戦士の享楽

火吹き石

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4.玩弄

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「くそったれ……!」

 タカネは言って、先輩たちを睨みつけた。恥ずかしくてたまらなかった。だが不躾な視線は、肌の上を舐めるように滑っていった。

「タカネ、なんでもう勃起してんだ? イワオにいたぶられんのがそんなに気持ちよかったか?」

 先輩の一人が、笑いながら言う。

 タカネは答えなかった。恥ずかしく、苛立たしく、それなのに性的に興奮しているのが、情けなかった。なんとかイワオから逃れようと、首を締めた腕を引き剥がそうとする。しかしそれができぬと悟ると、肘で思い切り脇腹を打った。

 イワオは呻いて、その腕が緩んだ。その隙にタカネは束縛から逃れようとしたが、そうするよりも早く、イワオが小柄な若者を床に突き飛ばした。タカネはうつ伏せに倒れ、起き上がる間もなく、イワオがその上にのしかかり、がっしりと捕らえた。タカネの両腕は、イワオの体の下にあり、再び自由が奪われた。

「この、くそったれ!」

 タカネが逃れようと、必死に力を振るった。するといきなり、イワオがタカネの尻に平手打ちを喰らわせた。

 タカネは悲鳴を上げた。石の床に裸で組み伏せられたまま尻を叩かれたことで、性器が押しつぶされるようだった。なんとか痛みから逃れようと腰を上げると、再び尻を叩かれる。

「やめっ、ろっ、このっ!」

 小柄な若者がそう吼えるが、イワオはまったく意に介しない。背に上体を乗せて押さえつけたまま、ぱんっ、ぱんっ、と尻を打ちのめしていく。見物している先輩たちは、そのさまを見てげらげら笑った。

「笑うなっ、このっ、くそっ――!」

 タカネは先輩たちを睨みつける。だが止むことのない打撃に、体が揺さぶられ、言葉は途切れる。逃れようともがいても、どうしようもない。

 しかし繰り返し尻を打たれながらも、タカネの勃起は治まらなかった。かちかちに固くなった性器が床に押しつぶされそうになり、なんとか腰を上げる。だがそうすると、まるでイワオに打ってもらうために、自ら腰を突き上げているようで、惨めだった。

 それからしばらくして、イワオは手を止めた。タカネは疲れてぐったりし、せわしなく息をした。イワオが尻を撫で回す。打たれてひりひりと焼けるように熱くなった肌に、手荒な愛撫は染み入るように気持ちいい――そしてその快楽が、タカネの惨めさをなお強めた。

「そろそろ抱いてやろうか?」

 イワオが言った。その笑いを含んだ声が、タカネの心を苛立たせるとともに、どうしようもなく切ない気分にした。小さな戦士は疲れ、気弱になりはじめていた。大きな友人の腕に抱かれ、もっと可愛がって欲しいという思いが、頭をもたげようとしている。

 しかし、タカネに残ったわずかながらの闘争心が、屈服することを拒ませた。歯を食いしばって、一言も漏らさなかった。

 すると、イワオは笑った。

「まだ足りないよな。」

 そう言って、やおらタカネの上から退くと、その体を掴んで仰向けにした。そしてタカネが起き上がる間を与えず、片手で胸元を押さえつけながら、腹の上に跨る。タカネはイワオを上から退けようとしたが、両手はすぐに掴まれ、左右に広げて押さえつけられた。

 二人とも、転がり回って体が熱くなり、肌には汗が伝い、真っ赤になっていた。タカネはもちろん、イワオのほうでも、息は荒くなっていた。そして二人とも、性的に興奮していた――イワオのものはタカネの視界の端で、腰布の中で窮屈そうにしているし、タカネのものはずっと固いままだった。

 イワオはにやにやと笑いながら、組み伏せたタカネを見下ろしていた。それから身を屈めると、汗の浮いた胸に舌を這わせた。ねっとりと舐め上げられると、タカネの体を甘い疼きが走り、腰が浮かんだ。

「うっ……んっ……。」

 タカネの口から、甘い喘ぎが漏れる。なんとかイワオを押し返そうとするが、両手はしっかりと押さえつけられ、びくともしない。それどころか、イワオに胸を舐められ、吸われ、性の快感を与えられると、体から力が抜けていった。

「このっ……んっ……く、そっ……。」

 快楽に弱い自分に、恥ずかしさを覚えた。絶対に負けられない、屈してはならないと、自分に言い聞かせる。しかし体は正直で、肌を舐められるたびに、びりびりと甘い刺激に体の芯まで溶かされるような気がした。

 イワオは胸から口を離すと、今度は脇に鼻面を埋めた。匂いを嗅ぎながら、唇で汗に濡れた肌を撫で回す。

「あー、汗臭え……。」

 うっとりとしたような声で、イワオが言う。まるで蜜でも舐めるかのように、タカネの汗臭い脇に舌を這わせる。

 タカネは周りを見た。戦士たちは、あるいは寝台に腰掛け、あるいは立ったまま、自分のことを見下ろしていた。どこにも急いだ様子はなかった。イワオに組み付されるタカネのことを、心底面白そうに眺めている。それでも、みなの腰には、膨らみができていた。

 イワオに目をやると、大柄な戦士は、こちらを上目遣いに見返してきた。顔を上げると、タカネに向けて言う。

「犯されたいんじゃねえか?」

 イワオはそう言って、しかし返事をする暇も与えず、唇にむしゃぶりついた。貪るように唇を喰み、口内に舌をねじ込む。タカネはもはや抵抗する気力を失い、口を自ら開いた。

「ふ、うっ、んっ、ふっ……。」

 やがて口を離すと、タカネは空気を求めて荒く息をした。イワオは苦しげに息する友人を、愛おしむように見つめてから、その頬に口づけした。それから、残酷な笑みを浮かべる。

「お前が自分からおねだりするまで、止めねえからな。」

 そう言うや、イワオはタカネの唇に指を押しつけた。抵抗する意思を弱めたタカネは、自ら口を開け、指を口内に招き入れる。汗の酸っぱい味のする二本の無骨な指が、舌を弄り回し、歯の裏側を撫でていく――もはやタカネの腕は押さえつけられてはいないのだが、いまが抵抗する機会であることになど気づきもしなかった。

 それから指を引き抜くと、イワオは向きを変え、タカネの顔に背を向けた。そしてタカネの見えないところで、その股に手を入れる。

 さすがに恥じらいを思い出し、タカネはいまや自由な両手で、イワオを退けようとした。だががっしりと座り込まれていては、どうしても動かすことができない。股を締めるが、片手で簡単にこじ開けられてしまう。

 そうしているうちに、イワオは指を尻穴に押し当てると、ねじ込んだ。タカネは身を仰け反らせた。

「こんっ、のっ――!」

 イワオの手付きは乱暴だった。抜き差しし、掻き混ぜ、押し広げる。太い指が肉を掻き分け、内側をごりごりと擦っていく。ひどい異物感と圧迫感、そして屈辱とがタカネを責めたが、同時に、快感もまた覚えてしまう。

「うっ、んんっ、ふっ、あっ、うっ――!」

 タカネはよがりながら、イワオの大きな胴を両手で掴んだ。だが押しのけようとするのではなく、ただすがるように抱く。

 イワオは肩越しにタカネを振り返った。

「お前の大すきなケツ穴を、たっぷりほじくり回してやるからな。」

 うれしそうに言って、再び前を向くと、タカネの穴をごりごりと指で犯していく。

 タカネはびくんびくんと跳ねながら、喘ぎまくっていた。力比べなどとうに終わり、もはやイワオの遊びの時間だった。少年時代から、二人のふざけた喧嘩はそうなるものだった。タカネが疲れ切るか、それともイワオが満足するか飽きるまでからかって苛め、それからイワオがタカネを慰めて終わるのだ。

 だがそれは、少年時代のことだった。若者となってからは、イワオがタカネを征服する遊びになっていた。力で征服し、性で征服し、タカネを徹底的に屈服させるまで、その遊びは続くのだった。

 イワオに組み伏せられ、玩具にされているという状況が、タカネの気持ちをたまらなく昂ぶらせていた。それも、この日は先輩たちにも見られている。イワオによってなぶられるところを、仲間たちが見物している。焼け付くような羞恥を感じ、それもまた興奮を高めていた。

 穴の奥がじんじんと熱く、指で掻き回されると、気持ちよくてたまらない。先輩たちとイワオとに快感を教え込まれた穴は、もっと太いもので貫かれることを欲していた。

 だが、いまはまだ、タカネの心は折れていなかった。未だ、イワオに対する抵抗の意思が、ほんの少しは残っていた。敗北の宣言をするのは、まだ先だった。

 しばらくの間、イワオはただただタカネの穴を弄り回していた。なんどか唾を垂らしては、内側に塗り込み、濡らしていく。それほど時を置かずして、穴からは湿ったくちゅくちゅという音が立つようになっていた。

「おっ、あっ――はぁっ、あんっ――くっ、そっ!」

 快感に喘ぎながら、タカネは身悶えした。自分の腹に跨るイワオの背中を、思わず撫でてしまう。そして自分がそんなことをしてしまったことに気づくと、自分自身とイワオとに腹が立って、背中に爪を立てた。

 イワオは後ろを向いて、顔をしかめた。

「おとなしくしてろよ。」

 そう言うと、腹の上から降り、タカネを抱き起こして、後ろから抱えるようにして膝に乗せた。イワオの太い腕で、タカネの腕を軽く抑え込む。そうしてから、再び手を股の間に入れ、指を挿入した。

「くそっ、おっ、おっ、あっ、んっ――!」

 タカネは喘ぐ。目の前では、先輩たちがくつろいだ様子で見物している。くちゅくちゅと穴を弄られる様を、余すところなく見られる。すぐにでも、みんなに回されたかった。口と尻とに太い肉塊をねじ込まれ、荒々しく犯されたかった。しかしなお残っているか細い意思の力が、それを許さなかった。

 イワオが、タカネの耳元で囁いた。

「もっと苛められたいか、タァ? いつもより保つなあ。先輩方に見て欲しいのか?」

「ちがっ――あっ――うっ!」

「どうだかなあ。」

 イワオがせせら笑った。

 その時、若手の先輩が、声を上げた。

「おい、イワオ。そろそろ抱いてやれよ。おれたちも待ってんだぞ。」

「けどなあ、まだタカネが降参してないんですよ。」

「とっとと落とせよ。ねじ伏せてぶち込んでやれ。」

 先輩の言葉に、イワオは笑った。

「まったく、我慢のない人だな。――どうだ、お前も、そろそろぶち込まれたいか?」

 イワオがタカネに囁く。タカネは大声で喘ぎながらどなった。

「うるっ――んぅっ――せえっ!」

「じゃあ、そろそろ終わりにするか。」

 イワオは笑いを含んだ声で言うと、タカネの耳に舌を這わせた。湿った温かい感触と、淫靡な水音とが耳に入り込む。

「ふっ、あっ、んーっ――!」

 タカネは喘ぐ。イワオは耳を舐めながら、タカネの性器を掴み、包皮を引き下ろした。そして竿を握ると、先端を親指でぐりぐりと撫で回す。

「あぁっ、あっ、あーっ――!」

 痛みのような刺激に、タカネは喘ぎながら、身をびくびくと震わせた。イワオの手を振りほどこうとするが、しっかり抱かれており、おまけにすでに力を使い果たしており、逃れられない。

 イワオは耳を舐め回しながら、竿を苛め、同時に穴にも指を入れて掻き回した。タカネの腕は、愛撫する腕で胴に束ねて押さえているだけだが、体格と力に大きな差があるため、逃れることはできない。

 すでに散々苛められた後、竿を刺激され、タカネはすぐにでも果てようとしていた。

 だが、タカネが果てようとしたところで、イワオは手を止めた。せり上がってきた興奮が、溢れ出る前にしぼんでいく。

 タカネはイワオを肩越しに振り返った。イワオはにやにやと笑っている。

「もう出したいか、え?」

 たずねながら、タカネの穴をごりごりと指でえぐる。タカネは甘い声で鳴いた。我慢していようと思うのだが、少し気持ちいいところを刺激されると、すぐに気持ちが折れてしまった。

「だしっ、たいっ! イワオっ、もうっ、だしたいっ!」

 おねだりした恥ずかしさに、タカネは俯く。戦士たちは手を打ち鳴らして喜んだ。しかしイワオは、あまり気乗りしていないようだった。落ち着いた声で、だがなぶるような口調で、ふたたびたずねる。

「負けちまったか、タァ? おれに負けて、もう抱かれたくなっちまったか?」

「おれのっ、まけだっ! だからっ、はやくっ!」

「早く、なんだ? おれに抱かれたいか? 先輩方に次々ケツを犯されて、穴ん中をぐちょぐちょにして欲しいか? タァは淫乱だもんなあ。チンポが欲しくて欲しくてたまんねえか?」

 タカネはイワオを振り返った。イワオは挑発的に、にやにやと笑っていた。

「なあ、どうなんだ?」

 イワオは言って、タカネの尻をほじくり回し、再び竿の先端を撫で回した。タカネはイワオの腕の中で、びくびくと身を跳ねさせた。

「このっ、てめえっ、くそったれっ――!」

 タカネには、イワオがなにをしたいか分かった。まだ、苛め足りないのだ。タカネがどれだけ恥ずかしいことを言っても、結局、また別の言葉を言わせるだけだろう。徹底的に辱め、それから、犯すつもりなのだ。

 そう思うと、タカネの胸にまた闘志が燃えた。

「ぶっとっ、ばしてっ、やるっ!――くそっ、たれっ!――くそっ、たれっ――!」
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