行き遅れの王女様は年下イケメン公爵と恋に落ちる?

雪乃

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第一章  出会い?

舞踏会  1

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 アンは入場して直ぐに父である国王と母…王妃へ挨拶をする。



 続いて兄王太子のレオンハルトとその妻王太子妃のマリーローズへ挨拶をした。


「アン…夕方大変な事があったのですって?」


 マリーローズは口元の扇単語おうぎを当てて、飴玉の様な焦げ茶色ダークブラウンの瞳を悪戯っぽくまばたかせてそっとアンフィリアンへささやく。



 アンは人助け…幼い少女を助けただけよ…と微笑んで返事をする。



「それよりも…そのお話はお兄様方に届いていて?」



 確認の為に聞いてみる。



 マリーローズは勿論…だってレオンから聞いたのですもの…と向かい側で口をへの字にして、明らかに不機嫌な面構つらがまえをして大神臣達と挨拶をしている兄を指していた。



「はああぁぁ…お兄様のお小言が始まりそうだから、私は何処かへ逃げるわね」


「無事に逃げられるといいのだけど…」



 レオンが各国の要人と挨拶を交わしている間にアンはさっと身をひるがえして兄の目の届かなさ気な所へ避難する――――そこへっっ!?



「アンっっ、何処へ行くの?」



 彼女の手をつかんだのは…彼女の愛するもう1人の存在であった。



「マリー…吃驚びっくりするじゃないの!? 何時も言っているでしょ…淑女レディーには優しくって」



 怒りながらもつい…笑みが浮かんでしまう。



 彼はアンの姪…ルーレシアの双子の兄でマウリッツ・ローランド・レクストン。



 レクストン王国王太子の第1王子で彼女のおいにあたる。



 ルーレシア同様…マリーも彼女にとっては愛しい存在なのだ。



「それよりもアン…聞いたよ、川での事…。父上は勿論…陛下も大層ご立腹だったと言うか、真っ青になっていたね」


 得意げにマリーはアンへ報告する…そこら辺りがまだまだ18歳の子供なのだろう。


「だって…誰もいなかったのですもの、大人がいて子供を見殺しには出来ないわ」



 アンはすっと肩をすくめてみせる。


「やっぱりだ、アンは優しい…そんなアンだから僕は大好きなんだ」


「マリーってば…」


「ほら音楽が変わったよ、おどって頂けませんか…アンフィリアン姫?」



 マリーはかしこまって礼儀正しくアンにダンスを申し込む。



「喜んで…マウリッツ王子様」



 2人はホールの真ん中へ出てワルツをたのしんだ。



「やっぱりアンの肌はしっとりそして気持ちがいい。あ―あ…僕が甥でなかったら、アンに結婚を申し込んでいたのに…」


 マリーの心はなかば真剣であったのだけど、可愛い甥に言われてもね…とアンはさらりと受け流していた。


「王子様は綺麗なお姫様と結婚するものよ」


「僕は…アンは十分綺麗だと思うよ」



 マリーがムキになって言ってくれるのが、アンにとって何より嬉しかった。



 家族はちゃんと自分を見ていてくれる事が…。



「あ~~~~~~っっ、マリーってばアンを1人占めしないでっっ!!」



 次にやって来たのは本日の主役…綺麗に着飾って益々ますます美しくなったルーレシアだった。


 ルーレシアは人目も気にせずアンへ抱きつく。



「ルーっっ、幾らそれは…あんまりにも…ずるい」



 反論するマリーの声が段々小さくなっていこうが、ルーレシアは構わなかった。



「アンの肌って気持ちいい、お母様よりも落ち着くのですもの」



 双子揃ってホールの真ん中でセクハラ発言いい加減にして欲しい…とアンは心の中で心底そう思った。



 それでなくともという事で目立つのに…。



 わかってくれない甥と姪だけども…可愛いと思う気持ちの方がまさってしまう。



 かく早くここから退散しなければ…と思った時――――既に遅かった。




「まぁ…アン様ではありませんか?」



 心の中で本当の意味で逃げそこねた…とアンフィリアンはそう思った。
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