やかで、慈悲深い、『聖女』に。
「ミカコさん、これをあなたに差し上げます」
レティシアさんは今まで大事そうに手の中に包んでいた女神像を私の手に乗せてきた。木彫りの女神像は少し彼女の温もりが残っていて、驚いた私は「おっ、ええっ、あう?」と奇声を発しながら彼女の顔を呆然と見ていた。
「ぶっちゃけ言うとね、あなたが会った『神様』なんて、私たちにとってはどうでもいいの。ほら、言ったでしょ、人によって神様の姿が違っていいんだって。
ミカコさんの会った神様は教会にとってはあんまり都合のいい存在じゃないから、あまり吹聴しない方がいいわ。せいぜいミカルさんとクリスと私と、子供たちが知っていればいい話。
その上でやっぱり思うの。天の高きから尊き方が見守ってくれていると思うとき、人は少し強くなれる、って。この女神像、あなたの会った神様とは違うでしょう? だから、辛くなったりしたときにはこれを見て。私がずっと力づけられてきたように、あなたを支えてくれますように。あなた自身が鎧を着ることはないわ。必要なときに、強さを少し分けてもらえばいいのよ」
それは、宗教とかよりもずっと原始的な「信仰心」かもしれなかった。
だからこそ、純粋で、まっすぐで。
レティシアさんの手が温かくて。
私は今までの強がりとかを脱ぎ捨てて、しばらくわあわあと声を上げて泣いた。
血がつくのも構わずに、そんな私をレティシアさんは抱きしめて、撫で続けてくれていた。
0
あなたにおすすめの小説
平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。
そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。
カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。
やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。
魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。
これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。
エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。
第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。
旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。
ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
『辺境伯一家の領地繁栄記』スキル育成記~最強双子、成長中~
鈴白理人
ファンタジー
ラザナキア王国の国民は【スキルツリー】という女神の加護を持つ。
そんな国の北に住むアクアオッジ辺境伯一家も例外ではなく、父は【掴みスキル】母は【育成スキル】の持ち主。
母のスキルのせいか、一家の子供たちは生まれたころから、派生スキルがポコポコ枝分かれし、スキルレベルもぐんぐん上がっていった。
双子で生まれた末っ子、兄のウィルフレッドの【精霊スキル】、妹のメリルの【魔法スキル】も例外なくレベルアップし、十五歳となった今、学園入学の秒読み段階を迎えていた──
前作→『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる