ジュンケツノハナヨメ

かないみのる

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 横山君が帰り、ひとりぼっちになったわたしは、ぬるくなった飲みかけのビールを流しに捨てた。


 横山君の気持ちを踏み躙った罪悪感を消す様に、蛇口を開けて黄金色の液体を洗い流した。


 ごめんね、横山君。


 分かっている。

 
 横山君はわたしのためを思って言ってくれていること。

 
 横山君はきっとわたしを幸せにしようと頑張ってくれること。



 でも、わたしにはその気持ちに応える資格なんてない。


 わたしは自分の中で、抑えることのできない獣を育んでしまったの。


 友希哉への愛、彼を失った悲しみ、数々の苦しみが一つの獣となってわたしの中で呼吸をしている。


 もう立ち止まることはできない。


 だから、わたしを迷わせないで。
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