行き遅れの王女様は年下イケメン公爵と恋に落ちる?

雪乃

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第一章  出会い?

舞踏会  3

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「何時もの事ながら凄いですな」


「いやはや全くって…我が娘もあれ…あの様に王女にしがみ付いております」



「最近の年頃の令嬢は皆…アンフィリアン様になついてしまい、親としては悲しむべきか安心して良いのやら…」



「我が家も同様です…私の場合、妻なのですがね」



 周囲の男性より…諦めモードの嘆息たんそくがあちらこちらから聞こえてくる。



 当の本人は何も望んでいないと言うのに…むしろ、ただでさえ行き遅れの烙印が押されているのだから、これ以上は悪目立ちしたくはないと言うのに…。



 そんなアンフィリアンをホールの隅で興味深げに見つめる男性がいた。




 だけど彼女は全く気が付いていない。



 彼女はかくこの状況から脱出するのに必死だったのだから…。



 そして兄レオンの視線を感じ…ル―レシアと共に来賓への挨拶があるから…と言ってようやく囲み取材の様な状態から脱出出来たのだ。



「アン…もう少しなんとなならないのか?」



 レオンは渋い顔で妹へ注意をする。



「お兄様…それは私の言葉です、世の男性が頼りないからに御座いましょう…私は何もしておりませんから」


「そうですわっっ、お父様はアンに厳しいのですっっ!! ご自分だってもしアンがお嫁に行ってしまったら政務だって困ってしまうと言うのに…アンは何時までも私達の宝物なのですからっっ!!」


 邪魔をしないでお父様っっ…と娘から邪険じゃけんあつかわれるレオンだった。
 

「ルーレシア…それはないだろう。 お前は本当にアンの事となると直ぐ私に意見をする」


 そう…王太子レオンハルトは妹であるアンフィリアンが数ある見合い全てを断ってきたモノだから…娘のルーレシアには取り分け…従順になるよう厳しくしつけけたつもりだったのだが、それが彼女の叔母アンの事となると途端に何時もの従順な娘ではなく…攻撃性の気の強い娘へと変貌するのだ。



 まぁ…レオンにしてみても妹のアンは聡明で、外交等はそつなくこなし…国務へも時々気のきいた助言をしてくれる事から、弟であればどれ程頼もしかったか…と何度もそう思っていた。



 しかし女性として…1日も早く結婚して欲しいが、愛する妹と離れると言うのも中々感慨かんがい深いものがある…とレオンは溜息ためいきをつく。



 だからと言って何時までもこのまま…という訳にもいけないのはわかっていた。



 王女の結婚…通常は政略の為他国へ嫁ぐものなのだが…なんと言っても妹は39歳、相手はいない事もないが…全員該当者は父親くらいの年齢としとなるのだ。




 向こうからは富める国として名高いレクストン王国とつなぎを作りたいという思いが見え見えで、彼女との結婚を申し込む国は幾つかある…のだが。



 幾らなんでも初婚で父親と同じ年齢としの夫は兄として…妹にはお薦め出来なかった。



 だからと言って国内の公爵家には…該当者なし…皆、アンよりも年齢が下なのだから…。



 自分の娘はそれなりに候補は決めてある…後はこれをどう薦めるか…なのだが。



「貴方…その様にお悩みになられますと――――ハゲ…ましてよ」


「マリーローズ貴女まで何という事を…っっ!?」


「ふふ…アンは今のままでいいのではありませんか? 運命は何時…どうなるのか分かりませんしね。私と貴方の時もそうでしたでしょう? あの時…アンがいなければ私は今の様に貴方の事をおしたいしていたかどうかは…わかりませんでしたしね」


「おいおいマリーローズ…その様な恐ろしい事を言わないで欲しいモノだね」



 王太子妃マリーローズはクスクスと可愛らしく微笑んで、そう言って慌てる夫が可愛くて仕方がなかった。


 それもこれも…今自分達がこうして幸せにいられるのも、アンのお陰なのだから…。


 もし夫がよからぬ縁談を彼女に持ってきたらただではおかない…と、親友である彼女の為にこうやって裏から見張っていたのである。


 そうしてアンは交流のある各国との王族との談笑もひと段落が付き、疲れた身体を引きって少し外気に当ってくるとレオンへ声を掛け…ホールを後にした。



 アンは色取り取りのバラが咲き誇る庭園を抜けて…暫く歩くと、そこには可愛らしい東屋あずまやがある。



 彼女のお気に入りの場所だ。


 退屈な夜会で王族としてある程度義務を果たした後は、暫くの間ここで1人きりになって過ごすのが…今の彼女のお気に入りなのだ。



 令嬢達も可愛いのだが…余り触られ過ぎなのも、しかもいるもホールのど真ん中と来ている。



「悪目立ち過ぎるってモノ…よね、行き遅れと言われてるのに…最近はユリなんて事言われてるのですもの。何処をどうしたらそう見られるのかしら…ね」



 何の気なしに彼女はそう呟いた…1人だと、そう完全に思っていたから――――。



「――――それは貴女の内側から現れる美しさにより…皆が引かれてしまうのですよ、アンフィリアン姫」



「誰っっ!?」



 アンはその声に吃驚びっくりして振り返るっっ!!



 だって今まで誰も…この東屋へは来た事がなかったのだから…。



 そう…行き遅れのユリの王女へちょっかいを出す物好きな男性なんて、今までいなかったものだから…。



「これは手厳しい…先程お逢いした者ですよ…姫」



 そう…確かに会ったわね…川で!!



 良く覚えてますとも…。



「貴方でしたの…ウィリアム・リチャード・フェンリーガ公爵」
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