TSして魔法少女になった俺は、ダンジョンをカワイく攻略配信する~ダンジョン配信は今、カワイイの時代へ~

あけちともあき

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夏の魔女バトル

第82話 いて良かった八咫烏

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 配信をしながら始めて、しかも異世界に出てきたもんだから……。

『あー、これは見つかりましたね! 向こうからワラワラとモンスター出てきますよ!』

「やっぱりー。ちょっと飛んでいい?」

「どうぞどうぞ。地上のモンスターは僕が受け持つから。常にAフォンにラーフを格納してあるんだよね。ほいっと」

 八咫烏の周囲を公式Aフォンが飛び回ったかと思ったら、ストレージからラーフをぺいっと吐き出した。
 よく見たら、八咫烏のラーフって銃身の下の方に刃がついてるじゃない。
 もちろん、刃は丸められてて安全なんだけど、刃になってるってだけで使いこなしてくれることだろう。

「うおー、レビテーション! 最近あたらしいことをやるのに夢中で、魔法を新たに開拓できてない気がするけど!」

『そこは私が感知の断章を使いこなせるようになりましたからね!』

「あ、分かりあえたんだ?」

『拳と拳で!』

 腕無いじゃん!

※『スパイスちゃんに新しい力が生えたってこと!?』『何ができるの!?』『楽しみー!』

「いやあー、魔法を感知するセンスマジックっていう力なんだけどね。見た目では分からないから地味だと思うなあ」

 魔女の魔力があからさまに漏れ出るようになった今ならば、センスマジックで精神の魔女の居場所を割り出し放題ってわけか。
 世界の壁で隔てられてると、使う機会が無かったっぽいな。

『いっきまーす! 主様、詠唱はこれ!』

「はいはい! 広がれ! スパイスの視覚と聴覚と嗅覚! センスマジーック!! これって五感で分かる感じなんだ?」

『そうなんですよー』

※『スパイスちゃんを中心に虹色の波紋ができてる!』『きれー!』『かっけー!』

「えっ、本当!? そんなに分かりやすいの!?」

 本当でした。
 グワーッと波紋が世界に向けて拡大していき、その範囲にいる魔力持つ存在を知覚させてくれる。

「ウグワーッ、情報の洪水だーっ!? こういうのはあえて鈍感になって、目的のものだけ見るようにすればいいってスパイスは知ってるぞ。伊達におじさんじゃないんだ」

※『スパイスちゃんが空中に浮かんだままボケーっとした!』『ぼんやり顔可愛い』『余計な情報を右耳から左耳に聞き流しているんだ』

 そうそう。
 ぼんやりしてたら、途中でこの間ふっとばしたドラゴンとか、森の中のモンスターたちとかも感知した。

 多分こっちに見られたってのも、向こうは分かるんだろうなあ。
 ドラゴンが険しい顔しながら起き上がったのが分かる。
 来るなよ来るなよ~。

 そしてさらに向こう。
 モンスターの集団に囲まれて、そいつがいた。

 前髪を伸ばして片目を隠した、猫背の女だ。

「きひひっ!! 見たな!? お前今、わたしを見たな!? こっちに来たのか、ガキめっ!! こっちは私の世界だ! このまま押しつぶしてやる!!」

 おお、勘付かれた!
 いきなり魔法を全開で使って、スタンピードを引き起こしてくる。

「何ていうかさ、精神の魔女って相手の精神支配一本槍じゃない?」

『それが一番効率的ですからねえ。相手を操って、同士討ちさせてもいいですし手駒にしてもいいですし。でも、芸がないのはそうですよねー』

 センスマジックで見た感じ、不安定な人っぽかったし。
 そこに突ける隙があるか……?

※『今魔女見えた!』『ヤバそー』『あれが最近ダンジョン荒らしてたやつ!?』『ヤババじゃん!』『何語だったの? 言ってること意味分かんなかった』『あれルーマニア語だよ』

「識者おったー! まあ、スパイスたち魔女は念話みたいなので言葉が通じるんだけどね。それじゃあ、空から魔女のところまで攻めていきまーす! みんな、応援よろしく! あっ、でも八咫烏一人で大丈夫かな……? 配信してないでしょ」

『ん主よぉ! 心配はぁ無用のようだぁ……。なんだぁ、あいつぅ?』

 イグナイトがカバンの中から訝しげな声を漏らしてる。
 つまり、襲ってくるモンスターの集団を全然相手できちゃってるってことね。

 モンスターの『ウグワーッ!!』っていう声ばかり聞こえてくるけど。

「やたさーん! 地上は任せまーす!」

「ほいほーい、了解だよー」

 割と真下に近いところから声がした。
 もしかしてモンスターの群れを一人で押し戻していってる?
 化け物だなー!

 でも連れてきて良かった八咫烏!
 精神の魔女的には彼を無視できないもんね。

※『八咫烏強いの?』『わからん』『なうファンタジーのトップの人でしょ?』『企業勢は強いのか弱いのか』

「はいはーい、ここはスパイスのチャンネルなので、コラボしてたりスパイスが言及しない限り、他の配信者さんのこと喋ったらだめだよー」

※『はーい』『了解!』『わかりましたあ!』

 いい子たちだなあ。
 どこどこの配信はこうでしたよ! みたいなハト行為と呼ばれるのは、リスナー界隈ではご法度なのだ。
 他の配信者に言及するのは、このハト行為になる可能性がある。

 後は、人外みたいな強さをしてる八咫烏が画面に写っちゃうと、彼のブランドイメージ的にヤバいでしょというスパイスの気遣いかな……!
 彼、アイドル売りみたいなのが強いから「なうファンタジーぶっちぎりの最強配信者で、日本でも三本の指に入るレベル」とかそういうのをファンに求められてないんで。

 ザッコで八咫烏からテキストによる連絡が来た。
 戦いながら音声入力してるの!?
 余裕か!

『お気遣い感謝! 大暴れして気を引いておくから、スパイスちゃんは魔女をぶっ飛ばしてきなよ。僕のことはお気になさらず!』

「やさしー! じゃあヤタさんから行っていいよー!って言われたんで、これから魔女のところまで直行してみます! みんな、スパイスについてこーい!! うおおおおアクセール!!」

 レビテーションが加速する。
 目指せ、精神の魔女のいるところ!
 今日でぶっとばしてやるぞー!!
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