転生魔竜~異世界ライフを謳歌してたら世界最強最悪の覇者となってた?~

アズドラ

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第95話

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 助けた冒険者八人、彼らの決断は解散だった。バルガスとサムは明日俺と共にバンダールへと帰還し残りの六人はここに滞在、リザードマンのザボはこの数日でいい感じの雰囲気になった女性と結婚したいらしい……いつの間に仲良くなったんだよ。ユユは元々自分の住める場所を探して冒険者をやっていたらしくここへの移住を希望した。エランは楽しそうに暮らす同族を見て自分も共にとユユと同じような理由で移住、エイダはここでの生活を気に入ってまだ滞在を希望。私は冒険者だ自由にさせてもらうと相談中も真っ先に決断していた。そしてキッドは強くなりたい、ここに居れば何かが掴める気がすると滞在を希望し彼を好いているレフカも自然と共に滞在を選んでいた。まぁ彼女の場合少し事情があるみたいで迷いはあったがそこらへんは知り合いのルーフェに任せようかな。
「まぁ今日は少し贅沢に宴会させてもらうから楽しんでくれ」
「ヴリトラ様、感謝します」
「いいさ、送別会も兼ねて後腐れの無いようにするといい」
 今宵は彼らの送別会という理由を付けて宴会をしている、皆飲んで騒ぎたいだけだと思うけどまぁ珍しいお客さんだったしこれくらいしてもいいでしょ。
「勝負っ!」
「受けて立ちましょう!」
 割と皆騒ぐのが好きらしくエイダとホロンが腕相撲を始め、ロニアとエマがスッテプを踏んで楽しそうに踊っている。ホントに皆楽しそうにお酒を飲んでガレオンの料理を食べている。こういう光景を眺めているとすごく幸せを感じられる。ちなみに俺は雰囲気を楽しみたかったから一人でお酒片手に屋根上から高みの見物である。
「ルーフェと、レフカだっけかな?」
 騒いでいる広場から少し離れた薄暗い場所に二人の姿が見えた。
「ルーフェリアス様、まさかこんなところで再会できるとは思いませんでした。ホントに堕天されたのですね……」
「お久しぶりですね、シャジャル帝国第二皇女レフレシオン姫殿下。今はレフカさんとお呼びしたほうがよろしいでしょうか?」
「今の私は冒険者レフカです」
 ルーフェの知り合いということで帝国関係かなとは思ってたけど、お姫様だったかぁ。
「どうして帝国を捨てたのですか? 貴女が居なくなった後、父は過労で倒れました……」
「そうですか」
「今はグスタニスお兄様が引き継いで居ると思います……ホントに貴女様は帝国に興味がないんですね」
「そうですね。元々帝国に協力していたのは母の義理があっただけですし、今の私には最愛のご主人様がいますから」
 ルーフェは何と言うかドライなところがあるからなぁ……興味がない物には一切の感情を見せないというか残酷なまでに無慈悲だからね。普段はただのエロ天使だけど……
「ワイバーンを失い、貴女という後ろ盾を失った帝国はそれまでの行動すべてが裏目にでていました」
 国土拡大を狙って周囲に喧嘩売ってたんだ、自業自得だろうに。
「そんなもの自業自得でしょうが」
「……」
「貴女だってそんな帝国が嫌で逃げ出したんじゃないんですか? あの王子の事ですし貴女を嫁にでも出して周囲の国と和平でも結ぼうとしたんじゃないですか? 第一皇女は何か企んでるのでしょうし、扱いやすい貴女に白羽の矢が立ったのでしょ」
 実は普段ルーフェやレフィ、イリオとシラユキは周辺を飛び回り情勢を調べてくれている。そのお陰である程度の状況は把握できている、レフカがお姫様だったとか詳しいことはわからないけど自分達に影響があるかどうかは調べられているのだ。
「お兄様は帝国の危機を感じて勇者召喚に踏み切りました。呼び寄せた四十人の英傑は十代の若さとは思えないほどの知識を持ち神々の加護を受けた強力な存在でした」
「それなら帝国の威厳は立て直せたんじゃないですか?」
「それでも、私が道具としか見られないのは変わりありません! だから私はっ!!」
 何も考えずに飛び出して何かが起きてキッドに助けられてそのままって感じかな? 王道ファンタジーって感じの出来事ってホントにあるんだなぁ。てか十代ってマジで高校生あたりをクラスごと召喚したとかそんな感じじゃん……最近のアニメネタフルコンプする気かこの世界。
「自分で決めて行動したならいいじゃないですか」
「私はっ」
「私が居たら皇帝が倒れず愛される第二皇女で居られたと? それこそ貴女の勝手でしょ? 知ったことじゃねぇんですよ」
 あ、ルーフェさんイライラしてらっしゃる。王の子供が世間知らずで我儘なんてよくある話だよね、そんなのに振り回されたら誰でもイラつきます。それしか知らないこの世界の住人は知らんけど。
「そもそも人間だけが世界の頂点だなんて考え自体が間違っているのです。私達だって意志があり好きなこと嫌いなこと沢山あるのです! すべてが思い通りになるなんてふざけるんじゃねぇぞ小娘!!」
 わお……古巣のお姫様だけあって辛辣というか溜まってたんだなぁ……お姫様泣きそうじゃん。
「ここに残るのならいい機会です。改めて生きていくということを考えなさい」
 ルーフェはそう言い切るとその場を飛び去った、レフカはその場に膝から崩れ落ちてペタンと座り込んでしまった。
「レフカ……」
「キッド……聞いていたの?」
「ごめん……でも僕はレフカが一緒に居てくれて嬉しかったよ、これからも隣に居るから。一緒に考えて行こうよ……ね?」
「キッドっ!!」
 レフカはキッドの胸の中で泣いていた。彼らはまだ子供なのだ、これから成長して学べばいい、それを見守るのが大人というものだ。地球でも高校生や大学生と言えど結局ガキはガキだった、成長はいくらでもできるし遅いということは無い。まぁ青春を見せつけられるのは何もなかった身としてはちょっと羨ましいけどね。
「……」
「ルーフェお疲れさま」
「見てるだなんて人が悪いですよご主人様」
 眺めていると飛び去ったはずのルーフェが隣に降りてきた。
「ごめん、おいで」
 いろいろ複雑な気持ちであろうルーフェに膝枕をして頭を撫でてあげる。
「今日はこのままでお願いします……」
「いいよ、今夜は付き合いましょう」
「愛しておりますご主人様」
「わかってるよ」
 宴会の裏、二人の少年少女の運命が少し変わったかもしれない夜であった。
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