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第一章 出会い?
どつぼ
しおりを挟む「あ…ローデン伯爵…」
彼は止める間もなく…ホールの方へと行ってしまった…。
心なしか彼がスキップしてるのは気のせい…?
もう…これで私の人生終わってしまったのだわ。
決定としか言いようが…ない。
ああぁぁぁ……今まで…例え行き遅れだとユリだと言われようとも、そして陰口を叩かれようとも…王女として公務を励み、家族や国民を愛して…そうして将来は心穏やかなる老後を迎え、甥や姪の子供を見て過ごす…静かだけど穏やかなる人生設計が…今、根底からガラガラと音を立てて崩れていくのを感じてしまう~~~~~~っっ。
もう…どうすればいいのだろう…。
そんな私が地獄に真っ逆さまへと落ち込んでいる横で、公爵は蠱惑的な笑みを浮かべる。
「見つかってしまいましたね…アン、これで今頃はホールで私達の噂でもちきり…でしょう。私としてはこれで愛しい貴女を1人占め…出来るのだから願ってもない事だけれど」
そう言いつつ…またも私の首筋に舌を這わしてくる。
そしてそれをされる度にお尻から首へとかけて、ゾクゾクとした…悪寒ではない甘い痺れにも似た不思議な感覚が、そう…今まで感じた事のないモノを感じてしまう自分がいる。
その行為と共に出てしまう変な声を抑えようと手で覆ってしまおうとすれば、公爵はその力強い手を使い…いとも簡単に、私の手なんて容易くこの身体ごと押さえ込んでしまう。
公爵は何と言っても女性とこういうやり取りは慣れている…だけどこちらとしては、その様なやり取りなんて全くした事が赤子の手を#ないのだっっ!!
免疫も何もない…彼にすれば私等赤子の手を捻るのとなんら変わらない筈。
嗚呼…こんな…こんな酷い辱めを受けてしまうのであればいっそ…この身体は如何にもならないみたいだから、純潔を奪われたら直ぐ――――自害してしまおうかしら…。
そうすれば最小限のスキャンダルで済むのかもしれない…。
そう言えば誰だか言っていたわね。
男性は好意を持っていない女性でもそういう行為をする事が出来ると言うのと、1度気持ちが昂ぶってしまえば終わるまで抑えらない獣だって事を…あの時は笑って聞いていたけど、まさか自分がその被害者になるとも知らずに…本当に愚かなアン。
そう思い出すと…私は抵抗しても仕方ないとばかりに…身体の力を緩めた。
「――――どうぞ…お好きになさって下さいませ。幾ら抵抗した所で私の力では公爵の指1本動かせられないでしょう。だから…もう抵抗はしません、でも…これだけは言っておきます。幾ら身体は穢されても、心までは穢されませんっっ!!」
泣くまい…泣けば心が屈した事になる…それは私の王女としての誇りが許さないっっ。
だけど…心に反して涙は溢れ、頬に幾筋も涙が伝ってしまう。
そんな私を見た公爵はそっと力を抜いて…頬を伝う涙を何度も優しく拭う。
「泣かないで…愛しいアン、私はどうやら貴女の誇りを傷つけてしまった様だね。私は決して貴女を苦しめたくはないのだ。ただ…私の気持ちを知って貰いたかっただけの事。貴女の事だからきっと純潔を奪われたら自害しようって考えていたのではないかな? だとすれば自害はお勧め出来ない…貴女の嫌うスキャンダルはもっと大きくなるから…ね」
それに元々こんな所で貴女の大切なるモノを奪いはしない…。
――――だったら直ぐ腰に絡ませている腕を退けなさいよっっ!!
涙も拭わなくてもいいから…さっさと放しなさいよっっ!!
そして今頃広まりつつ噂を何とかしてっっ!!
私は心の中で盛大に叫びまくっていたっっ!!
この思い通りにならない年下の公爵へ向かって…。
それと私は実際彼の告白をあまり…殆どと言ってもいい、内容を理解してはいなかったのだ。
だって…年下のイケメン公爵の新手の悪戯としか思えなかったのですもの。
そう性質の悪い悪戯…。
その悪戯に心を傷つけられてしまい、更に噂の的となり…もうこの先お父様やお母様、そして頑固なお兄様へ如何申し開きしていいのかわからなかったのだ。
だから…公爵の気持ちなんて推し量る事もなく――――、如何して自分がこうなってしまったのかを…本当に何かやらかしたから、今こんな目に遭っているのだと…思っていたのだ。
それ程に私の心は何時になく――――動揺していたと言っていい。
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