こんな展開は望んでいません!! ~転生姫は魔王ならぬ俺様イケメン皇帝に溺愛される??? 

雪乃

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第二章  どうやら成人する前に色々と人生を詰んでいるみたいです

10 ジャ○アンの主張!!  アンセルムSide  Ⅱ

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 まだそんな企みとも知らずに母親に無理やり連れて来られた俺は通された薔薇園でとても怒っていた。

 だってそうだろう。
 幾ら友人達や見知った顔のいる子供が多いと言われても、俺の周りには将来の公爵夫人の座を狙うまだ同じ子供の筈なのに、その姿から醸し出されているのは明らかに女狐や女豹の類いだと言ってもいいっっ。
   獲物を品定めする様にゆっくりと舐め上げる様な視線、それでいて彼女達は自身の作りあげた容姿を如何いかに美しくつ可愛いらしく魅せられるのかをっ、まだ年端もいかない年齢にも拘わらずアイツ等はちゃんと知っているのだ!!
   
 そう社交界は何も大人だけの世界じゃあないっっ。
 子供には子供なりの社交界と言うモノがあるのだっっ。
 令嬢達は将来出来るだけ有望で高位の身分を持つ子息と繋ぎを付け、優良物件を見事手に入れるかを画策するだろうし、子息達もまたそんな令嬢達をじっくりと品定めすると共にやはり将来の相手としていかに相応しいものへと狙いを研ぎ澄ます。

 そしてそこに気持ちなんてものは存在しない。
 お互い生まれた瞬間よりどっぷりと貴族の血を受け継いでいるんだ。
 利益のみを追求し、どうしても愛が欲しいのであれば将来落ち着いた頃にでも愛人を探せばいいだけの事。
 それはどの家の子供達も十分過ぎる程理解している。
 なんと言っても自分達の親がその手本なのだから……。
 
 でも俺ははっきり言ってこんな世界が苦手なんだ。
 両親を見ているからなのかもしれない。
 俺の祖父母は珍しく政略的な婚姻だったにも拘らずお互いを今も大切に想いあっている。
 両親にしてみれば理解出来ないらしいが、俺にしてみれば羨ましい限りでもある。
 母親は愛人と別宅で暮らしたきり殆ど自宅には戻ってこない。
 父親は父親で最近若い愛人と別れたばかりだ。
 それ故退屈しのぎにあの話をしたのかもしれない。
 俺もその内親に決められた利益だけの婚約の果ての結婚が待っているのかと、薔薇園の隅で女狐ならぬ女豹な令嬢達より隠れていたら――――。

「泣いているのですか?」

 はあっ、泣いて……いるってこの俺がか?
 あり得ないだろうし何だこの少女は……って最初に思った。
 じーっと俺を見つめる少女の瞳は鮮やかな緑色の中に青い星が一つ輝きを放っていた。
 今まで見た事のない不思議な瞳を持つ俺よりも幼い少女の筈なのに、何故か幼いと言うよりも凛と清楚な百合にも見える気高くもほんの少し近寄り難い雰囲気を醸し出しているのが何故か酷く印象的であり知らずに惹かれてしまっていた。
 
 だが俺もまだ9歳とは言え彼女よりも年上なのだっっ。
 素直にそうかもしれないなんてお世辞にも言えないし笑って流す気にもなれなかっただから――――。

「男が泣く訳ないだろうチビ、俺よりもお前の方が本当は泣き虫何だろう」

 なんて可愛げのない事を言ってしまった瞬間、あ、これヤバいかもしれない……と思った。
 なんと言ってもこの席に招待されているのは伯爵家以上の高位の貴族ばかりの令嬢や子息達。
 まあ我がバルテルス公爵家より格上の家はないと言ってもいいのかもしれないが、それだからと言って幼い令嬢を中していい理由にはならないのは俺だってちゃんとそこは理解出来ている。
 だから相手に泣かれる前に謝ろうと思ったのだが……。

「私には泣く理由は今現在ないもの。でも貴方のその表情はとても寂しくそして悲しそうよ。ねえちゃんと心から笑っている? 人間心から笑っていられれば多少の事は何でも乗り越えて行けるけれど、しっかりと美味しいご飯を食べて御両親や友人達と沢山の話をして、そして心から笑えなければどんどん心が死んでしまうの。今の貴方の様にね」
「はあっ、お前何言って――――っっ!?」
 
 俺は全身怒りで真っ赤になるような錯覚へと陥りかけた瞬間――――。

「はいこれ」

 そう言って彼女のドレスのポケットより取り出したのは小さな、本当に小さな包みが一つ。
 
「あ、あぁ……」

 馬鹿にされたと思い怒り出していた筈なのに、何故か俺は素直にその包みを受け取っていた。

「これは何……だ?」

 情けなくも変に声が上擦ってしまう。

「ふふ、これは幸せになれる魔法のショコラよ。トリュフショコラと言ってアントン料理長と一緒に私が作ったの」

 蕾が、いや咲き始めた花が一斉に綻び花開く様な優しい笑みを湛えながら彼女は、このショコラを食べてと俺に言う。
 そして俺は促されるまま……いや普段であれば決して家の者が用意されたもの以外安易に口にする事は絶対にないのだが、何故かこの時は魔法にかかったかのように何の抵抗もなく包みを開きココアパウダー塗れの丸く、触れると少し柔らかいトリュフショコラなるモノを口へと運んだ。
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