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第14話
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心臓が煩い。
てっきり簡単に割れてくれると思ったマグカップ。
でも、それは白い猫によって阻まれてしまった。
ヤケになったとは言え、覚悟を決めて行ったこと。
エドのお父さんに呪いがかけられているかどうか見定める方法を聞いてみるのも方法の1つだったかもしれないけど、エドのお父さんは血相変えて飛び出して行ってしまって、一体どこへ向かったのかも分からない。
予想としては、お父さんとエドが捉えられているであろうロストリア領主のお城のような屋敷。あそこには、地下に牢屋があると聞いたことがある。
もし、そこじゃなかったとしても‥
その他に私が思いつく行き先なんてない。
‥あと3日しかない。
カルマート家の呪いが解けて、すぐに事態が良くなるわけなんてない。それを考えれば、タイムリミットは更に短くなってしまう。
早急に動き出さなければ、絶対に間に合わないのだ。
だから私は、浅はかかもしれないけど‥
それでも私なりの覚悟を持ってマグカップを投げ付けた。
マグカップは、何事もなかったかのようにふわふわと宙を舞っている。
「白い猫‥邪魔しないで。
私はやらなくちゃいけないの!」
そう言って、白い猫をキッと睨む。
もう一度マグカップを掴もうとするが、マグカップはもう捕まるものかと言うように、私の手を華麗に避け続けた。
「あー!もうっ!じゃあ良いわ!
他のを壊すからっ!」
なにを壊してやろうか!
カーテン?ランプ?それとも手鏡?!
ランプは天井に吊るされてるから簡単に壊せるものではないし‥。
カーテンならハサミで簡単に破れるかもしれない。
引き出しからハサミを取り出して、窓際へと向かう。
左手でカーテンを掴み、右手でハサミを握る。
しかしカーテンを切り刻もうとした私の右手は、何者かによって振り落とされた。
シュッと横切る影。
「‥ねぇ‥白い猫‥邪魔しないでよ!」
ことごとく、私の行為を邪魔したいようだ。
私がやろうとしていることは、私たちを救おうとしたお父さんやエドの気持ちを踏み躙るようなことかもしれない。
破壊した途端に、寿命を削られたり、すぐさま息絶えてしまうことなのかもしれない。
だけど、出来損ないで‥
無力な私が唯一持っているもの‥
それは、家族やエドとの絆、そしてこの命だけ。
死んでしまうかもしれない。
でも、それは不確かだ。
平然と生きれる可能性だってある。
それなら、私は喜んでこの命を懸けたい‥
「私は本気なのよ」
白い猫を見つめてそう呟く。
エドのお父さんの真意に今のところ気付いていないお母さんとレベッカ。私がもし何も掴めずに呆気なく死んでしまうとしたら、お母さんやレベッカにエドのお父さんの真意を伝えるべきだろう。
でも、伝えたらお母さんとレベッカは絶対に私を止める。
遺言として残せば、お母さんとレベッカは、私の代わりに私がやろうとした禁忌を犯してしまうはず。
それは、絶対に嫌だ。
追い詰められて、浅はかなのはわかってる。
でも、他に方法がわからない。
「お願い‥白い猫、邪魔しないで‥」
私は、持っていたハサミを、自分のお腹目掛けて思いっきり振り下ろした。
鈍く、重い衝撃と共に、倒れこむ。
‥痛い。
ハサミを握っていた手も、突然の衝撃を受けたお腹も。全部痛い。
ポケットにするりと手を忍ばせて、手鏡を取り出す。
私は、割れた手鏡を見てニヤリと頬を緩ませた。
よかった、鏡に当たってくれて‥
下手すりゃハサミがお腹に刺さってたよ‥
「どーだ!白い猫!
私は死んでないよ!」
もしかしたら寿命は短くなったかもしれないけど、破壊した途端に死ぬということはないようだ。
これなら他の祖先の品も心置きなく試せる。
‥ヒビ割れるくらいじゃノーカウントとかいうパターンないよね‥?
あ、そうだ。
呪いが解けたかどうか試してみないと。
手のひらが温まるだけだった火の魔法を試そう。
何故か部屋の隅で何かに怯えたように縮こまる白い猫を横目に、私は魔法を唱えた。
手のひらを覗き込むようにして、丁寧に、確かめるように、魔法を唱える。
「‥‥‥‥‥‥‥え?」
ゴオオオオオッという凄まじい音と共に、真っ赤な火柱が屋根を突き破り、どこまでも、どこまでも空高く登った。
まるで、星に届くのではないか。
それほどまでに、高く。
てっきり簡単に割れてくれると思ったマグカップ。
でも、それは白い猫によって阻まれてしまった。
ヤケになったとは言え、覚悟を決めて行ったこと。
エドのお父さんに呪いがかけられているかどうか見定める方法を聞いてみるのも方法の1つだったかもしれないけど、エドのお父さんは血相変えて飛び出して行ってしまって、一体どこへ向かったのかも分からない。
予想としては、お父さんとエドが捉えられているであろうロストリア領主のお城のような屋敷。あそこには、地下に牢屋があると聞いたことがある。
もし、そこじゃなかったとしても‥
その他に私が思いつく行き先なんてない。
‥あと3日しかない。
カルマート家の呪いが解けて、すぐに事態が良くなるわけなんてない。それを考えれば、タイムリミットは更に短くなってしまう。
早急に動き出さなければ、絶対に間に合わないのだ。
だから私は、浅はかかもしれないけど‥
それでも私なりの覚悟を持ってマグカップを投げ付けた。
マグカップは、何事もなかったかのようにふわふわと宙を舞っている。
「白い猫‥邪魔しないで。
私はやらなくちゃいけないの!」
そう言って、白い猫をキッと睨む。
もう一度マグカップを掴もうとするが、マグカップはもう捕まるものかと言うように、私の手を華麗に避け続けた。
「あー!もうっ!じゃあ良いわ!
他のを壊すからっ!」
なにを壊してやろうか!
カーテン?ランプ?それとも手鏡?!
ランプは天井に吊るされてるから簡単に壊せるものではないし‥。
カーテンならハサミで簡単に破れるかもしれない。
引き出しからハサミを取り出して、窓際へと向かう。
左手でカーテンを掴み、右手でハサミを握る。
しかしカーテンを切り刻もうとした私の右手は、何者かによって振り落とされた。
シュッと横切る影。
「‥ねぇ‥白い猫‥邪魔しないでよ!」
ことごとく、私の行為を邪魔したいようだ。
私がやろうとしていることは、私たちを救おうとしたお父さんやエドの気持ちを踏み躙るようなことかもしれない。
破壊した途端に、寿命を削られたり、すぐさま息絶えてしまうことなのかもしれない。
だけど、出来損ないで‥
無力な私が唯一持っているもの‥
それは、家族やエドとの絆、そしてこの命だけ。
死んでしまうかもしれない。
でも、それは不確かだ。
平然と生きれる可能性だってある。
それなら、私は喜んでこの命を懸けたい‥
「私は本気なのよ」
白い猫を見つめてそう呟く。
エドのお父さんの真意に今のところ気付いていないお母さんとレベッカ。私がもし何も掴めずに呆気なく死んでしまうとしたら、お母さんやレベッカにエドのお父さんの真意を伝えるべきだろう。
でも、伝えたらお母さんとレベッカは絶対に私を止める。
遺言として残せば、お母さんとレベッカは、私の代わりに私がやろうとした禁忌を犯してしまうはず。
それは、絶対に嫌だ。
追い詰められて、浅はかなのはわかってる。
でも、他に方法がわからない。
「お願い‥白い猫、邪魔しないで‥」
私は、持っていたハサミを、自分のお腹目掛けて思いっきり振り下ろした。
鈍く、重い衝撃と共に、倒れこむ。
‥痛い。
ハサミを握っていた手も、突然の衝撃を受けたお腹も。全部痛い。
ポケットにするりと手を忍ばせて、手鏡を取り出す。
私は、割れた手鏡を見てニヤリと頬を緩ませた。
よかった、鏡に当たってくれて‥
下手すりゃハサミがお腹に刺さってたよ‥
「どーだ!白い猫!
私は死んでないよ!」
もしかしたら寿命は短くなったかもしれないけど、破壊した途端に死ぬということはないようだ。
これなら他の祖先の品も心置きなく試せる。
‥ヒビ割れるくらいじゃノーカウントとかいうパターンないよね‥?
あ、そうだ。
呪いが解けたかどうか試してみないと。
手のひらが温まるだけだった火の魔法を試そう。
何故か部屋の隅で何かに怯えたように縮こまる白い猫を横目に、私は魔法を唱えた。
手のひらを覗き込むようにして、丁寧に、確かめるように、魔法を唱える。
「‥‥‥‥‥‥‥え?」
ゴオオオオオッという凄まじい音と共に、真っ赤な火柱が屋根を突き破り、どこまでも、どこまでも空高く登った。
まるで、星に届くのではないか。
それほどまでに、高く。
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