転生魔竜~異世界ライフを謳歌してたら世界最強最悪の覇者となってた?~

アズドラ

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第141話

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 疲れた、こうも戦うことが多いと嫌になる。死ね死ね勇者に触手お化け、めんどくさい奴ばっかでホント勘弁してほしい……
「はぁ……」
 しかも俺の戦闘を見ていたらしくてトールとその仲間達の唖然とした顔が見えてしまい余計にため息をついてしまう。
「疲れたなぁ……」
 戦闘が終わり気が抜けてしまいすっかり考えが抜けてしまった。掴んでいた化け物の頭をポイと投げ捨ててしまったのだ、味方側に……
「あ、やべっ」
 幸運にもトール達が居る少し手前に落下してくれたから被害は出なかった。油断大敵というか気が抜けるとフトしたミスが起きてしまう、気を付けなければ。
「すまん、大丈夫か?」
「だ、大丈夫だ……すごかった、マジですごかった」
 トールが手を振りながら答えてくれる。俺はゆっくりトール達の前まで歩いていく、今回は広範囲攻撃をするため普段より体を大きくしているから迫力も普段より数倍あるかも? この能力はあまり意識していなかったのだが、どうやら俺が貰った能力はドラゴンになるという大雑把な括りの能力らしく大きさや半竜半人、竜になる度合いが割と自由が効くらしく普段は慣れた人間形態で過ごし、戦闘時には竜の力がフルで発揮できるドラゴニュート形態やドラゴン形態と状況に合わせて姿を変えれるらしく中でもドラゴン形態は更に様々な姿になれるらしい。今回はクリムゾンスコールの範囲確保のために普段のドラゴンモードよりも巨大化していた、そのお陰であの巨大な触手お化けとも殴り合いができたから不幸中の幸いというやつなのだろうか? これからもいろいろと試していかなければ、そろそろ四年も経つのに自分の力すら完全に理解できていないどころか神滅剣とか言う追加能力まで加わってきているのだから何と言うか、生きるのは難しいものだ。
「何と言うか、前に見た時よりもデカいですね……」
「さっきはもっと小さかったですよ……いやそれでもデカかったんですけど……」
 近くに行くとトールとホノカがブツブツと話していた。確かに今はまさにあの映画の大怪獣位の大きさが今はあるかもしれない、たしか六十メートルだったかな? 百メートルはさすがに今は無いと思う!
「トール、見て、頭が!」
 そうしていると俺が投げ捨てた化け物の頭が黒く炭化して次第に崩れていく。
「ユウキ……」
 炭化した頭の丁度脳の辺りだろうか、そこから今にも崩れそうな体の青年が立っていた。体の半分以上が黒く変色して指先など既に炭化し崩壊が始まっているようだ、恐らくもう長くはないし助からないだろう……アーデルの時とは状況も状態も違うのだから。
「トー……ル……」
 まだ喋るぐらいの気力と意識はあるらしい、遺言くらいは言えるだろうしここで邪魔するのは粋じゃない。
「ユウキ、俺は……」
「見ればわかる、お前はここで大切な人に出会えたんだろ? それでその人のために国を裏切った……」
「あぁ……」
「俺はな……彼女が居たんだ、この世界ではなくあっちに……」
「……」
 俺達は言葉を失った、こういう展開は考慮するべきことだったのに全く考えてすらいなかった。自分がもう向こうでは死んでいて縁が切れてるからか、トールはこっちで大事な人を見つけていたしホノカ達は纏めて召喚されてしかもゲーム感覚で楽しんでいる気配もある……向こうに大切な人が居て一秒でも早く帰りたいと思う人だって居てもおかしくないはずなのに……おそらく神様による転生や転移の場合は本人の希望を汲んでくれるがトールやホノカ達のようなパターンは強制転移、有無を言わさず連れてこられるまさに拉致なのだということを全く意識していなかった。そもそも異世界を受け入れて順応している彼らが異常なんだと思う。
「デートしている時、突然よくわからない光に飲み込まれたんだ。混乱する中お互い必死に手を伸ばした……結局届かなくて気がついたら勇者よこの国を救ってくれとか昔のゲームみたいなこと言われてさ……ふざけんじゃねぇよ……」
 ユウキと呼ばれた彼はフッと悲しそうに笑ってみせた。
「すまん……」
 トールは俯き、そう謝るしかなかった……俺だって同じ立場ならそうするしかできなかっただろうしね。
「謝るなよ……お互い自分の願いのために必死だったんだ……でも、もっと早く冷静に話せていれば少しは変わったのかな……」
「そうだな、帰るか帰らないかの選択はともかく、一緒に考えることはできたと思う……」
 やるせない気がする。
「お前がさ、王城と王、派手好きに馬鹿を巻き込んで全てを殺した化け物ドラゴンと協力していると聞いた時、裏切ったと思ったし怒りで許せなかった……倒すはずの敵と仲良くするとか何考えてるってさ……」
 前・言・撤・回!!
「それは、誤解だ……」
「わかってるさ、それぞれやるべき事は違うし。この感じだとこのドラゴン、そうとう話が分かる奴なんだろ?」
「それどころか同郷のよしみで帰る方法探しに協力してくれただろうさ……」
 それを聞いてユウキは涙を流しながら笑い出した、自分の判断が間違いだったこと、もっといい選択がこんな近くにあったこと、もう取り返しがつかない事、笑うしかないというのはこういうことなのだろう。
「そっか、同郷……ね。会話ってホント大事なんだな……俺は馬鹿だったってか……」
「俺もお前もただ必死だったんだ、ただ助けてと言えたか言えなかったか、言える相手が居たかどうかというだけでさ……」
 初めてあった時、確かにトールは必死だった、あの顔ははっきり覚えている。
「そろそろ時間みたいだ……」
 ユウキの体は顔の半分を残して黒く変色し今にも崩れてしまいそうだった。
「ここに来てから、いつもあいつの顔が思い浮かんだ、ずっと会いたかった……死ぬ前に会いたかったなぁ……」
「ユウキ……」
「トオル、お前は俺みたいに間違えるなよ……」
「最善を、尽くすよ……」
「じゃあな……」
「お前は間違いなく勇者だったよ」
 トールの言葉に崩れかけの顔でユウキは笑ってみせた。そして……
「あぁ……どうか、幸せになってくれ……」
 その言葉を最後に彼は灰となり消えて行ったのだった。最後の言葉はたぶん、地球に残してきた彼女への精いっぱいの遺言だったのだろう、嫌でもわかる。まったく、自分の行動一つで人一人の運命を変えてしまう。一つ幸せを掴む、守るためには一つの犠牲がついて回る……自由の責任とは重い、味方の方だけを見ているだけなら嬉しいだけだった、しかし敵側の一面を見てしまうとまったくやるせない思いをさせられる……
「ったく、次の人生くらい幸せになりな。自信の正義を、意思を立派に貫いた勇者ユウキよ、今は安らかに眠れ。そして、新たなる生と再起の時を願わん」
 ルーフェに暇つぶしに聞いた話の一つに昔、とある竜が自分と戦い散った強者を称えて吐いた葬送の息吹というブレスを贈り称えた事があったと教えてもらった。まぁいわゆる桃太郎的な昔話の一つだった、しかし聞いておいてよかった。俺は空に向かい水属性のブレスを吐いた、夕陽の光を受けたブレスはキラキラと反射しやがて虹を作りだした。
「葬送の息吹……」
「英雄の魂を天へと導く光の道しるべですね」
 アーデ達現地民にとってこの話は有名らしく皆が呟いていた。
「ユウキ、どうか安らかに……」
 ここまでしてあげるのは良くも悪くも縁があったからであって、特別だ。状況が違えば王城ごと吹き飛ばした勇者みたいに気にも留めなかっただろう。しかしこれもめぐり合わせ、不平等とか理不尽とかいろいろ言われるだろうけど、これくらいしてもバチは当たらないと思う。そう考えながら俺は葬送の息吹を暗くなるまで続けたのだった。
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