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マシロ、配信を目論む編
第65話 案件配信のお誘い
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さて、マシロにどうやって正体を明かし、こちら側に取り込むか……。
彼女の身の安全のためには、絶対に身内にした方がいい。
俺は危険だから、という理由だけで彼女がやろうとしたことを否定する気はないし、なんなら存分にやってもらって、満足してもらおうじゃないかくらい考えるようになっているのだ。
『夫婦生活の安定のためには、ガス抜きとしてもいいんじゃないですかね!』
「フロータはまた気の早いことを言っている……!」
あのコラボの後、マシロこと紅野シロコのチャンネル登録者数は増えていた。
1000人が見えてきそうじゃないか。
なかなかすごい。
そして俺はと言うと……。
「ラーフの案件が来た……! ここ、世界的に大きな玩具メーカーだぞ。いいのか……!?」
玩具メーカーのバズブロウ日本支社からの案件だった。
もしや、スパイスの事を小さい子どもだと思ってはいないだろうな……?
中身はおじさんだぞ?
いや、きっと分かっているだろう。
ここは信頼できる人間に相談……。
そうだ、チャラウェイだね!
『ウェイ! すげーじゃないですか案件! 絶対受けたほうがいいですって』
「やっぱりそう……? だけど俺は魔法少女だからな……。それでラーフとかおかしくないですか?」
『いいんじゃない? この間の配信だって思った以上に動けてたっしょ。俺、スパイスちゃんがあんな動ける子だって知らなくって』
「あの肉体、やたらと動きがいいんですよね……。あと、相方が魔法が使えないので合わせてあげようってことで」
『あー、あの娘、この間焼き肉に来た娘でしょ。ありゃあ、ぶきっちょなタイプですもんねえ。でも才能が無いわけじゃないから。直線の動きは優れてるんじゃないっすか?』
「確かに。元陸上部だそうだから……」
『今ザッコ繋げられます? 図で説明しますわ』
「助かる~」
場をPCに移して、マイクを使ってザットコードとお絵描きチャットでやり取りする。
『つまりっすね、直線で動くタイプでもまっすぐとは限らなくて、こう、こう』
「ははあ、遮蔽の間をジグザグに最短距離で移動する!」
『そういうこと! 短距離走の連続ってことね。俺も特別な戦い方はできないタイプなんで、常に頭を使ってそこを補ってるんすよね』
「いやあ、下手にできるとそっち方向に考えが行っちゃって視野が狭くなるから。あー、なるほど! これは分かりやすいなあ。助かります!」
『いえいえー! この埋め合わせはまた今度、なんか美味しい案件とかコラボとか呼んで下さいよ』
「ぜひぜひ!」
ということで通信終わり。
持つべきものは親しき先輩配信者だ。
豊かな経験を持つチャラウェイだからこそ出てきた発想だなあ。
俺はすぐさま企業に連絡をし、案件で出る金額は二人合わせて提示されたのと同額でいいのでマシロを参加させて欲しい旨を話した。
すぐOKが出る。
俺と一緒にラーフで戦っていた配信者だと、案件担当者が理解していたのだ。
『初心者枠の方がおられる方がやりやすいですしね。配信方法はお任せします。弊社スタッフが向かいますんで、レクチャーの方法について話し合いましょう』
「ありがたい!!」
バズブロウ社の人も来るらしい。
これは喜ばしいニュースだ。
すぐにマシロにも連絡……いやいや、Aフォンのザッコを通じて、シロコにも連絡だ。
『えええっ、案件ッスか!?』
「そうなんだよー! シロコちゃんこの間ラーフ使ってたじゃん! スパイスと一緒にラーフの宣伝する案件やりませんかーって! スパイスはねー、シロコちゃんをプッシュしておいたよー。この配信者はこの武器使う! っていうイメージ固めるの、強くなる秘訣だからねー」
メタモルフォーゼ済みなのだ!
うーん、この姿だとマシロを意識してどう喋ろう……みたいなのが頭からさっぱり無くなるな!
姿は性格までも変えるのだ。
「やるー? もちろんやるよね?」
『やるッス!! やらせて欲しいッスー!! くうーっ! スパイスさんと絡んでから運が回ってきたッスー! 何者でもなかったあたしが、なんかちょっとやれる感じになってきたッス!』
そっかー、それで悩んでたのかマシロ。
なんか俺のことをちょっと特別視してるところあったもんな。
いや、実際、本当に特別なんだが。
こうしてラーフ案件がスタートした。
で、ついでだからこの案件の中で、スパイスはシロコに正体を明かしちゃおう。
まあ、そこで落ち着くのはあくまで先輩と後輩だよーってところくらいにしてですね。
計画は動き出すのだった。
翌日、バズブロウ社の案件担当の方と会議をした。
こちらから都内まで赴いて、会場は喫茶店の個室。
担当者はスラッとした男の人だった。
俺はあくまでスパイスの姿でこの会議に臨む。
「スパイスさんの本来のスタイルが魔法ということは重々承知しているんですが、先日のラーフを使った配信は大きな話題になりましてね。PickPockであのラーフを構えての三次元機動が動画としてアップされ、バズっているのはご存知で?」
「えっ、そうなの!? 全然知らんかったー……。スパイスはツブヤキックス専門なんで」
「ですよねえ、私もですが、おじさんはそんなものです。弊社マーケティング部門がこれを発見し、若いファンからの人気が高い黒胡椒スパイスさんなら、ラーフの案件をお任せできると判断しまして。本社からのOKも取り付けたので、こうしてお願いしているわけです。経験者であるスパイスさんと、初心者であるシロコさんのお二人でレクチャーしながらダンジョンを攻略していただければ」
「はーい! 任せて下さい! それで、そのダンジョンは……」
「ちょうど先日発生したダンジョンがあります。こちらを利用していただければ。全てのテナントが撤退した後の雑居ビルが、突如ダンジョン化したそうでして……。ダンミー側に連絡し、案件用として弊社が押さえました」
「人間が関わってないのにダンジョン化することってあるんですねえ」
「ええ、そのようですね。ということで、来たる春の爽やかさに相応しい、フレッシュな配信を期待しております」
「まっかせて下さい!」
スパイスが手を伸ばすと、担当の人が身を乗り出して手を握ってくれた。
握手握手。
すみませんね、スパイスはちっちゃいもので!
ということで、案件配信と正体バラしイベント、2つを兼ねたダンジョン攻略のスタートなのだ。
彼女の身の安全のためには、絶対に身内にした方がいい。
俺は危険だから、という理由だけで彼女がやろうとしたことを否定する気はないし、なんなら存分にやってもらって、満足してもらおうじゃないかくらい考えるようになっているのだ。
『夫婦生活の安定のためには、ガス抜きとしてもいいんじゃないですかね!』
「フロータはまた気の早いことを言っている……!」
あのコラボの後、マシロこと紅野シロコのチャンネル登録者数は増えていた。
1000人が見えてきそうじゃないか。
なかなかすごい。
そして俺はと言うと……。
「ラーフの案件が来た……! ここ、世界的に大きな玩具メーカーだぞ。いいのか……!?」
玩具メーカーのバズブロウ日本支社からの案件だった。
もしや、スパイスの事を小さい子どもだと思ってはいないだろうな……?
中身はおじさんだぞ?
いや、きっと分かっているだろう。
ここは信頼できる人間に相談……。
そうだ、チャラウェイだね!
『ウェイ! すげーじゃないですか案件! 絶対受けたほうがいいですって』
「やっぱりそう……? だけど俺は魔法少女だからな……。それでラーフとかおかしくないですか?」
『いいんじゃない? この間の配信だって思った以上に動けてたっしょ。俺、スパイスちゃんがあんな動ける子だって知らなくって』
「あの肉体、やたらと動きがいいんですよね……。あと、相方が魔法が使えないので合わせてあげようってことで」
『あー、あの娘、この間焼き肉に来た娘でしょ。ありゃあ、ぶきっちょなタイプですもんねえ。でも才能が無いわけじゃないから。直線の動きは優れてるんじゃないっすか?』
「確かに。元陸上部だそうだから……」
『今ザッコ繋げられます? 図で説明しますわ』
「助かる~」
場をPCに移して、マイクを使ってザットコードとお絵描きチャットでやり取りする。
『つまりっすね、直線で動くタイプでもまっすぐとは限らなくて、こう、こう』
「ははあ、遮蔽の間をジグザグに最短距離で移動する!」
『そういうこと! 短距離走の連続ってことね。俺も特別な戦い方はできないタイプなんで、常に頭を使ってそこを補ってるんすよね』
「いやあ、下手にできるとそっち方向に考えが行っちゃって視野が狭くなるから。あー、なるほど! これは分かりやすいなあ。助かります!」
『いえいえー! この埋め合わせはまた今度、なんか美味しい案件とかコラボとか呼んで下さいよ』
「ぜひぜひ!」
ということで通信終わり。
持つべきものは親しき先輩配信者だ。
豊かな経験を持つチャラウェイだからこそ出てきた発想だなあ。
俺はすぐさま企業に連絡をし、案件で出る金額は二人合わせて提示されたのと同額でいいのでマシロを参加させて欲しい旨を話した。
すぐOKが出る。
俺と一緒にラーフで戦っていた配信者だと、案件担当者が理解していたのだ。
『初心者枠の方がおられる方がやりやすいですしね。配信方法はお任せします。弊社スタッフが向かいますんで、レクチャーの方法について話し合いましょう』
「ありがたい!!」
バズブロウ社の人も来るらしい。
これは喜ばしいニュースだ。
すぐにマシロにも連絡……いやいや、Aフォンのザッコを通じて、シロコにも連絡だ。
『えええっ、案件ッスか!?』
「そうなんだよー! シロコちゃんこの間ラーフ使ってたじゃん! スパイスと一緒にラーフの宣伝する案件やりませんかーって! スパイスはねー、シロコちゃんをプッシュしておいたよー。この配信者はこの武器使う! っていうイメージ固めるの、強くなる秘訣だからねー」
メタモルフォーゼ済みなのだ!
うーん、この姿だとマシロを意識してどう喋ろう……みたいなのが頭からさっぱり無くなるな!
姿は性格までも変えるのだ。
「やるー? もちろんやるよね?」
『やるッス!! やらせて欲しいッスー!! くうーっ! スパイスさんと絡んでから運が回ってきたッスー! 何者でもなかったあたしが、なんかちょっとやれる感じになってきたッス!』
そっかー、それで悩んでたのかマシロ。
なんか俺のことをちょっと特別視してるところあったもんな。
いや、実際、本当に特別なんだが。
こうしてラーフ案件がスタートした。
で、ついでだからこの案件の中で、スパイスはシロコに正体を明かしちゃおう。
まあ、そこで落ち着くのはあくまで先輩と後輩だよーってところくらいにしてですね。
計画は動き出すのだった。
翌日、バズブロウ社の案件担当の方と会議をした。
こちらから都内まで赴いて、会場は喫茶店の個室。
担当者はスラッとした男の人だった。
俺はあくまでスパイスの姿でこの会議に臨む。
「スパイスさんの本来のスタイルが魔法ということは重々承知しているんですが、先日のラーフを使った配信は大きな話題になりましてね。PickPockであのラーフを構えての三次元機動が動画としてアップされ、バズっているのはご存知で?」
「えっ、そうなの!? 全然知らんかったー……。スパイスはツブヤキックス専門なんで」
「ですよねえ、私もですが、おじさんはそんなものです。弊社マーケティング部門がこれを発見し、若いファンからの人気が高い黒胡椒スパイスさんなら、ラーフの案件をお任せできると判断しまして。本社からのOKも取り付けたので、こうしてお願いしているわけです。経験者であるスパイスさんと、初心者であるシロコさんのお二人でレクチャーしながらダンジョンを攻略していただければ」
「はーい! 任せて下さい! それで、そのダンジョンは……」
「ちょうど先日発生したダンジョンがあります。こちらを利用していただければ。全てのテナントが撤退した後の雑居ビルが、突如ダンジョン化したそうでして……。ダンミー側に連絡し、案件用として弊社が押さえました」
「人間が関わってないのにダンジョン化することってあるんですねえ」
「ええ、そのようですね。ということで、来たる春の爽やかさに相応しい、フレッシュな配信を期待しております」
「まっかせて下さい!」
スパイスが手を伸ばすと、担当の人が身を乗り出して手を握ってくれた。
握手握手。
すみませんね、スパイスはちっちゃいもので!
ということで、案件配信と正体バラしイベント、2つを兼ねたダンジョン攻略のスタートなのだ。
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