魔法使いと魔の手鏡〜馬鹿にされ続けた下級魔法使いが突然超チート級上級魔法使いになった話〜

茶歩

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第15話

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パラパラと焼けた屋根のカケラ達が落ちてくる。
あまりにも圧倒的な火力が真っ直ぐ上に伸びているため、私の元に落ちてくるのは本当に小さな破片と黒い煤だけ。


「‥‥え、え、‥‥ええ?!」



どうやら、一発で呪いの根源を的中させたようだ。
この素晴らしすぎる運の良さに感謝しなくてはならない。


火柱を手のひらに収める。
エドが昔、火の玉を出して見せてくれた時、エドが手を火傷しないのか不安になったことがあったけど、どうやら魔法をかける本人には効かないようだ。
一歩間違えれば火だるまだったが、私はどこも焼けていない。
ほっと胸を撫で下ろすが、屋根にはすっぽりと穴が開いてしまった。



そう、本来魔法使いは屋内で魔法を使ってはいけない。
祖先の品を壊してしまう恐れがあるから。


‥さすがに、屋根には魔法がかかっていなかったみたいだからそれはギリセーフとして、天井に吊るされたランプも、宙に浮くマグカップも突然の魔法に驚く様子を見せるものの、無事なようだ。


‥よかった。
手鏡を割ったことで、既に寿命を削られているかもしれないから、他の物まで壊してしまったらどうなっていたことやら‥


ーーーーバンッ


物凄い勢いで部屋の扉が開いた。
血相を変えて私の部屋を訪れたのは、お母さんとレベッカだ。


「大丈夫っ?!」


悲鳴に近い声で、お母さんが言う。


「あ、うん‥!大丈夫!」


「‥一体何があったの?」


レベッカまで、青ざめた表情をしている。
突然の轟音と衝撃に驚いたようだ。無理もない、私自身も心臓が飛び出るほど驚いたから。



「使えるようになったよ!!!」



そう、まずはこれを伝えなくては。
興奮からか、私の口から出た言葉は、私のものとは思えないくらい溌剌とした、大きなものだった。


「‥‥‥まさか」


早くも、煤だらけの私と大きく穴が開いた天井を見たレベッカが、事態を飲み込み始めた。


「どういうこと‥?」


お母さんはあまりの衝撃に、なんとか言葉を発しているような状態だ。


「私のポケットにいつも入ってたあの手鏡を割ってみたの。それが、呪いの根源だったみたい!試してみたら、魔法が使えたの!!!」


「‥‥え、待って、どうして手鏡ってわかったの?」


レベッカが片手で頭を抑えながら、懸命にその回転の早い脳をフル回転させている。


「いや、わかんなかったけど、一か八かよ」


フンっと自慢げに鼻の下を指でさすると、レベッカはぺちん、と私の頬を叩いた。


「へ‥‥?」


予想していなかった展開に、目が点だ。
だって、あのカルマート家に魔力が戻ったんだよ?!
2人を救えるかもしれないんだよ?!

すっごい快挙じゃない?!?!



「掟を破ったらどうなるか、お姉ちゃんだって知ってるでしょう?!なに勝手に危ないことしてんのよ!!」


レベッカが本気で怒っている。


「え、死相見える‥?」


やっぱり命削られちゃった‥?



「見えてないわよ!!
でも、もう二度とそんなリスキーな賭けしないで!」


「う、うん‥」


‥よかった。
少なくとも1週間は死なない‥。
ホッと安堵の息を吐く。



「レベッカの言う通りよ、マレ‥
カルマート家の歴史に残る偉業だけど、命はそんな簡単に賭けるものではないわ」


お母さんはそう言うと、目を閉じて小さく息を吐いた。
手は胸元に置いている。

相当な心配をかけてしまったようだ。



「もう無茶はしないね‥ごめんなさい」



私がそう言うと、2人はやっと表情を柔らかくしてくれた。



その後、3人で家の裏で魔力を確かめた。
お母さんも、レベッカも、涙をポロポロと流しながら、様々な魔法を試した。
すべて思い通りに、魔法が使えた。


この日、私たちは始めてれっきとした『魔法使い』になったのだ。



ちなみに、私はいつも魔法の練習をする際に、弱い魔法を念じてもさっぱり魔力を感じられなくて、強い魔法を念じていた。
例えば、手のひらがぽわんと温まる程だった火の魔法は、本来であればとても強い魔法だ。それをいつもいつも練習していたせいで、先程とてつもない火柱を上げてしまった。

お母さんとレベッカは、魔力が戻ったことを前提として試したから、私みたいに火柱を上げることはなかった。






「行きましょう」


お母さんが覚悟を決めたように呟く。



私とレベッカは、力強く頷いた。




‥おそらく2人が捉えられているだろう、ロストリア領主の元へ。



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