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まかろんたわー

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第一章・美麺を制する者、世界を制す

万病治癒の神様・金扇

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毒は体に悪いもの。

薬は体に善いもの。

毒と薬は対立する存在のように扱われる。

だが、実際には毒と薬は表裏一体の身。

使用法によっては、どちらにもなり得る。

猛毒として知られるものも、量を加減することにより薬になる事もあるし、逆に薬も使い加減を誤れば猛毒になる。

「例えば、トリカブト。
古来より猛毒の草として知られているがのう、その一方で根を乾燥させたものは「附子」と言われ、漢方薬では心臓の働きを促す強心剤や、鎮痛剤として用いられてきたのじゃ。

解毒処理をし、適切に使用すれば薬になるが、用法容量を誤れば猛毒になるのじゃよ」

金扇はクリスティナに語りかけた。

ここは洞穴。

信者達が金扇の言葉に聞き入っている。

「わらわは、その毒にも薬にもなる治癒の技術と……饂飩の技術を持ち運ぶため、天界より再びこの地に相見えたのじゃ」

僕はできるだけ威厳があるように喋る。

僕、久山湊は、以前、製薬会社「久山」の御曹司であった。

それが今は、この世界「スーパーソニックブレイド」の民達から「万病治癒の神様・金扇」として崇められている。

まあ、正教の人々からは未だ「偽の神」扱いだが…今はこうして身を潜め、地道な宗教活動に身を投じていた。

「例えば、私達が生きていく上で、水や食塩、砂糖は不可欠であるが。しかしのう、過剰な摂取はかえって害になる事もあるのじゃ。
水を短時間の内に大量に摂取すると、腎臓が水分を排出するスピードが追いつかず、血液中のナトリウム濃度が低下するのじゃ。これによって低ナトリウム血症を引き起こし、頭痛や嘔吐、呼吸困難などの症状が現れ、最悪の場合、死に至るのう。水の致死量は成人男性で10~20Lとされているがの、5~8L程度で死亡する例もあるの」

「は、はあ…」

金扇の未知なる言葉の数々に、戸惑う信者の面々。

それでも金扇は優雅に話を進める。
黄金の九尾を揺らしながら。

「食塩も取りすぎると病になるの。砂糖もじゃ。塩漬けには注意せねばの」

「金扇様、わたしは最近よく下痢をしております。この場合、とうすればよいのでしょうか?」

そう、女の信者が言った。

「下痢は主に食べ過ぎや飲み過ぎ、冷え、食あたりなどが原因じゃの。下痢の原因は主に大腸の運動が亢進し、水分を十分に吸収できない場合が多い。消化液が異常に増えたり、食物中の浸透圧が原因になる事も多いのう。長期的に続くと、体重減少、疲れやすい、栄養障害などが生じる……」

「で、ではどうすればよいのでしょうか」

信者が言った。

「うむ。過敏性腸症候群といって、潰瘍などがないにも関わらず、ストレスなどで大腸の機能に異常が生じておる場合もあるの。そち、なにか最近困ったことはないかの?」

「実は、最近祖母が亡くなりまして……」

「なに、そちの祖母は天界で元気にしておる。天界の契約上、連れてくることはできぬが、安心するとよい」

「まことでございますか」

ほっと胸をなでおろす女信者。

「他にも、冷たいものを取りすぎてはいないかの?」

「はあ、そういえば、そんな気も…」

「ならば、薄い番茶や湯冷ましなどを少量ずつ飲み、柑橘系の果汁や砂糖の多く入った飲み物は刺激が強いので避け、食事は、おかゆなどの流動食から徐々に普通食に変え、また、38度~40度のぬるめのお湯に全体で5~6分程度浸かるとよい」

「なるほど」

女信者が羊皮紙にメモし始めた。

「あと、乳糖不耐性下痢症の可能性もあるので、冷たい牛乳は控え、温めて少しずつ慣れなさい」

「はい」

女信者は会釈した。



「金扇様の助言を聞いてから、食欲不振が治ったぞ」

信者の男がいう。

「わたしはたんぽぽを天日乾燥させて飲んだら、黄疸が治った」

信者の女が言う。

「金扇様のお言葉には天界の言葉が混ざっているので、我々には難解な部分もありますが、薬効は確か」

クリスティナがうっとりした眼差しで言う。

「あのエウセビオ公なんぞよりも、遥かに薬学への造詣が深い」

男信者は感心した。

「ちっと我々の想像していた奇跡とは違いますが、こちらの方が逆にいつでも使えて便利です」

女信者が言う。

「また金扇様は不老長寿の薬として知られている水銀は猛毒であると言っている。それより食事をバランスよく食べることの方がはるかに万病に効くと」

男信者。

「確かに、いままで水銀を飲んできた過去の王国の主は、狂気的な人物ばかりだったわね」

女信者が言う。

「金扇様は彼らをよくご存知の筈、天界でその過ちに気づいたのかもしれませんわ」

クリスティナが言う。

金扇は主に漢方薬の知識を駆使し、次第に人を隠れ家に集めていったのである………。
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