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第3話『出戻り』
しおりを挟む家に帰った私は部屋の中で発狂した。
部屋に入った途端、またもや下半身に違和感を感じたのだ。
うそでしょ‥?!
元に戻ってからまだほんの少ししか経ってないのに‥!
ソッと高梨から借りた部屋着のズボンに手を掛けて、その中を覗く。
「ひぃぃぃ」
声にならない声とはこのこと。
ある‥!!ブツが‥!悍ましいブツが‥!
女物の白いパンツからはみ出てる‥!
やや茶色目のそれは、私のとは質の違うもじゃもじゃと一緒に『苦しいよ~』と顔を出していた。
先端はピンクなんだけど、もう本当可愛くもなんともないっていうか、ただただ悍ましいだけ。
どう行動していいのかわからずにブツを見つめ続けること数十秒。私はここにきてやっと気付いた。
ていうことは‥
今私のアレは高梨にくっ付いてるの‥?
「いやああああああああ!!!」
アイツはいま家に1人。
私の大事な大事な娘に、何されるかわかったもんじゃない!
「ちょっと夢?!大丈夫?!」
お母さんが猛スピードで階段を駆け上ってくるなり扉を開けた。
私は咄嗟にズボンから手を離した。
よかった‥すっぽんぽんじゃなくて‥。
「ご、ごめん、虫!虫がいて!」
「えぇ?虫?」
「う、うん。もう窓から外に逃したんだけど。
なんか茶色くてモソっとしててもじゃもじゃのやつ」
「あらそう‥何の虫かしら。気色悪いわね」
「そうなの!気色悪いの!!」
いやねぇ、と言いながらお母さんは部屋から出て行った。
私はしばらくしてからもう一度ズボンの中を見た。
「‥どうしたら治るのよ、これ‥‥」
さっき治ったじゃん!
なのにまた取り替えっこさせられるなんて‥
油断したら涙が出てきてしまいそうだ。
だけど私にはやることがある‥
私はスマホで高梨に電話を掛けた。
私から高梨に電話するのなんて初めてじゃない‥?高梨から私に電話がかかってきたこともないけど。
クソォ、なんでよりによって高梨なんだ‥。いや、武藤くんとの取り替えっこも嫌だけどさぁ!ていうか取り替えっこ自体いやだよっ!
‥‥ていうか、出ないし!
コール音は無情にも鳴り続ける。
はぁ、何してるのよアイツ‥。
ハッ!!まさか‥
私の娘に何か良からぬことをしているんじゃ‥?!
私はゴクリと息を飲んだ。
時刻は既に23時。今から外に出るなんてできないよ‥!
いや、でもこのままじゃ‥
思い立った私は音を立てずに階段を降りた。
お父さんもお母さんも、もうすぐ寝る‥。
うまくいけばバレずに高梨の家に行けるんじゃ‥?
いや、でも。
高梨の家に行ったところで、どういう法則で取り替えっこしているのかわからない。行っても解決できないかもしれない。
そしたら、高梨が私の娘に悪いことしないようにただただ見張るの?一晩中??
あーー、無理だよ‥そんなの。
だって‥朝になって、お父さんとお母さんにバレずに家に帰って来れるとも思えない。
それに、高梨のご両親だっていつ仕事から戻ってくるかもわからない‥!
「夢?どうしたの?」
リビングの扉が開いて、お母さんが顔を出した。
玄関の前で身悶えている私を不思議そうに見つめてくる。
嗚呼‥ごめんなさい、お母さん。
私‥今まで、素直にのびのびと育ってきました。
沢山の愛情を注いでくれてありがとう‥
そんな愛娘の股には、高梨のブツがくっついてるんです‥ごめんなさい。
「あ、えっと。
なんでもないよ」
にこっと引き攣った笑みを見せると、お母さんは困ったように笑った。
「高梨くんの服いつまで着てるのよ。借り物なんだから汚さないうちに脱ぎなさいよ?あと洗ってお返ししないとね‥。夢も今日一日浴衣で歩き回ったんだから、早くお風呂に入って寝なさいね」
「あ、うん‥」
お風呂!!!出ました!!!
キタコレ!難関キタコレ!!!!!
高梨の家でも入ったけど、それは高梨のブツを洗っただけ。
セットされた髪の毛も、暑い中歩き続けた汗まみれのこの身体も‥。綺麗に洗い落としたいよ‥でも、ブツが‥
でも‥いつ元に戻るかわからない。
しばらく戻ってくれない可能性だってある‥。
ここは、覚悟を決めて入るしかないのかな。
一応もう高梨のブツは見てるし、もうブツは高梨が洗ってくれてるんだし‥ブツを出来るだけ見ないでお風呂に入ればいいんじゃないのかな。
「がんばれ‥がんばるんだ夢‥」
自分をここまで奮い立たせたのはいつぶりだろう。
あー、私の娘は無事だろうか‥
言いようもない不安を抱えたまま、私はお風呂に入った。
お風呂の椅子に腰を掛ける。
高梨のブツはふてぶてしくもズンっと私の股で存在感を発揮している。
本当ふてぶてしい。まるで高梨のようだわ‥
でも、高梨の家の中でお風呂に入った時とは感覚がまるで違う。
あの時は私の太ももに熱を帯びたアレがビチッとくっついてきたのに。
今ではこんなに柔らかそう‥。
‥‥どのくらい柔らかいのかな。
‥‥いや、高梨のだよ‥?
触ったら高梨のことゲス野郎って文句言えないよ‥?
‥でも、本人にバレなければ‥‥
そっと股に手を伸ばした。
「うわっっっ!!!」
や、柔らかい‥!!!
ふにふにっ!!!!!
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