TSして魔法少女になった俺は、ダンジョンをカワイく攻略配信する~ダンジョン配信は今、カワイイの時代へ~

あけちともあき

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フォーガイズ結成編

第92話 大京長官、辞任す

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「スパイスさん、実はここだけの話なんやけど」

「なあに」

 配信が終わって、まだスパイスモードの時にシノが話しかけてきた。
 さっきまで廊下で、シリアスな感じで電話していたと思ったのだけど。

「大京長官、辞任することになるそうですわ」

「えっ!? ええーっ!! なんでー!?」

『あの超人を追い落とすやつがいたんですか!? ひえーっ!! この時代は魔境じゃないですかー!』

『ん恐るべきやつぅ!! 気をつけろ主よぅ!』

『いやいやいやいや、これは多分に政治的な問題でやんすよー! 腕っぷしと政治力は別でやんすからねえ』

「うんうん、多分これはメンタリスが正しい」

『で、やんしょー?』

 得意げなメンタリス。
 スパイスのところだとのびのび暮らせるので、意識的に発言をするようにしてるらしい。
 自ら意識改善とは偉い魔導書だ。

 というのも、初めての教え子であるフロッピーにカッコ悪いところは見せられないと思っているらしいのだ。
 おお、三下に芽生えた誇りと慈愛の心!

『むきー! メンタリスのくせに生意気ー!』

『少しくらいぃ人心掌握に詳しいからと言ってぇ!』

 脳筋の二冊がキーキー言っている。
 まあ、イグナイトは肝心なところでは解説してくれるんで、真の脳筋はフロータだけなんだが。

「そっかー。じゃあ長官が引退すると、迷宮省はごたごたするねえ」

「そうなりますー。うちも契約がどうなるか分からへんですねえ。ちょっと調べるために戻りますー。これは式神に任せておけないんで」

「うん、気を付けてねー!」

 ということで、ムラカミさんになったシノが出ていった。
 俺もショウゴに戻り、彼を見送る。

『小さな女の子同士の会話と思いきや、成人男性同士のやりとりですからねー』

「まあそうなんだけどな! さて、迷宮省のゴタゴタは気になるが、俺等には何もできることはない。明日の配信の準備をしようぜ」

『はーい!』

 途中で仕事帰りのマシロもやって来たので、色々作業を手伝ってもらうなりした。
 色々あってから、マシロは露骨にベタベタくっついてくるようになったなあ。

『お世継ぎまであと少しですね~! 楽しみです!』

「早い早い」

「あ、あたしは覚悟はできてるッスよ!」

 覚悟するような話でもない。
 もう別に、そういうのを遠慮する関係でもないが、家族計画の方はもうちょっと慎重にね……。
 妻帯者で子持ちの幼女になったら、スパイスはどういう立場になるのだろう。
 今は考えないでおこう。

 そういう日々が数日経過して……。
 とあるザッコの会話。

『ウェイ! スパイスちゃんさ、俺の計画を聞いてほしいんだけどさ』

『チャラウェイと僕と、あとこの間、大京さんと知り合ってね。四人で何か面白いことしようってことになって』

「ふんふん、長官まで加わって何をするの?」

『男四人でコラボして、色々やろうぜってことになったんだぜ! 名付けて……フォーガイズ!』

「男四人でフォーガイズ! わはは、安直~!!」

『そこがいい。大京さんも近く、暇になるしねえ』

「あっ、辞任するからでしょ?」

 もうみんな知っているようだ。
 だからこそ、こんなとんでもないコラボ企画が動いてるんだろう。
 いや、面白いと思うけどね?

 そして……。

 記者会見が行われる日となった。

『大京嗣也長官、引責辞任!』

 そういう見出しである。
 本日は8/31。
 関東圏の学生なら夏休み最後の日だ。

 土曜日だったのでマシロも休み。
 一日、俺の配信準備の手伝いをしたり、事ある毎にべたべたしてきたりしている。
 冷房の効いた屋内でもなんとなく暑いんだから、昼間からべたべたくっつくんじゃありません。

「うわーん、先輩のいじわるー」

「俺はオンオフははっきりしてるの」

『これは計画通りじゃないとお世継ぎが生まれなさそうですねえ』

『あっしとしてはこれくらい冷徹な方が、マスターとして信頼できるでやんすねえー。氷のような判断力こそが精神魔法の行使には重要でやんすよ、うんうん』

『ん炎のような情熱がなければぁ! 男と女の関係は先には進まなぁい!』

『マスター、会見が始まるようです』

 最近、メンタリスの真似をして俺をマスターと呼ぶようになったフロッピー。
 当たり前みたいにプカプカ宙に浮かびながら、遠隔操作で長官辞任会見の生放送を表示させた。

「どれどれ? ははあ、記者が集まっているなあ。生放送だから早送りできないよね? じゃあアーカイブで後で見る」

「先輩ってそういうところ冷静ッスよね」

「記者がもちゃもちゃ言ってるの聞くの面倒くさいだろ?」

「それはそうッスけど……」

 会見は見ずに、こちらの作業をやることに決めたのだった。
 魔導書たちとフロッピーが集まって、ディスプレイの中の会見を見ている。

 人間である俺とマシロは明日使うための小道具を、あれがいいこれがいい、と話し合いながら準備しているのだ。

『ほえー! あの優秀な超人に責任を取らせて辞任させる!? 東京湾の大騒ぎがほぼ犠牲なしで終わったのはあの男の采配でしょうにー! かーっ!! この国の政府は無能ですねー!! この記者どもも卑しくていやですねー!』

『ん俺がこの場にいたらぁ! 一人残らずぅ、焼き尽くしてやるぅ!! 今からページが怒りでぇ、かっかとしてきたぁ!』

『有能な長官だからこそ下ろしたかった勢力がいたんでやんすねえ。んで、長官が大魔将対策で都内の経済活動を停止させたから、その責任で引退ということになってるでやんすよ。高度な政治ロジックでやんすね』

『お兄様、私は納得できません。こんなのはおかしいです』

『フロッピーちゃんは純粋なままでいてほしいでやんす! おおかわいいかわいい』

 今、フロッピーが自発的な意思を示してなかった!?
 気のせいか……。
 ええいマシロ、作業状況を確認するために俺の懐に入ってくるんじゃない。

 その後、この状況をわかりやすくまとめた動画などを確認してみたところ……。
 概ねの状況として、メンタリスの解釈で間違っていないようだった。

 迷宮省という組織は、ダンジョン対策を行うためにかなりの強権を振るってきた。
 そのために各所から恨みを買っている。

 今回の大京長官引責辞任は、そういった党内政治による圧力が掛かったものらしい。
 しかも長官、政治家としても引退してしまうらしい。
 なんということだ。

 あの人なしで、この国はダンジョンに対抗していけるのか?

『次の長官となります、中林です』

 いかにも古狸的な政治家っぽい男が自己紹介していた。
 ダメだこりゃ。
 ダンジョンには政治が通じないんだぞ。

『弱そーですねー!! こんなやつ、本の角で一発ですよ! 魔法を使うまでもない!!』

「まーたフロータが武闘派な発言をする。でもまあ、やらかしたことは政府側が責任を持ってもらってですね。俺はこれから発動する新コラボで楽しく活動することにするから」

 会見を終えた、新たな配信者仲間を迎えに行かねばな。
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