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■24.一難去ってまた一難

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「和くん、貴方の出る幕じゃないよ。」

和正さんが反論する前に、リナさんが窘めた。


そう!私は、拓真くんに送って行ってもらうんです!
リナさんが言う通り、ナルシストが出る幕じゃないよー!



拓真くんと出来上がったプリクラを半分こ。なかなかの写りに満足。てか、拓真くんカッコイイ////


「リナさん、ありがとう。」

助け舟を出してくれたリナさんに
お礼を言う。


「ううん。
拓ちゃんに送ってってもらった方が
絶対いいに決まってる。
一度BLUE WAVEに戻って、
アランにバイク借りてこよう!」


あ………。


送って行ってもらうには、乗り越えなきゃいけない問題がまだあった。
アランくん、こんな事の為にバイク貸してくれないよ、きっと。



BLUE WAVEへ戻ると、アランくんとジェイさんがオーナーと話しをしていた。


「アラン~!バイク貸してくれない?」


リナさんがお願いする。


「……姉ちゃん、バイク乗れないだろ?」

アランくんは怪訝そうな顔。


「私じゃなくて拓ちゃんに貸してあげて?」


「拓真に……?別にいいけど…。」

アランくんは拓真くんの方を見た。


ハラハラ……。
私が関わると嫌な顔するからな……。
黙っとこう…。



「るあちゃんを家まで送って行くのに、アランくんのバイク貸して欲しいんだ。」


拓真くんが正直すぎる言葉で伝えると、アランくんは目を細めた。


あ……その顔は………。
一気に不穏な雰囲気… |||||(´ω`;)|||||


「コイツ送ってくの?拓真が?」


アランくんは私を指差し、また例の嫌~な顔をした。


「うん。」

拓真くんが真面目な顔をして頷くと


「それなら俺が送ってくからいい。
ホラ、来い!」


「え!?////」


アランくんは隣の椅子に置かれたメットをバッと抱えて立ち上がり、私の手をグイッと乱暴に掴むと強引に外へと連れ出した。




拓真くんに送って行って欲しいのに…!

アランくん、私の事嫌いなんじゃないの??


「アランくん、私…」


「俺が送って行ったら困んの?」


私の言いかけた言葉を塞ぐように、アランくんから質問を受けた。


え!??////
それはどういう………


アランくんの言葉の真意が掴めず、戸惑っていると、リナさんと拓真くんが駆けつけた。

アランくんはパッと掴んだ腕を放した。


「アラン、なかなか強引だね~。
けどね、るあちゃんは拓真くんに
送ってって欲しいんだってさ。」


リナさんがそう言うと、チラッと私の方を見るアランくん。

戸惑いながら無言で見つめ返し、ウンウンと頷く私。



「あっそ。じゃあ、勝手にすれば?」


そう言って、アランくんはポケットから取り出したバイクのキーを拓真くんに向かって投げた。


「アランくん、ありがとう!」

拓真くんがキーを受け取る。


「中にメットもう一つ入ってる。」


そう言って抱えていたヘルメットを
拓真くんに渡した。



アランくん。
いい人か悪い人なのか、わからないよ……
さっきの言葉も、どう受け取ったら……

でも、譲ってくれてありがとう!!




アランくんはリナさんと海の家の中へ
戻って行った。
拓真くんと二人きりになる。


ドキドキ。


バイクに跨がる事なんてはじめて。


250ccのバイク。
高校1年生の私にとっては、とても大人な乗り物に見えた。


中学の時は、星吾に「チャリニケツしてやろうか?」なんて言われてドキドキしてたっけ。


あの時は声掛けてきた星吾が、ハイレベルイケメンすぎて怖気付いて私は逃げちゃったけど。


今は大丈夫。
逃げない。


お陰様で色々経験して、イケメン免疫だいぶ付いたし。


拓真くんは中からヘルメットを取り出すと私に被せた。


ドキドキドキドキ。



好きな人の背中を見つめながら、幸せを噛み締めた。



「おい、一体何処行くつもりだ?」



バイクに跨り、ヘルメットの紐を締めようとした所でまた邪魔が入った。


裏口から出て来たのは、、、



オーナーだった。
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