続 京の男(ひと) 東京の男(ひと)

KEYちゃん

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ラブラブやん

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 博多に着く前にゴミ袋には駅弁が2つ。空箱になっていた。
「案外、食べられたね」
翔太郎が空箱のゴミ袋を持ち上げて言う。
「将太、若いもん。底なし胃袋やし」
京太郎も笑いながら応えた。そして、
「肥えるで~」
と、嫌なことも言う。しかし翔太郎も負けてはいない。
「今度、如月先生に西郷隆盛でも書いてもらいますわ」
などと言って太っても構わないですよ~。と、言う。
「今日は『かごんま(鹿児島のこと)』には行かへんし」
また翔太郎のデートでネタ探し旅行はしたくない。次回作のことなんか考えずに翔太郎と楽しみたい。
「かごんま?」
翔太郎が聞くと京太郎は、
「鹿児島んことでごわす」
と、応じた。
「そんなこと言うの?」
なんて京太郎は博学なんだ!と、翔太郎は思った。そして、
「俺、バカだから頭良い人が好き」
などと言う。
「んなアホには見えんけどなぁ~」
京太郎は笑いながら言い返した。頭の良い顔してるのに?と思いながら………。
「裕貴君が頭良い過ぎるの!!」
からかわれて翔太郎の声は大きくなった。
「大きな声出すと身バレすんで~」
京太郎が心配していると、案の定、
「サイン下さい」
と、若い女の子が翔太郎にサインを求めて来た。色紙とサインペンを手渡す。戸惑う翔太郎に、
「ファンサービス。ファンサービス!」
と、言ってその肩を叩いた。遠くから見ていたが翔太郎の声で間違いないと確信したらしい。ファンが何人か並んだので京太郎が窓側に移り、翔太郎にサインさせて京太郎はうたた寝した。ほんの5分ほどだとは思うが………。
「先生、先生。如月先生!」
と肩を叩かれた。なんでペンネームで呼ぶんだ?京太郎はうたた寝から起こされた。
「こちらの方、先生のサインをご希望です」
見れば50過ぎぐらいの男性か?著作の『天正の黒船』を手にしている。
「ご購入、ありがとうごさいます。サインで良いですか?」
京太郎がその男性に言うと、
「よろしくお願いします」
と応えたので、
「ここで良いですか?」
巻末の裏表紙を開けた。ここで良いらしい。
「お父さんのお名前も入れておきますか?」
「高野光平でお願いします」と、男性は名刺を見せた。名前に誤字がないようにである。
『 高野 光平様
     日々是精進
               令和◯年◯月◯日
                        如月 京太郎  』
と、書いた。日々是精進は何となく思いついただけ。何かひと言足してサインしている。そして自分のポケットから『京太郎』の判子を取り出し押す。
「はい、いつもありがとうございます」
男性に著作を返す。その後はやはり翔太郎のファンが何人か続く。京太郎はウトウトしながら呆れたような顔をしていた。翔太郎には若い女の子が並び自分にはオジサンがたまに著作を持ってサインを求める。やはり翔太郎は凄いんだなぁ~。京太郎とのスキャンダルもファンからはかえって好感を持たれたようだ。その証拠に、
「お隣で寝ておられるの如月京太郎先生ですよね」
なんて言ってくるファンもいた。
「残念。起きておられたら先生のサインも隣に欲しかったです。ツーショットサイン!!」
などと言ってくる。面倒なので聞こえてたが寝たふりをする京太郎だ。
「えっ、あの如月先生?ツーショットが見たかった」
「本当、あの先生も可愛い顔してるもんねぇ」
なんて勝手なことを言う始末だ。
    ひと通り、車内のファンサービスを翔太郎が終えると、やっと京太郎が起き出した。
「あ~あ、よー寝た」
京太郎が言うと、
「裕貴君、おはようございます。タヌキの役熱演でしたねぇ~」
などと言って翔太郎はからかった。
「寝たふりしとかんとこっちまで飛び火して長くなるやんか」
京太郎は笑って返した。
その通りだ!翔太郎は京太郎の態度に舌を巻いた。
「でも………。裕貴君、ファンの女の子にもモテモテでしたねぇ~」
翔太郎が言うと、
「しかし彼女らが俺の本、買ってくれるとは思えんからなぁ」
京太郎は笑った。そして、
「俺、将太だけに好かれたらそれでエエわ」
とまとめた。
「…………。嬉しい………」
翔太郎は甘える顔で京太郎を見返した。
「お前、ホンマにシュッとしてるなぁ」
シュッとしてる。はイケてる男子と言う意味の関西弁である。あまり女子には使わないと思う。
「え?何?シュッとしてるって何?」
翔太郎には伝わらなかった。なおも聞く翔太郎に、京太郎はただ、
「ググれ」
とだけ言った。翔太郎には褒め言葉なんかけなされているのか?解らなかった。そして本当にググる翔太郎が京太郎には可愛かった。
「褒め言葉だったんだ~」
などと言っていた。
「当たり前やん。好きなんやし………」
京太郎はそう言って寝てしまった。恥ずかしいからだ。
「また裕貴君、ねぇ~、タヌキして……。アカンで~」
京太郎の目元が反応する。
「下手くそな関西弁やめろ」
東京の人の下手な関西弁に関西人は過剰に反応するのは本能に近い。
「ごめんなさい」
そうだ。それ聞いたことある。翔太郎は素直に京太郎に謝った。
「後でキスしてくれたら許す」
京太郎がそう言うと、
「それご褒美じゃん!」
翔太郎が反応した。ラブラブ新幹線は間もなく博多駅。






    
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