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第二章 ただ今契約履行中
11 忍び寄る危機 少々加筆しました
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茉莉花のお披露目は特に問題もなく無事に終える事が出来た。
しかし当の茉莉花は当分……いや叶う事ならば元の世界へ還るまで、舞踏会の様な大きな催しには絶対出席したくないと思った。
何故なら女の子が一度は憧れれるだろう夢の中に出てきそうなお姫様仕立ての豪奢なドレスとそのドレスに見合うだけの装飾品が、これ程にまでに見事な拷問具と化すとは実際に身につけてみないとわからないものなのだ!!
あんな窮屈なコルセットに重いドレスを着て朗らかに笑ったり、お互いの腹の探り合いをするなんて、ある意味貴族の皆さんって凄いのかも……。
でも残念ながら私には絶対無理っっ!!
もう舞踏会の終盤なんてコルセットによる締め付けが苦しくて、気分不良でなく気絶一歩手前よ!!
こうなれば一日でも早く問題を解決して元の世界へ戻る方法を探さなきゃ。
茉莉花にとって最早災難極まりない舞踏会より数日経ったある日の午後、その日はとても天気が良かったのだ。
何時もの様に午前中の講義を終えた茉莉花も、ヴァルと待ち合わせの離宮へ行くにはほんの少し早いと思っていた時だった。
そんな茉莉花へ傍に控えていたドロシーより王宮の奥には小さな庭園があり、そこの薔薇がとても綺麗に咲いていると聞き、茉莉花は部屋を整えるからというドロシーを残し、ジョージーそして数人の侍女や護衛騎士達と共にその庭園へと向かった。
当然茉莉花はドロシーも誘ったのだが、生憎ドロシーは体調が少し優れないと言う為、やや顔色の優れないドロシーを心配しつつ茉莉花達は部屋を後にした。
勿論目覚め始めた聖女の力もだが、同時に看護師である茉莉花は体調の優れないドロシーを治療をしようと手を伸ばし掛けるが、ドロシーはやんわりと拒否をした。
なんでも月のモノだからと言って茉莉花の申し出を丁重に断り部屋での待機となったのだ。
ジョージー達に案内された庭園は宮殿の奥まった所にひっそりと造られたもの。
何でも数代前の聖女が大層薔薇を好み、そしてその願いを叶えたいと思った当時の王が、自らの手で妻である聖女の為に色とりどりの薔薇に溢れる庭園を造ったというらしい。
恋人達の庭と称される庭園は、建物と建物の間に造られた何処か秘密めいた庭園。
きっと忙しい政務の合間にほんの少し抜け出しては、密か……別に密かでもないだろうが愛し合う恋人達の逢瀬を演出していた場所だったのだろう。
訪れた庭は微笑ましい名前通りのとても素敵な場所。
茉莉花は初めて足を踏み入れる場所に何やらドキドキと興奮してしまう。
別に茉莉花自身薔薇に対して然程想い入れがあった訳ではない。
ただ、この庭を目にしたと同時に茉莉花の心へある思いが流れ込んできた。
どの様に時が過ぎようとも愛し合った二人の想いは、今も色褪せる事無くこの薔薇達をより美しく咲き乱れさせていると言う事に……。
お互いを想い合う優しくも強い想いに、茉莉花は自然と惹かれる様に庭園の中央へゆっくりと歩き出した刹那――――っっ!?
「「茉莉花様っっ!!」」
ガッチャ――――ンンっっ!!
「「「「きゃあああぁぁぁあああ茉莉花様――――っっ!!」」」」
ジョージーは咄嗟に茉莉花の身体ごとその場を避ける様に飛び退いた!!
護衛騎士のリアも二人を庇う形で鍛えられた身体を遣い覆う。
他の侍女達はただ恐怖で叫び出す者もいれば、腰を抜かしてしまう侍女もいる。
残る二名の騎士の内一人はヴァルへと報告に行き、もう一人は周囲の把握と警戒に勤めた。
そして茉莉花が立っていたであろう場所には、大きな花瓶だったものが見事に砕け散っていた。
また大きな破壊音に近くにいた騎士や侍従と王宮に勤めている貴族達が疎らに近寄ってくる中――――。
「茉莉花っっ!!」
茉莉花の異変を逸早くヴァルが駆けつけ、そして彼女を見つけると力任せに引き寄せ、その身体を掻き抱く。
ヴァルが茉莉花の危機を察知したのは彼女の身体へヴァル自身の手で防御結界を張っていた為なのだ。
何もなければ良いと、ただお守りの代わり……いや茉莉花の周囲へ結界を張る事で、ヴァル自身が安心したかったのだろう。
まさかこんなに早く茉莉花が狙われるとは、ヴァルは自身考えが甘かったのだと痛感すると共に彼の腕の中にいる茉莉花が無事で良かったと心より安堵した。
「ヴァルちょっと痛い。ねえ私は大丈夫だから……」
「あぁ茉莉花っ、本当に無事で良かった」
茉莉花がヴァルへ声を掛けるも彼は彼女の身体を両の腕の拘束より解こうとしない。
そして拘束されたままの茉莉花は気付いた。
誰かが自分を狙っているかもしれない事に当然恐怖を抱き、その所為で身体が震えているのだと思っていたのだがそれは間違いだった。
震えていたのは茉莉花ではなく、ヴァルだったのだっっ。
身体の骨という骨が軋む程に力強く抱きしめるヴァルの身体より伝わったのは、小刻みに震える身体と何とも言いようのない不安。
それはほんの一時の間だったのだけれど、それだけで今回の騒動が事故ではないと茉莉花は心の中でひしひしと感じ取っていた。
でも一体誰が何の為に……。
理由は皆目見当がつかない。
あの……ジョージーが落下してくる花瓶を避ける為に茉莉花へと覆い被さりつつ飛び退いた瞬間、あれは何処の誰かもわからない。
ただ四階にある小さな窓よりほんの少しだけ手が垣間見えたのだ!!
花瓶を落とした瞬間を茉莉花は見ていないから断言出来ないけれど、四階にあるのは左の執務棟で言えば王であるヴァルの部屋がある。
そして右の建物の三階より上は王族のプライベート空間。
現在王族のプライベートエリアの住人はヴァルと茉莉花のみ。
その二人以外は身元がはっきりとしている騎士と侍従、それから侍女達である。
心配し過ぎで震えていた?ヴァルの存在も気にはなるが、茉莉花にとってこれはまだまだほんの序の口に過ぎなかった。
それから暫くしてヴァルはジョージーやリア達に命じて、茉莉花を私室へと戻らせる。
またその日を境にプライベート空間は勿論の事、部屋の扉の前にも今まで以上に厳重な警護を配備した。
部屋に戻った茉莉花達をドロシーは何故か驚き、何やら相当吃驚したらしく出掛ける前よりも表情が優れないのが茉莉花にしてみれば少々気掛かりであった。
理由なんてわからない。
ただ何時ものドロシーらしくないと感じただけである。
一方何も気付く様子のないジョージーは部屋に戻ると同時に、茉莉花へ落ち着く様にと、温かいお茶を淹れてくれた。
そうして茉莉花はお茶を飲みながら、先程感じた身体に残る震えを思い出していた。
しかし当の茉莉花は当分……いや叶う事ならば元の世界へ還るまで、舞踏会の様な大きな催しには絶対出席したくないと思った。
何故なら女の子が一度は憧れれるだろう夢の中に出てきそうなお姫様仕立ての豪奢なドレスとそのドレスに見合うだけの装飾品が、これ程にまでに見事な拷問具と化すとは実際に身につけてみないとわからないものなのだ!!
あんな窮屈なコルセットに重いドレスを着て朗らかに笑ったり、お互いの腹の探り合いをするなんて、ある意味貴族の皆さんって凄いのかも……。
でも残念ながら私には絶対無理っっ!!
もう舞踏会の終盤なんてコルセットによる締め付けが苦しくて、気分不良でなく気絶一歩手前よ!!
こうなれば一日でも早く問題を解決して元の世界へ戻る方法を探さなきゃ。
茉莉花にとって最早災難極まりない舞踏会より数日経ったある日の午後、その日はとても天気が良かったのだ。
何時もの様に午前中の講義を終えた茉莉花も、ヴァルと待ち合わせの離宮へ行くにはほんの少し早いと思っていた時だった。
そんな茉莉花へ傍に控えていたドロシーより王宮の奥には小さな庭園があり、そこの薔薇がとても綺麗に咲いていると聞き、茉莉花は部屋を整えるからというドロシーを残し、ジョージーそして数人の侍女や護衛騎士達と共にその庭園へと向かった。
当然茉莉花はドロシーも誘ったのだが、生憎ドロシーは体調が少し優れないと言う為、やや顔色の優れないドロシーを心配しつつ茉莉花達は部屋を後にした。
勿論目覚め始めた聖女の力もだが、同時に看護師である茉莉花は体調の優れないドロシーを治療をしようと手を伸ばし掛けるが、ドロシーはやんわりと拒否をした。
なんでも月のモノだからと言って茉莉花の申し出を丁重に断り部屋での待機となったのだ。
ジョージー達に案内された庭園は宮殿の奥まった所にひっそりと造られたもの。
何でも数代前の聖女が大層薔薇を好み、そしてその願いを叶えたいと思った当時の王が、自らの手で妻である聖女の為に色とりどりの薔薇に溢れる庭園を造ったというらしい。
恋人達の庭と称される庭園は、建物と建物の間に造られた何処か秘密めいた庭園。
きっと忙しい政務の合間にほんの少し抜け出しては、密か……別に密かでもないだろうが愛し合う恋人達の逢瀬を演出していた場所だったのだろう。
訪れた庭は微笑ましい名前通りのとても素敵な場所。
茉莉花は初めて足を踏み入れる場所に何やらドキドキと興奮してしまう。
別に茉莉花自身薔薇に対して然程想い入れがあった訳ではない。
ただ、この庭を目にしたと同時に茉莉花の心へある思いが流れ込んできた。
どの様に時が過ぎようとも愛し合った二人の想いは、今も色褪せる事無くこの薔薇達をより美しく咲き乱れさせていると言う事に……。
お互いを想い合う優しくも強い想いに、茉莉花は自然と惹かれる様に庭園の中央へゆっくりと歩き出した刹那――――っっ!?
「「茉莉花様っっ!!」」
ガッチャ――――ンンっっ!!
「「「「きゃあああぁぁぁあああ茉莉花様――――っっ!!」」」」
ジョージーは咄嗟に茉莉花の身体ごとその場を避ける様に飛び退いた!!
護衛騎士のリアも二人を庇う形で鍛えられた身体を遣い覆う。
他の侍女達はただ恐怖で叫び出す者もいれば、腰を抜かしてしまう侍女もいる。
残る二名の騎士の内一人はヴァルへと報告に行き、もう一人は周囲の把握と警戒に勤めた。
そして茉莉花が立っていたであろう場所には、大きな花瓶だったものが見事に砕け散っていた。
また大きな破壊音に近くにいた騎士や侍従と王宮に勤めている貴族達が疎らに近寄ってくる中――――。
「茉莉花っっ!!」
茉莉花の異変を逸早くヴァルが駆けつけ、そして彼女を見つけると力任せに引き寄せ、その身体を掻き抱く。
ヴァルが茉莉花の危機を察知したのは彼女の身体へヴァル自身の手で防御結界を張っていた為なのだ。
何もなければ良いと、ただお守りの代わり……いや茉莉花の周囲へ結界を張る事で、ヴァル自身が安心したかったのだろう。
まさかこんなに早く茉莉花が狙われるとは、ヴァルは自身考えが甘かったのだと痛感すると共に彼の腕の中にいる茉莉花が無事で良かったと心より安堵した。
「ヴァルちょっと痛い。ねえ私は大丈夫だから……」
「あぁ茉莉花っ、本当に無事で良かった」
茉莉花がヴァルへ声を掛けるも彼は彼女の身体を両の腕の拘束より解こうとしない。
そして拘束されたままの茉莉花は気付いた。
誰かが自分を狙っているかもしれない事に当然恐怖を抱き、その所為で身体が震えているのだと思っていたのだがそれは間違いだった。
震えていたのは茉莉花ではなく、ヴァルだったのだっっ。
身体の骨という骨が軋む程に力強く抱きしめるヴァルの身体より伝わったのは、小刻みに震える身体と何とも言いようのない不安。
それはほんの一時の間だったのだけれど、それだけで今回の騒動が事故ではないと茉莉花は心の中でひしひしと感じ取っていた。
でも一体誰が何の為に……。
理由は皆目見当がつかない。
あの……ジョージーが落下してくる花瓶を避ける為に茉莉花へと覆い被さりつつ飛び退いた瞬間、あれは何処の誰かもわからない。
ただ四階にある小さな窓よりほんの少しだけ手が垣間見えたのだ!!
花瓶を落とした瞬間を茉莉花は見ていないから断言出来ないけれど、四階にあるのは左の執務棟で言えば王であるヴァルの部屋がある。
そして右の建物の三階より上は王族のプライベート空間。
現在王族のプライベートエリアの住人はヴァルと茉莉花のみ。
その二人以外は身元がはっきりとしている騎士と侍従、それから侍女達である。
心配し過ぎで震えていた?ヴァルの存在も気にはなるが、茉莉花にとってこれはまだまだほんの序の口に過ぎなかった。
それから暫くしてヴァルはジョージーやリア達に命じて、茉莉花を私室へと戻らせる。
またその日を境にプライベート空間は勿論の事、部屋の扉の前にも今まで以上に厳重な警護を配備した。
部屋に戻った茉莉花達をドロシーは何故か驚き、何やら相当吃驚したらしく出掛ける前よりも表情が優れないのが茉莉花にしてみれば少々気掛かりであった。
理由なんてわからない。
ただ何時ものドロシーらしくないと感じただけである。
一方何も気付く様子のないジョージーは部屋に戻ると同時に、茉莉花へ落ち着く様にと、温かいお茶を淹れてくれた。
そうして茉莉花はお茶を飲みながら、先程感じた身体に残る震えを思い出していた。
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