アラフォー王妃様に夫の愛は必要ない?

雪乃

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第一話  白い結婚と眠り死病

11 閑話  筆頭侍女ベアの心の日記???

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 私はベアトリス・コリーン・オルコット。
 ノースウッド皇国の伯爵令嬢ですわ。
 私が初めて我が主であるアレクサ様と出会ったのは今でも忘れやしません。
 あれはまだ私が12歳になった頃、初めて侍女と共に……えぇ勿論護衛の騎士も付いていましてよ。
 ノースウッドで一番の祭りでもある精霊祭を見たくて、両親に強請ねだり街へと出かけたのです。

 精霊祭……そう、それは国一番のお祭り。

 しかし祭りに酔いしれる人間は我が国の者ばかりだけではなく、大陸内よりいいえ、海を越えてあらゆる国の人間がやってくるのです。
 偉大な世界樹のある五つの各皇国で行われる精霊祭は、単なる祭り等ではなく当然ながら神事も行われるので、今を思えば12歳の子供が幾ら供を連れているとしても、浅慮でとても愚かな行動でした。

 だから祭りの空気に酔いしれていた時――――私はある事故へ巻き込まれてしまったのです。

 それはどの様に格式の高い祭事と申しましてもそこはそれ、王都で賑わう人々達は皆祭りに、そして酒に酔いしれ、酔った男達がする行動と言えば――――ですわね。
 勿論供の者は私を庇ってくれましたけれども、お酒の力で気を良くした男達はあっという間に約20人を超え大乱闘となり、当然負傷者は出ましたし私の護衛の騎士もとばっちりを受けて怪我を負いました。
 そこへ転移魔法で空中より現れたのは、全身真っ白の衣装を身に纏われ、ベールの上に載せられた金色のサークレットは陽の光できらきらと眩い光を放ち、肩に掛けられた薄絹のショールはまるで背に生えた羽を思わせ、皆乱闘を忘れゆっくりと降下されるあの御方の神々しいまでのお姿に魅せられてしまったのです。

 そのお姿は一瞬世界樹にいらっしゃるという精霊様かと思ってしまいました。
 そうして地上へ降り立つあの御方は、乱闘で負傷した男達へ次々と治療を施されるのです。
 勿論騒ぎを聞きつけた騎士達それに聖魔導師達もいましたが、あの御方の放つ柔らかで温かいオーラはそれらとは全く異質な、でもとても心地良いものでした。
 そうして私達の許へ来られると、騎士の治療を施して頂いた上に、あの御方は私を見て――――っっ。

「ほら、泣かないの。ちゃんと気をつけてお祭りを楽しんでね」

 微笑みと一緒にお言葉を掛けて頂いたのですっっ!!
 その瞬間――――私の心は恋という矢でしっかりと射ぬかれてしまったのですっっ。
 私達の治療を終えたあの御方へ近づくのは護衛騎士でしょうか?
 彼らに護られ静かにお姿を消されてしまいました。
 そして私は祭りもそこそこに急いで帰宅し、今日の出来事を両親へと報告しましたの。
 乱闘騒ぎに巻き込まれたと知った両親は驚き、そしてとても心配されましたがそんな事は如何どうでもいいのです!!

 私が今知りたい事はただ一つ――――。
 あの御方は何処のどなたいえ、勿論聖魔導師!!
 それも上級であろう事は12歳の小娘にでもわかる事。
 でも私はあの御方の事を何としても知りたいっっ。
 そしてどの様な手段を用いてもあの御方のお傍へ行きたいのです!!

 そう手掛かりはすでに掴んでいますわっっ。
 白いベールより垣間見た艶やかな漆黒の髪、そして翡翠と違わぬいえ、それ以上に美しい瞳。
 漆黒の髪と翡翠の瞳は皇室の血を受け継ぐ御方だけが許されるもの。
 そして聖魔導師であられるのは――――。

 教皇きょうおう陛下の殿!!

 そう、あの御方は間違いなく女性。
 第一皇女アレクサンドラ・キャロリーン・ディアナ・ノーリッシュ殿下。
 確か御齢28歳で皇位継承第二位だとか……。

 王侯貴族にありがちな傲岸不遜ごうがんふそんな性格ではなく、貴族平民問わずお優しくそして思慮深い御方。
 皇女としての公務の傍ら単身で市井しせいへ赴き、一聖魔導師としてその御力を平和の為に使われていると言う素晴らしい御心の持ち主。
 現在決まった婚約者もいらっしゃらず、日々公務と聖魔導師として努めていらっしゃるとか。
 派手な夜会等は好まれず、時間がある時は施設へ行き、子供達と一緒に過ごされているらしい。

 私は父の伝手でそれとなくアレクサ様の動向を調べさせて頂きました。
 夜会は好まれない故公式な舞踏会のみの参加をされるとか、でも私はまだ12歳の子供。
 15歳の成人の時まで公式の舞踏会への参加は許されない。
 そしてアレクサ様はお優しく思慮深い御方だけれども実はとても行動的で、一つの場所でのんびりと時間を過ごす御方ではない。
 時間があれば市井へ行ったり、施設や色々細かく移動されるので如何いかんせん行動が掴み難い。

 そう、私がアレクサ様のお傍へ近づくには他にも色々と障害があり過ぎたのです。
 そうしてヤキモキしている間に時は流れ、私はやっと15歳となり成人しました。
 生憎婚約者という存在はいまだおりません……と言うか、片っ端から親の持ってくる縁談を断っておりましたもの。
 そんな私に結婚とは、貴族令嬢として一種の務めでもあると母親が諭している傍で業を煮やした父より朗報が伝えられました。

「この度行儀見習いを兼ねて、アレクサンドラ皇女殿下のとして伺候しこうしなさい」

 やりましたわっっ!!
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