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第2話『洗いっこ』*
しおりを挟む正直私は、武藤くんと芽衣子と合流してからも、ずっと下半身のことばかり考えていた。
どうしてこうなった?!
なんのために?!
どうすりゃいいの?!
頭の中はそればっかりだ。
よりによって、相手は高梨。
私のお股に高梨のブツが付いている。なんだこれ。
その上、私のが高梨のところにある。
トイレとかさ、お風呂とかさ、どうするの?!
生理とかは?!
ていうか一生このまま?!
私だっていつかは大好きな人と結ばれて、甘い夜を迎えて、子供を産んで‥とか、そんなぼんやりとした未来図があったのに‥!!
大好きな人の前で晒さないよ、こんな体!!
プールや海も行けないし、温泉だって行けない!!
それどころか‥普通に制服着てて大丈夫なんだろうか‥
いや、バイト先のカフェなんてもっとヤバい!
なんていう厄介なものがお股にあるのよ!!!
高梨は普通にラーメンと炒飯と餃子を平らげている。神経おかしいんじゃないの‥こいつ‥
「夢ちゃん元気ないね‥大丈夫?」
芽衣子が私の顔を心配そうに覗き込む。
うううう。言えないよ‥
芽衣子の好きな人のブツが私にくっ付いてるだなんて‥
「な、なんか人に酔っちゃったみたい‥」
「すっごい人多かったもんね」
「うん‥」
夏休みはあと2週間。
せめてどうにかその間に、あのお婆ちゃん見つけ出さないと‥。
ラーメンを食べ終わった私たちは、駅で解散した。
女子力の高い芽衣子に絆創膏を貰ったおかげで、なんとか痛みを誤魔化しながら歩くことができた。
武藤くんと芽衣子は高校に入ってからの友達だ。
必然的に、地元が同じな高梨と私は2人で帰ることになる。
「ねぇ、まじでどうする‥?」
「‥‥俺、トイレ行きたいんだけどいい?」
「え!!!やだ!!やめて!!!」
「漏らせってか」
漏らしたところで、着替えるときとかお風呂のときとか、遅かれ早かれ見られてしまう事になる。
それはわかってる‥でも嫌だ!!とてつもなく!!
「‥‥‥絶対に見ないでして。トイレットペーパー多めに使って、触らないようにして」
「俺帰ったらソッコー風呂入るつもりだけど」
ーーーつまり、それは、直接触られるということ‥
「お願い‥謝るから勘弁して‥」
「治るまで一生風呂入んなってか」
「う、うん」
「それお前も同じこと言えるけど耐えられんの?」
ガーーーン。
それもそうだ。
私が一方的に見られるだけじゃない。
高梨のものも見なくてはいけないんだ。
「‥‥」
「そもそも、お前‥洗い方とか諸々わかってんの?見たことある?」
「ないよ‥わかんない」
「生理現象も絶対あるけど、耐えられんの?」
「‥は?」
「勃ったときの話」
ひゅーーーーーー
ズドーーーーーン!!!!
脳内で、満開の花火が咲いた。
いや、大砲が落ちたのかな。まぁ、どっちでもいいんだけど。
「あ‥あんただって洗い方とかわかるの?」
治るまでお風呂入るなっていうのは無理があると悟った。まず、もし元に戻ったとき‥不衛生すぎる状態で返還されるのは嫌すぎる‥
「洗い方はー‥まぁなんとなく想像つくけど。
抜き方はわかんねぇな」
ーーー抜き方?!
「え、もしかして、それって‥その、」
「生理現象?」
「や、やめてよ!!!それだけは絶対無理!!!」
「だってわかんねぇじゃん?アソコ入れ替わったって、脳みそは男のまんまだし。俺結構してたし」
「はあああ?!」
何そのカミングアウト!要らないんだけど!!!
私のブツで高梨が1人でする‥とか本当無理!!!
「し、したことないから!私は!!!
だから絶対にやめて!汚さないで!!!」
「じゃあお前は俺ので抜かねーの?」
「当たり前じゃん!!!
あんたと一緒にしないでよ!変態!!」
高梨は、ふーん、と楽しそうな表情を浮かべた。
こんな時に、どうしてそんな顔をしていられるわけ‥?!
「お前、男の体見くびんない方いいよ?
すぐ勃つし、抜かないと寝てる間に出たりするし」
な‥!!!
「まぁ、エロ動画でも見てなんとか勝手に抜くっていうならいいけど」
「なんでするの前提なのよ!!」
「当たり前じゃん。その体、俺のだし。
俺がしょっちゅう抜いてたんだからお前もそうなるだろ」
「一緒にしないでよっ!!!
私は絶っっっ対にしないから!!」
「へいへい。頑張って悶えてくれ」
「あ、あんた絶対に私の弄らないでね!!」
「なにそれ、なんかエロ~」
「まじでお願いだからしないで!!」
「とりあえず普通に風呂入るからな?」
「それも嫌だっっ!!!」
嫌だと言ってられないのは分かってる。
でもやっぱり‥こんな妖怪エロ男に、自分の知らないところで触られたくなんかない‥!!
「‥‥じゃあお前がお前の洗う?
んで俺が俺の」
「‥へ?」
「うち今日親夜勤でいないから。せめて慣れるまでは、お互いのやつお互いが洗った方よくね?上半身は服着て、洗われる側が目隠しかなんかしてれば文句なくね?」
ーーーーそ、その手があったか‥。
って、いや、いいのか?!
年頃の男女が洗いっこって‥!
いや、でも洗うのは自分のモノだし‥確かに高梨に洗われるよりはいいけど‥
私も高梨のやつ触りたくなんてないし‥
「‥‥‥乗った!」
「おう」
まずは状況を受け止めて整理する時間が必要だ。
1日くらい経てば、今よりかは冷静になれるかもしれない。
とりあえず今日は、お互いが自分のを洗った方がいい。
高梨の家に来るのは、実に小学生ぶりだ。
あの当時から、あんまり変わってない気がする。
うちから徒歩10分くらいのマンション。
「てか時間大丈夫なの?」
「‥あんま余裕ないけど仕方ないじゃん‥」
「まぁ、そうだな。
じゃーとっととやるか」
「う、うん‥」
私は高梨の部屋で浴衣を脱いで、高梨の部屋着を借りた。
そこで、重大なことに気がついた。
リビングで寛ぐ高梨に、恐る恐る問いかける。
「え、ていうかさ‥高梨って浴衣着付け出来る?」
「え、むしろできると思って聞いてる?」
「いや‥‥思ってない」
どうしよう。
浴衣を着て祭りに出かけた娘が、男物の部屋着を着て遅い時間に帰ったりなんてしたら‥
なんて誤魔化せば‥
「なんなら泊まってもいいけど」
「い、いや、無理!」
何が嬉しくて高梨と一晩過ごさなきゃいけないんだ。ふざけるのも大概にしてくれ。
「‥じゃーなんか溢して浴衣汚したとか言えばいいんじゃねーの」
「た、確かに‥!名案!」
高梨はアホだな、と呟いて脱衣所へと向かった。
私も慌ててその後ろを追う。
ーーーが、目の前でバタン、と扉を閉められてしまった。
「え?脱衣所じゃないの?」
「便所だけど」
「う、嘘でしょ?!やめて!!」
「もういい加減諦めろよ。表面しか見えねーんだからまだマシだろ」
ーーーううぅ、消えたい‥
表面ってなんだよ‥!
トイレから出てきた高梨を、これでもかというほどに睨みつけるけど、効果はなかったようだ。
「ここ脱衣所」
トイレで表面を見た件には触れず、私の顔も見ることのないまま、高梨が上半身を脱ぎ始めた。
「え?!なんで上も脱ぐの?!」
「‥え、別に男だから上半身は抵抗ねーよ」
そ、そうか‥そうなのか‥。
でもガタイが良くて、雄々しい体つきのくせに大事な部分がアレって‥それを見せつけられるのって‥
‥‥‥まぁ、いいか。
まずは、高梨のモノから洗うことになった。
私は上下着たまま、タオルで高梨の目を隠した。
「目隠し‥全裸‥エロ」
「いいから黙って!!!」
ぎゃあぎゃあいいながらも、高梨をお風呂場の椅子に座らせる。
わー、見れば見るほど私のやつ‥。
というか、もう少し足閉じて座ってほしい。はしたなすぎる。丸見えだ‥。
シャワーを出して、ボディソープを泡立てる。
「い、いくわよ‥」
「んー」
壊れそうな心臓を、どうにか保ちながら恐る恐る高梨の足の間に手を伸ばす。
自分のモノだけど、自分についてるわけじゃないから‥力加減が難しいかもしれない。
いつもより少し優し目に、秘部を洗い始めた。
この洗っている感覚を、高梨が感じているのだと思うともうこのまま消え去ってしまいたい。
恥ずかしくて死んでしまいそうだ。
自分のモノでさえ、あんま触りたくなくなってしまう。
だけど、『こいつ普段適当にしか洗ってねーんだな』とか思われるのも屈辱すぎるから、むしろいつもよりも丁寧に洗ってしまった。
私の手が、蕾に触れた時だった。
小さく、高梨が体をビクつかせた。
「‥‥」
「‥‥」
高梨の顔が、赤く染まっている。
いや、きっと私もだろうけど‥
正直さっきっから、馬鹿みたいに余裕ある感じを見せつけられていたから、少し良い気味だ、なんて思ってる自分もいたりする。
この、異様な緊張感に、シャワーの音だけが響く異様な静けさ。
ドキドキと鼓動が聞こえてしまいそうで嫌になる。
「‥終わったよ」
「‥おう」
さて、次は私の番だ‥。
大丈夫、大丈夫。心を無にしていれば何事もなく終わるはずだ。
とりあえず高梨も上がり、服を着る。
私は反対に、タオルで目隠しをされて、ズボンを脱いだ。
「お前‥これ本当に苦しくないの?」
「‥‥な、なにが」
「パンツめっちゃ食い込んでるし、飛び出てるけど」
「そ、そりゃあ女物の下着だもん」
「‥‥そうじゃなくて。‥まぁいいや」
高梨が下着を脱がしたようだ。
なんだろう、なんだかとても苦しい。
‥‥緊張のせいかな。
「椅子、ここにあるから」
高梨に誘導されるがまま、椅子に腰を下ろす。
太ももに、熱くて硬いものが当たる。
あれ、なんかさっきまでもっと柔らかかった気がするけど。気のせいかな‥。
なんか、気分もおかしいような。
いや、おかしいのは当然か。
こんな状況だもん‥
ドクドクドクドクと、胸を打ち付ける心臓は馬鹿みたいに煩い。あーなんか辛い‥苦しい‥。
「お湯かけるからな」
「う‥うん」
なんだか馬鹿みたいに熱を帯びて敏感になった気がするソレに、お湯がかかった。
「ふぁっ」
「‥‥‥」
「‥‥‥」
な、なんか今出てはいけない声が出たような。なんだ?今のは‥
「‥‥洗うからな」
「う‥うん」
高梨の大きい手が、太ももに触れる。
それだけでまたさっきの奇妙な声が出てしまいそうだった。
一生懸命に唇を固く結び、更に腕で唇を押さえつけた。
なんだか出してはいけない声。
それだけはわかる。
ボディソープを付けてヌルヌルした高梨の手は、私の足を開かせてどうやら下の方から洗い始めたらしい。
目隠しをされているというのに、目をぎゅっと瞑り、湧き上がりそうな声もグッと堪える。頭は朦朧として、心臓は馬鹿みたいに早かった。
高梨の手が、どうやら熱くなったアレを触った。
高梨の手が動くたびに、ビクビクと反応する体をどうにかしたい。
これじゃあさっきの高梨を笑い者にできないじゃないか。
「まさか‥気持ちいいの?」
突然、聞いたこともないような高梨の甘い声が耳元を襲った。なんつー至近距離で、なんつー言葉を‥!
耳にその吐息がかかって、どれだけ高梨が私のすぐ近くにいるのかを再確認させられた。
もう、どこに意識を持っていけばいいのかわからない。
「ば、馬鹿言ってないで早く洗って‥」
「わかった」
その瞬間、高梨はその手を上下に動かし始めた。
なにこれ、なにこれぇぇぇ!!
男の人が体洗うのって、こんなに大変なことだったの?!
体がビクついて仕方がない。
どんなに声を我慢しても、「んっ」とか「うぅ」とか、私自身が聞いたことのないような声が、漏れ出ていた。
耳元で、チュッと音が聞こえた。
耳に吹きかけられた息にも、全身が身悶えしてしまう。
たまたま息がかかっただけだよね?!
高梨と私に限ってそんな色っぽい展開にはならないはず!!!
もう何が何だかわからない。
どっちが天井で、どっちが床かもわからない。
私はただただ、ぐったりと高梨に背中を預けたまま、何かを懸命に堪えていた。
「我慢‥しなくていいよ」
聞いたこともないような、高梨の優しい声。
その瞬間だった。
「んっ、いやぁぁぁ」
体が激しく揺れた。
経験したことのない快感が、脳内を突き抜ける。
下腹部が変に脈打つ感覚を感じながら、その止まらない快感にどうしていいのかわからず、もう声も抑えることも忘れ、私は全力で仰け反っていた。
「ふあぁっ」
なに‥なんなの‥
なにが起きたの‥‥
呆然としてると、チュクッと妙な音が響いた。
それは、瞬く間に耳を生温かく犯していく。
時々耳を食むように、そして耳の奥までその生温かいものが侵入してきた。
「や、やぁぁっ、なにぃ」
抵抗したいのに、体が言うことを聞いてくれない。
なんだかとろんと蕩けてしまったようだ。
「ごめん‥無理だ」
高梨はそう言うと、私の目隠しを取った。
頬を紅潮させる高梨を見て、何故だか胸が鳴ってしまった気がした。
こいつ‥こんな顔するんだ‥
「お前可愛すぎ‥」
「な、なに言って‥」
「エロすぎだよ」
下半身が馬鹿みたいにきゅんきゅん疼いている。
まるで、何かを求めているようだ。
‥きゅんきゅん?
ふと、下半身に目をやる。
「わああああああ!!!」
「うるさ‥」
「も、ももも、戻ってる!!」
「‥‥まじだ」
高梨と目が合って、そして大事なことに気づいた。
つまり、私は足を広げて自分のモノを晒しているような状態だ。
くったりと高梨に寄りかかっていた体を起こして、高梨を叩いた。
「?!」
「早く出てってよ!!」
「え、今?」
「今じゃなきゃいつ出るのよ!!」
「‥‥」
高梨を追い出して、シャワーを出す。
何故かベタベタする太ももを流した。
いや、鏡や壁にもベタベタがくっ付いている。
ボディソープ‥??
えらく派手に飛んだなー。
あーー、よかった!元に戻って。
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