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集まる大罪編
第284話 大罪集まる! 旅立ちの日!
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あっという間にその日がやって来た!
まあ、イベントは1月なんだから当然っちゃあ当然かも知れない。
うちのちびたちからすると、初のフライトなのだ。
その前に、初の電車があったけど。
リムジンバスで空港までやって来ると……。
赤いコートを着た人物がいる。
何故か、顔や全体の輪郭がはっきりしないんだが、俺はピンと来た。
「イラちゃん?」
『おー、一発で分かった? スパイスちゃんだろ』
「そうそう」
「おじさん同士がお互いをちゃん呼びしてるッス!」
マシロ、そこに突っ込んではいけない!
いやあ、リアルのイラちゃんとは初遭遇だなあ。
全く肌が露出しない格好をしているのは、プライバシーの関係があるのかも知れない。
最近どうよ、と談笑していたら、そこにひょろっとした若い男性も加わってきた。
「すみません。もしかして……スパイスさんとサタン・イラさん?」
「うぉっちさん?」
『どうもーはじめましてー! イラです』
はじめまして同士、名刺を渡したりしてペコペコ挨拶する。
「おじさんたちの社交性があらわになっているッス!」
そりゃあね、我々は自由業だが他業種と取引のある社会人だからね。
そしてここに、最後のメンバーがやって来た。
『おおー、揃ってますね。どもどもー』
ピンクの髪をお団子状に結って、今はサングラスを掛けた背の高い女の子。
サングラスの下には配信でよく見知った顔があるのだ。
暴食の大罪本人、ベルゼブブだ!
「ベルっちさん、よく旅行する余裕取れましたねえ」
「いやー、はづきが半隠居状態で、あとはリアイベの準備にかかりきりなのと学業ばっかりなんですよ。それで私がフリーになってる状態で。あ、AギルドはLUINE WORKSで24時間対応中です」
「さっすが」
『やるねー』
「ベルっちさんが事務能力も高いの、びっくりでしたよ」
俺とイラちゃんとうぉっちさんで感心する。
その後、話題がうちのベイビーになった。
おじさんとお兄さんとお姉さんで囲んで、ベイビーを観察する。
『イラはよく分からないけどさ、素質があったりするわけ?』
「そうみたいな感じだな。魔導書が生まれた時からつきっきりになってるし」
『ほえー、英才教育じゃん。世界初の本物の魔導書パートナーが誕生するかもな』
「男女の双子って珍しいですよねえ。それぞれ別の特性をスパイスさんから受け継いで?」
「そんな感じです。よく泣いたり、もちゃもちゃ動いたりしますけど可愛いですよ」
『かわいいー。触ってもいいですかー?』
「どうぞどうぞ」
ベルゼブブが『わー』とか言いながら、ホムラの手のひらをふにふにしている。
ホムラはじーっとベルゼブブを見ているが、相手が魔王のたぐいだと分かってるんだろうか。
赤ちゃんだし分からないだろうなー。
なお、変装が完璧だったお陰で我々は周囲から注目されていない。
よしよし。
「あれはづきっちじゃない!?」「ほんとだ!」「お忍び旅行かな?」
まずぅい!
急いで移動する我々なのだった。
その後、飛行機を使ってフライト開始だ。
ロサンゼルスを経由して行くので、長旅になる。
当然、俺たちはお高いクラスを取っていた。
以前の飛行機は、エコノミーに当たる部分が全てダンジョン避けの結界だったため、ファーストクラスとビジネスクラスしか席が無かったんだよな。
お陰で凄まじい運賃になっていた。
今はビジネスクラスでも、随分安くなったものだ。
普通に三桁万円だが。
『私ははづきと乗ったことありますけど、むしろエコノミーに興味があってですねー』
「へえ、ベルっちさんエコノミー乗ったことないんですか」
『自我を持ってからは一度も無いんですよー! 一回乗ってみたいなあ、エコノミー体験したーい』
まあ、エコノミークラス自体がここ最近復活したものだから、乗ったことがない人が多いのは分かる。
『イラなんか普段はエコノミーだなあ。今回は大奮発だぜ』
みんな席が近いのでちょっとお喋りしているが、他のお客さんの迷惑になるのでここからはお話ストップ。
隣の赤ちゃん同伴席のマシロとのみ会話をすることにする。
「すごいメンツッスよねー……。配信ではみんな見たことあるッスけど、実際に会ったらちゃんと人間なんだーってびっくりしたッス。いや、なんか失礼な話ッスけど」
「うん、正しくは全員人間ではないか、無くなってるからね……。それはそうと、全員社会性がある」
なお、俺としては……イラちゃんは人間かどうかかなり怪しいと見ている。
二代目憤怒の大罪みたいな顔をしているが、最初に憤怒を受け取ったのは彼であったみたいな話がある。
魔王から憤怒をパワーアップさせるみたいな話を聞かされ、断った。
その結果、憤怒の力は別の人物……前々迷宮省長官、ナカバヤシ氏の子息に受け継がれ、彼は暴走して悪の大罪となった。
そして、きら星はづきによって滅ぼされる。
恐らくは素質ありと思われた人物が、制御できずに怪物に成り果てるような憤怒の大罪を、イラちゃんは完璧に乗りこなし、アンガーマネジメントまで出来ている。
適性が高いのかも知れないが、それだけではないと薄々感じていたところだ。
今日、本人と出会って確信した。
サタン・イラは後ろのイラ……憤怒の意味の言葉を名前として使われている。
だが、彼の本質は名前の前の方だ。
なんなら本人だろう。
つまりこの飛行機の中には、サタン(本人)とベルゼブブ(本人)が乗っていることになる。
とんでもない話だ。
なお、うぉっちさんはインドのマモンと力を分け合っているので、かなり安定しているそうだ。
『イラさん、機内食どうします? 私全部食べたいなあ』
『多めに用意してるって聞いてるよ? いんじゃね? あ、イラは洋食がいいなー』
二人とも、今はたまたま人類の味方になってくれている。
このいい関係をずっと維持していきたいものだなあ。
俺はそう思いながら、マシロと機内食の話を始めるのだった。
まあ、イベントは1月なんだから当然っちゃあ当然かも知れない。
うちのちびたちからすると、初のフライトなのだ。
その前に、初の電車があったけど。
リムジンバスで空港までやって来ると……。
赤いコートを着た人物がいる。
何故か、顔や全体の輪郭がはっきりしないんだが、俺はピンと来た。
「イラちゃん?」
『おー、一発で分かった? スパイスちゃんだろ』
「そうそう」
「おじさん同士がお互いをちゃん呼びしてるッス!」
マシロ、そこに突っ込んではいけない!
いやあ、リアルのイラちゃんとは初遭遇だなあ。
全く肌が露出しない格好をしているのは、プライバシーの関係があるのかも知れない。
最近どうよ、と談笑していたら、そこにひょろっとした若い男性も加わってきた。
「すみません。もしかして……スパイスさんとサタン・イラさん?」
「うぉっちさん?」
『どうもーはじめましてー! イラです』
はじめまして同士、名刺を渡したりしてペコペコ挨拶する。
「おじさんたちの社交性があらわになっているッス!」
そりゃあね、我々は自由業だが他業種と取引のある社会人だからね。
そしてここに、最後のメンバーがやって来た。
『おおー、揃ってますね。どもどもー』
ピンクの髪をお団子状に結って、今はサングラスを掛けた背の高い女の子。
サングラスの下には配信でよく見知った顔があるのだ。
暴食の大罪本人、ベルゼブブだ!
「ベルっちさん、よく旅行する余裕取れましたねえ」
「いやー、はづきが半隠居状態で、あとはリアイベの準備にかかりきりなのと学業ばっかりなんですよ。それで私がフリーになってる状態で。あ、AギルドはLUINE WORKSで24時間対応中です」
「さっすが」
『やるねー』
「ベルっちさんが事務能力も高いの、びっくりでしたよ」
俺とイラちゃんとうぉっちさんで感心する。
その後、話題がうちのベイビーになった。
おじさんとお兄さんとお姉さんで囲んで、ベイビーを観察する。
『イラはよく分からないけどさ、素質があったりするわけ?』
「そうみたいな感じだな。魔導書が生まれた時からつきっきりになってるし」
『ほえー、英才教育じゃん。世界初の本物の魔導書パートナーが誕生するかもな』
「男女の双子って珍しいですよねえ。それぞれ別の特性をスパイスさんから受け継いで?」
「そんな感じです。よく泣いたり、もちゃもちゃ動いたりしますけど可愛いですよ」
『かわいいー。触ってもいいですかー?』
「どうぞどうぞ」
ベルゼブブが『わー』とか言いながら、ホムラの手のひらをふにふにしている。
ホムラはじーっとベルゼブブを見ているが、相手が魔王のたぐいだと分かってるんだろうか。
赤ちゃんだし分からないだろうなー。
なお、変装が完璧だったお陰で我々は周囲から注目されていない。
よしよし。
「あれはづきっちじゃない!?」「ほんとだ!」「お忍び旅行かな?」
まずぅい!
急いで移動する我々なのだった。
その後、飛行機を使ってフライト開始だ。
ロサンゼルスを経由して行くので、長旅になる。
当然、俺たちはお高いクラスを取っていた。
以前の飛行機は、エコノミーに当たる部分が全てダンジョン避けの結界だったため、ファーストクラスとビジネスクラスしか席が無かったんだよな。
お陰で凄まじい運賃になっていた。
今はビジネスクラスでも、随分安くなったものだ。
普通に三桁万円だが。
『私ははづきと乗ったことありますけど、むしろエコノミーに興味があってですねー』
「へえ、ベルっちさんエコノミー乗ったことないんですか」
『自我を持ってからは一度も無いんですよー! 一回乗ってみたいなあ、エコノミー体験したーい』
まあ、エコノミークラス自体がここ最近復活したものだから、乗ったことがない人が多いのは分かる。
『イラなんか普段はエコノミーだなあ。今回は大奮発だぜ』
みんな席が近いのでちょっとお喋りしているが、他のお客さんの迷惑になるのでここからはお話ストップ。
隣の赤ちゃん同伴席のマシロとのみ会話をすることにする。
「すごいメンツッスよねー……。配信ではみんな見たことあるッスけど、実際に会ったらちゃんと人間なんだーってびっくりしたッス。いや、なんか失礼な話ッスけど」
「うん、正しくは全員人間ではないか、無くなってるからね……。それはそうと、全員社会性がある」
なお、俺としては……イラちゃんは人間かどうかかなり怪しいと見ている。
二代目憤怒の大罪みたいな顔をしているが、最初に憤怒を受け取ったのは彼であったみたいな話がある。
魔王から憤怒をパワーアップさせるみたいな話を聞かされ、断った。
その結果、憤怒の力は別の人物……前々迷宮省長官、ナカバヤシ氏の子息に受け継がれ、彼は暴走して悪の大罪となった。
そして、きら星はづきによって滅ぼされる。
恐らくは素質ありと思われた人物が、制御できずに怪物に成り果てるような憤怒の大罪を、イラちゃんは完璧に乗りこなし、アンガーマネジメントまで出来ている。
適性が高いのかも知れないが、それだけではないと薄々感じていたところだ。
今日、本人と出会って確信した。
サタン・イラは後ろのイラ……憤怒の意味の言葉を名前として使われている。
だが、彼の本質は名前の前の方だ。
なんなら本人だろう。
つまりこの飛行機の中には、サタン(本人)とベルゼブブ(本人)が乗っていることになる。
とんでもない話だ。
なお、うぉっちさんはインドのマモンと力を分け合っているので、かなり安定しているそうだ。
『イラさん、機内食どうします? 私全部食べたいなあ』
『多めに用意してるって聞いてるよ? いんじゃね? あ、イラは洋食がいいなー』
二人とも、今はたまたま人類の味方になってくれている。
このいい関係をずっと維持していきたいものだなあ。
俺はそう思いながら、マシロと機内食の話を始めるのだった。
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