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ダンジョンASMRとは!
第71話 師匠に教えを請う
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持つべきものは人脈だ。
古き魔女からは、精神の魔女の存在とその対策を教えてもらい。
得られたヒントで、俺はダンジョン内ASMRという手がかりを掴んだ。
そうなれば、話は簡単だ。
俺自身がダンジョンASMRをマスターすればいい!
幸い、昨年のクリスマスに行ったコラボ配信で、ダンジョンASMRの大家である彼女との交流を持っていた。
今こそ、それを活かす時!!
「突然すみませえん」
スパイスの姿になった俺は、彼女にザッコで連絡を取っていた。
熾天使バトラ。
配信者グループ、ジェーン・ドゥのトップであり、ダンジョンASMRの第一人者とも呼ばれる女性だ。
自ら脚本も作り、演出も行う。
マルチクリエイターとしての側面も持っている。
『あらこんばんはー! スパイスちゃん、そっちから連絡もらえるなんてうれしいなあ』
配信ではお姉さんっぽいところを見せている彼女だが、プライベートは甘く優しい声色だ。
うーん、通話しているだけなのにアルファ波が出ている気がする……。
『それで、私に連絡してきたってことは……もしかしてやるつもり?』
「そうですー! やるつもりです! ダンジョンASMRを!!」
精神の魔女との戦いに向けて、彼女の攻撃を食らった際のリカバリーはこれしかない!
スパイスの声をペッパーどもとお肉どもに焼き付ける、ダンジョンASMRだ!
『それじゃあねえ、必要な道具一式を買いに行ってみましょっか。通販で買ってもいいんだけど、やっぱり手に取って試してみないと分からないですからね』
「なるほどー!! じゃあスパイスはスパイスの姿で?」
『素のままでいいんじゃないでしょうか。私、スパイスさんの元の姿にもちょっと興味があるなーと』
「な、なるほど……。おじさんの姿で来ていいと。仮の姿たるおじさんモードで」
『うふふ、そうなりますよね。こうしてアバターを被って配信していると、なんていうかこう、人格面をアバターに持っていかれると言うか……』
「バトラさんもそんな感じ!?」
『歴が長い分だけそうなりますよー。まあ、社会人経験だとスパイスさんの方が先輩かもですけど。私が社会人していたのせいぜい三年くらいだし』
「な、なるほどー。じゃあお世話になります! お忙しい中お時間取っていただいてありがとうございます~!」
『いえいえ~。私も今話題のスパイスちゃんとコラボするの楽しみにしてますから~!』
いやあいい人だなあ。
配信者、みんなトップ陣はちゃんとした常識人だ。
こうして俺は、都心まで出かけることになった。
仕事仲間で、生身では初対面の女性相手である。
きちんとした服を仕立てていかないとな。
幸い、バトラのスケジュールが空いている日までは少しだけ日にちがあった。
俺は紳士服店でそれなりにきちんとした服を準備して行った。
なかなかの出費だぞ……!!
『メタモルフォーゼして行ったら良かったじゃないですかー』
「あれ生身でも使えるの!? 使えないだろ。というかスパイスの上からショウゴのアバター被ったとして、町中で魔法が解けたら大惨事じゃないか」
『主様はカワイイから平気ですよ!』
「平気じゃないよ!? 一応俺は社会で暮らしてるんだから、社会人としての尊厳というものがだな……」
『まだ染まってなかったか……。魔導書が三冊必要ですねえ』
「くっそー、この魔導書、敵かも知れねえ」
こうして卒のない感じの格好で決めた俺は都心へ向かった。
約束の場所で、紫メッシュの髪をアップにした、レース地のシャツにゆったりしたパンツルックの女性が立っていた。
彼女はさり気なく周囲をチラチラ見回している。
これはもしや……。
ザッコで連絡を送る。
すると彼女が顔がパッと明るくなり、こっちを見た。
うーん、美人さん……!!
メイクもバッチリで、大人っぽさとガーリーさが同居している。
パタパタとやって来る彼女なのだ。
「もしかして……スパイスちゃん?」
「はい。バトラさんですね。はじめまして」
「はじめましてー! うわー、背、たかーい! 配信だとあんなにちっちゃいのに」
「身長差50センチ以上ありますからね……。あの体本当に小回りが利くから動きやすいんですよ」
正体をばらさないために小声で会話しているが、ここは都心だ。
人が多くて、誰もが他人の会話なんか聞いちゃいない。
でも、万一……万が一ということがあるからな。
「じゃあ、行きましょうか」
「はい、案内しますね」
そういうことになった。
大型電気量販店に行きたいところだが、そこにはマニアックなアイテムは無いものらしい。
向かうのは音響用品の専門店。
「やっぱりASMRって実際に使ってみないと分からないからねえ。あっ、このお店は安全ですよ。入口で今バトラがカード見せたでしょ。会員制で紹介が無いと入れないから。だから中にいるお客さんは全員配信者か声優さんだから」
「な、なんて世界だ……!!」
俺は店内をぐるりと見回す。
量販店と違い、壁に商品が掛かっているわけではない。
お試しできるコーナーが幾つも用意され、そこで客がヘッドホンを付けてめいめいにマイクの響きを確認している……。
うおっ、お試しヘッドホン、全てが最低二桁万円の高級品じゃないか。
「ここはお手頃コーナーだからね。まだ頑張ればみんな手が届く……」
「なんですって」
「本番は地下だからねえ」
「ASMRの世界は深すぎる……!!」
いざ、ダンジョンASMRの深淵へ……!!
古き魔女からは、精神の魔女の存在とその対策を教えてもらい。
得られたヒントで、俺はダンジョン内ASMRという手がかりを掴んだ。
そうなれば、話は簡単だ。
俺自身がダンジョンASMRをマスターすればいい!
幸い、昨年のクリスマスに行ったコラボ配信で、ダンジョンASMRの大家である彼女との交流を持っていた。
今こそ、それを活かす時!!
「突然すみませえん」
スパイスの姿になった俺は、彼女にザッコで連絡を取っていた。
熾天使バトラ。
配信者グループ、ジェーン・ドゥのトップであり、ダンジョンASMRの第一人者とも呼ばれる女性だ。
自ら脚本も作り、演出も行う。
マルチクリエイターとしての側面も持っている。
『あらこんばんはー! スパイスちゃん、そっちから連絡もらえるなんてうれしいなあ』
配信ではお姉さんっぽいところを見せている彼女だが、プライベートは甘く優しい声色だ。
うーん、通話しているだけなのにアルファ波が出ている気がする……。
『それで、私に連絡してきたってことは……もしかしてやるつもり?』
「そうですー! やるつもりです! ダンジョンASMRを!!」
精神の魔女との戦いに向けて、彼女の攻撃を食らった際のリカバリーはこれしかない!
スパイスの声をペッパーどもとお肉どもに焼き付ける、ダンジョンASMRだ!
『それじゃあねえ、必要な道具一式を買いに行ってみましょっか。通販で買ってもいいんだけど、やっぱり手に取って試してみないと分からないですからね』
「なるほどー!! じゃあスパイスはスパイスの姿で?」
『素のままでいいんじゃないでしょうか。私、スパイスさんの元の姿にもちょっと興味があるなーと』
「な、なるほど……。おじさんの姿で来ていいと。仮の姿たるおじさんモードで」
『うふふ、そうなりますよね。こうしてアバターを被って配信していると、なんていうかこう、人格面をアバターに持っていかれると言うか……』
「バトラさんもそんな感じ!?」
『歴が長い分だけそうなりますよー。まあ、社会人経験だとスパイスさんの方が先輩かもですけど。私が社会人していたのせいぜい三年くらいだし』
「な、なるほどー。じゃあお世話になります! お忙しい中お時間取っていただいてありがとうございます~!」
『いえいえ~。私も今話題のスパイスちゃんとコラボするの楽しみにしてますから~!』
いやあいい人だなあ。
配信者、みんなトップ陣はちゃんとした常識人だ。
こうして俺は、都心まで出かけることになった。
仕事仲間で、生身では初対面の女性相手である。
きちんとした服を仕立てていかないとな。
幸い、バトラのスケジュールが空いている日までは少しだけ日にちがあった。
俺は紳士服店でそれなりにきちんとした服を準備して行った。
なかなかの出費だぞ……!!
『メタモルフォーゼして行ったら良かったじゃないですかー』
「あれ生身でも使えるの!? 使えないだろ。というかスパイスの上からショウゴのアバター被ったとして、町中で魔法が解けたら大惨事じゃないか」
『主様はカワイイから平気ですよ!』
「平気じゃないよ!? 一応俺は社会で暮らしてるんだから、社会人としての尊厳というものがだな……」
『まだ染まってなかったか……。魔導書が三冊必要ですねえ』
「くっそー、この魔導書、敵かも知れねえ」
こうして卒のない感じの格好で決めた俺は都心へ向かった。
約束の場所で、紫メッシュの髪をアップにした、レース地のシャツにゆったりしたパンツルックの女性が立っていた。
彼女はさり気なく周囲をチラチラ見回している。
これはもしや……。
ザッコで連絡を送る。
すると彼女が顔がパッと明るくなり、こっちを見た。
うーん、美人さん……!!
メイクもバッチリで、大人っぽさとガーリーさが同居している。
パタパタとやって来る彼女なのだ。
「もしかして……スパイスちゃん?」
「はい。バトラさんですね。はじめまして」
「はじめましてー! うわー、背、たかーい! 配信だとあんなにちっちゃいのに」
「身長差50センチ以上ありますからね……。あの体本当に小回りが利くから動きやすいんですよ」
正体をばらさないために小声で会話しているが、ここは都心だ。
人が多くて、誰もが他人の会話なんか聞いちゃいない。
でも、万一……万が一ということがあるからな。
「じゃあ、行きましょうか」
「はい、案内しますね」
そういうことになった。
大型電気量販店に行きたいところだが、そこにはマニアックなアイテムは無いものらしい。
向かうのは音響用品の専門店。
「やっぱりASMRって実際に使ってみないと分からないからねえ。あっ、このお店は安全ですよ。入口で今バトラがカード見せたでしょ。会員制で紹介が無いと入れないから。だから中にいるお客さんは全員配信者か声優さんだから」
「な、なんて世界だ……!!」
俺は店内をぐるりと見回す。
量販店と違い、壁に商品が掛かっているわけではない。
お試しできるコーナーが幾つも用意され、そこで客がヘッドホンを付けてめいめいにマイクの響きを確認している……。
うおっ、お試しヘッドホン、全てが最低二桁万円の高級品じゃないか。
「ここはお手頃コーナーだからね。まだ頑張ればみんな手が届く……」
「なんですって」
「本番は地下だからねえ」
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