【実話】高1の夏休み、海の家のアルバイトはイケメンパラダイスでした☆

■25.オーナーの怒り①

「遅くなったので、るあちゃんを家まで送り届けます。」


拓真くんが毅然とした態度でオーナーにそう告げた。


「バカな事を言っているんじゃない！
お前はその子の家を知っているのか！？
……知らないだろう！？
何処へ連れて行くつもりだ！！」



え………！？
何言ってるの、オーナー……。

何処って、私が自宅の道を説明して
家まで送ってもらうだけだよ……？


拓真くんの事を疑っているの……！？


オーナーは、拓真くんがいくら丁寧に説明しても、納得しなかった。


「二人共、そこから降りろ！！」


オーナーに怒鳴られて、拓真くんと私はアランくんのバイクから降りた。



 オーナーの声は怒りに満ちていた。
私はその声に竦んでしまった。
どうしてそんなに怒っているのか、理解出来なかった。



拓真くんは海の家の中に連れていかれ、オーナーからお説教をくらっていた。


オーナーは顔を真っ赤にして激怒していた。


バイトメンバーが止めに入ったけど、
一度火の着いたオーナーは誰も止められなかった。


オーナーは拓真くんを除いた全員を外へと出て行く様に指示。

皆それに従う。


私は拓真くんの隣で震えながら立っていた。

するとリナさんに、皆と一緒に外へ出る様に促された。


「どうして拓真くんがそんなに怒られなきゃいけないの！？」


わけがわからず、リナさんの前で、ポロポロと涙を流した。


「ゴメンね。るあちゃん。
私が余計な事しちゃったからいけなかったね。
拓ちゃんにも悪い事しちゃったね……。
オーナーは、るあちゃんの心配をしてくれているんだよ。
拓ちゃんは何も悪くない。
でも、オーナーは大人の立場から見過ごす事は出来なくて、叱らなきゃいけないから…。」



どうして……？
何がいけないの？？
送って行ってもらうだけなのに。
どうして叱られなきゃ行けないの？



「オーナーは、拓真くんが私を家へ送らずに何処かに連れて行くと思っているの…？」

「そうだね……。その可能性も考えてお説教してるんだと思う。」


「そんな………！
そんな事するのは自分の息子（和正さん）でしょ！？
拓真くんはそんな事しないよ！！」


「うん。拓ちゃんはそんな事しないって、ここにいる皆はわかってるよ。」


海の家の外でリナさんに泣きながら話しをしながらも、中から怒鳴り声が聞こえてくる。


拓真くんが怒られている事、誤解されている事が辛くて悔しくて、そして、オーナーの怒鳴り声が恐くて震えと涙が止まらなかった。