俺がゲームに大量課金した結果、異世界で自由を謳歌しています。

まかろんたわー

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第一章・美麺を制する者、世界を制す

兵糧としてのカップヌードル

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その日、俺とカルメンは国の平野部にある、巨大要塞のような袋麺の工場に出かけた。

森林の奥、焦げた茶色の建物から、ドラゴンのように長い長い煙突が伸びている。そこから吐き出る煙は、生命を持つかの如く棚引いていた。

「カップヌードルは経済の活性化という面でも大変重要な役割を果たしたが、なにより兵糧としても重要な役割を果たしたな」

俺は工場の中を視察しながらいう。するとカルメンが

「なにせ、お湯さえあれば三分でできる上に、従来の魔法のようにMPを消費する事もない為、利便性がいいですからね。持ち運べるサイズだというのも適しています。
ただ栄養価には問題があり、それは目下研究中なのですが…。よって、野菜だけを別途に用意した袋麺の開発にも力を注いでいる訳ですがね…」

「そもそも、カップヌードルが有名になったのは人間界で有名なあさま山荘事件にあるというから、軍事とカップヌードルは縁が深いんだよ。特に寒冷地である漆黒の国では、食料難に喘ぎがちだからな」

そう、寒冷地。

北の大地にあるということが、漆黒の国アスワドの難点のひとつであった。

勿論、利点もある。もともと北は夜間の時間が短いので、未だ太陽光を受け付けぬ半吸血鬼達には住みにくい土地ではあるが、寒冷地であるためゴキブリなどの害虫が発生せず、衛生面で優れているという点である。

「そもそも我が吸血鬼部隊が太陽光という弱点を受け付けなくなったのは、この地に長らく住まう希少種白き人狼族ホワイト・ウルフとの交配種が生まれたためでしたよね?白き人狼族は、通常の人狼族に比べ光の加護にも闇の加護にも強い。なので聖の力、水の力、銀の力や強い悪臭などにも対抗できるようになった」

ちなみに俺は白き人狼の交配種ではないが、その血を体に取り込んだため抗体を得た。なので二つ名「白夜の吸血姫」とも呼ばれている。

カルメンの回答に、俺は深く頷いた。

「ただ、白き人狼族は温厚かつ自由を愛する騎馬民族である為に、政治や統率には疎い。なので古来、北の大地には国と呼べるものがなかった。

人狼族及び白き人狼族は騎馬による弓攻撃には大変優れているが、その性質上個人主義者であり、統率には向いていない。故に長期的に固有の軍事力を維持する事が難しい。また、馬に乗り慣れるという性質はすなわち土地を移動するという事だ。王国を築いて都市に移住すると民族の特性である騎馬の能力が劣化するという難点があった。

もし吸血姫である俺が北の大地の白き人狼族・ジャラの血を吸わなければ、いまごろどこかの巨大化した酷く残酷な大国に自由を奪われていたかもしれないな…」

何度もいうが、自分を守る意思や力のない国や民族は、いずれ滅び去る定めなのだ。

人狼族には自分の自由を守るという意思はあっても、自分の独立した領土を守るという意思が欠落していた。

自分の故郷を見定めなければ、いずれその自由も奪われてしまうというのに。

「だから、俺は人狼族及び白き人狼族と契約を結び、広大な北の大地を自由に謳歌させるという特権を与える代わりに軍事的補佐という力の貸与、そして王としての土地の使用権限を貰った」

白き人狼族のひとりと吸血をしたのは全くの偶然であったが、どれも、人狼の長達と交わした平和的な契約である。人狼族達にもデメリットなどない契約なので、すんなり受け入れられた。なにせ自分達の代わりに国を守ってくれるというのだから、ありがたい。

「ですが、勿論、人狼族と吸血鬼族の間にも確執は存在しています」

カルメンはいう。

「言いたい放題言いたいだけの雑魚共は放っておけ。人狼だろうが吸血鬼だろうが、私は実力のあるものを分け隔てなく接する」

それはつまり、実力のないものはほどほどという意味だったが。

無論生存を許可しないほど極端な優劣主義には興味はないが、格差があるからこそ人間は這い上がれるのである。

「守るべき者も、盾も剣も持たぬ、最初から戦場にすら上がってこない外野の野次馬気取りの高みの見物など、適当に泳がせておけばいいさ」

ほどほどな差別意識もある意味必要だ。その中にも抜きん出るものが現れるのだから。

勿論、低取得者は高取得者に比べて成長速度が遅いという特質はあるものの、だからこそそういう人種にはあえて命に制約を与えている訳である。
 
生きたければ、自分を守る意思を持て。
自分を守る意思のないものに、勝つ事はできない。
 
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