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おめでた発覚編
第222話 コーラル社長がデビューする
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春。
4月。
新たな出会いと始まりの季節。
マシロのお腹はまだ大きくなっていない。
つわりは来ているから、これをカラフリーがサクサクと軽減している。
便利だなあ!
「ほんっと助かるッス~!! あたし多分、つわり結構きついタイプっぽいッス。ショウゴさんいなかった時に始まって、辛くて辛くて……! でもカラフリーちゃんがいてくれれば安心ッスね!」
「うん、俺もカラフリーがこれほどとは思わなかった」
『フヒョヒョヒョヒョ! 人類の文明は発展しても、人間の仕組みは変わらないざんす! ミーはすでに、つわりを克服する魔法は開発済みの実践済みざんすからねー』
『うんうん、人間はよく勘違いしてるでやんすなあ。ガワである技術やら社会が発達しても、中身がおっつかないでやんすもんねえ。同じ手段が永遠に通用するでやんす。ちなみにあっしらは文明に合わせた魔法を開発するので、普通に追いついていくでやんすよ。なあマリンナ』
『おー? なんですかあ? 今、イカルガエンターテイメントのドラゴンとレースしてるんでー! あっこのぉ! ゴブリン投げつけてきやがったですねぇ!!』
『マリンナァ! これはぁ、先に出すぎるといけないんじゃないのかぁ!』
『やりますねー。うちで一番ゲームが上手いマリンナと互角とはー!』
「今ドラゴンって言った?」
マシロの出勤を見送ったあとの俺は、テレビの前でわちゃわちゃしている魔導書に尋ねた。
観戦していたフロータが説明してくれる。
『そうですよー! この世界にも何匹ものドラゴンがやって来ていますからね! そのどれもが、人類社会に溶け込んで暮らしています! 便利ですからねー。娯楽に溢れてますからねー。まあ、娯楽の少ない小国は、ドラゴンが統治者と入れ替わって支配したりもしてますけど!』
「一大事じゃないか!?」
『でも、そのお陰で小国でもダンジョンに飲み込まれずに戦えてますからね!』
「なるほど、功罪あるんだなあ……そうだ、ドラゴンと言えば!」
俺はツブヤキックスをチェックする。
本日の20時より、ライブダンジョンで五人の新人がデビューするのだった。
その中に、コーラル社長がいる。
最近も、天使っぽいアバターな同期の女の子と一緒に飲みに行ったらしい。
仲良しだなあ。
ルームシェアする予定まであるとか?
このマンションにライブダンジョンの配信者が住むの!?
調べてみたら、座天使くおんという人らしい。
多分、中身は普通の人間だろうなあ。
小柄な女の子で、周囲を回転するのは三つのリングが複雑に絡み合った構造体。
全てに目玉がついているこれは、ハイロゥというらしい。
ほうほう、コーラル社長に馴れ馴れしくしていた羊かヤギっぽい女の子といい、社長に抱っこされていたお姫様ルックの女の子といい、並び立ってる悪魔っぽいルックの女の子といい……。
ライブダンジョンは逸材を発見したようだ。
配信が楽しみだなあ。
『主様、自分の配信しないで他の人のを見るんですかー?』
「見るよ見るよ。うちの家主でもあるんだぞ。それに本物のドラゴンがデビューしてどうなるか気になって仕方ない。あと、同期の娘たちは社長がドラゴンだと知ってるのかどうか……」
マシロが帰ってきた夕方、一緒に食事をして、ゆったりタイム。
そこでコーラル社長のデビュー配信が始まった。
『人間たちよ、よくぞ我のデビュー配信に駆けつけてくれたな。ご苦労。我はコーラル。星渡りの竜にして、とあるマンションのオーナーをしている竜である。社長と呼ぶが良い』
うおーっ!!
かなり上から来たぞーっ!!
いや、本人がドラゴンだし、人智を超越した存在なので全然自然なのだが。
なお、コーラル社長の美人なルックスは大変受けているし、厳格な口調に対してちょっと甘い感じの声色で、早くも集まったリスナーがメロメロになり始めている。
これがドラゴンの力……!!
俺は戦慄した。
生まれながらのアイドル気質ではないか。
社長が自分を説明するコーナーが始まり、尻尾の話になった。
『うむ、尻尾は生えておるぞ? 当然であろう。我は竜故にな。なに? 貴様らも尻尾が欲しい? ではグッズとやらで尻尾を作ってやろう。人間には尻尾を差し込む穴があるであろう。そこに装着するが良い……なにっ!? この話題はNGだと!? そうか……』
「マネージャーさんからNGが入ったな」
「いきなりセンシティブな話題だったッスからねー……! アブノーマルすぎる!」
想像したらしく、マシロがもじもじしている。
そこから、今後の活動方針について。
ダンジョン配信はほどほどの頻度で行うようだ。
本物のドラゴンによるダンジョン攻略だからね……。
本気を出すと一瞬で終わってしまう。
エンタメになるように構成を練り込む必要があるだろう。
あとはゲーム配信とか、ダンス配信とか。
『我を信仰する者へ、常に門戸を開いているぞ。名称はタツノオトシゴとしている。竜である我の落とし子だ。いいネーミングであろう? では人間どもよ。さらばだ』
初めてとは思えぬほどの堂の入り方で、コーラル社長の初配信が終わった。
「すげえー」
「もうベテランみたいな空気を醸し出してたッスねー」
「ツブヤキックスでも話題になってる」
続く同期の女の子たちは初々しいものだった。
だが、やはりみんな個性的で魅力的。
ライブダンジョンが選び取る目は確かだな……。
「あっ! ショウゴさん! コーラル社長の登録者がもう3万人になってるッス!」
「なんだってー!! やっぱりライブダンジョンのブランド力、そして社長の個性は凄いな……。配信者界はとんでもない大型新人を迎え入れてしまったのではないか」
4月。
新たな出会いと始まりの季節。
マシロのお腹はまだ大きくなっていない。
つわりは来ているから、これをカラフリーがサクサクと軽減している。
便利だなあ!
「ほんっと助かるッス~!! あたし多分、つわり結構きついタイプっぽいッス。ショウゴさんいなかった時に始まって、辛くて辛くて……! でもカラフリーちゃんがいてくれれば安心ッスね!」
「うん、俺もカラフリーがこれほどとは思わなかった」
『フヒョヒョヒョヒョ! 人類の文明は発展しても、人間の仕組みは変わらないざんす! ミーはすでに、つわりを克服する魔法は開発済みの実践済みざんすからねー』
『うんうん、人間はよく勘違いしてるでやんすなあ。ガワである技術やら社会が発達しても、中身がおっつかないでやんすもんねえ。同じ手段が永遠に通用するでやんす。ちなみにあっしらは文明に合わせた魔法を開発するので、普通に追いついていくでやんすよ。なあマリンナ』
『おー? なんですかあ? 今、イカルガエンターテイメントのドラゴンとレースしてるんでー! あっこのぉ! ゴブリン投げつけてきやがったですねぇ!!』
『マリンナァ! これはぁ、先に出すぎるといけないんじゃないのかぁ!』
『やりますねー。うちで一番ゲームが上手いマリンナと互角とはー!』
「今ドラゴンって言った?」
マシロの出勤を見送ったあとの俺は、テレビの前でわちゃわちゃしている魔導書に尋ねた。
観戦していたフロータが説明してくれる。
『そうですよー! この世界にも何匹ものドラゴンがやって来ていますからね! そのどれもが、人類社会に溶け込んで暮らしています! 便利ですからねー。娯楽に溢れてますからねー。まあ、娯楽の少ない小国は、ドラゴンが統治者と入れ替わって支配したりもしてますけど!』
「一大事じゃないか!?」
『でも、そのお陰で小国でもダンジョンに飲み込まれずに戦えてますからね!』
「なるほど、功罪あるんだなあ……そうだ、ドラゴンと言えば!」
俺はツブヤキックスをチェックする。
本日の20時より、ライブダンジョンで五人の新人がデビューするのだった。
その中に、コーラル社長がいる。
最近も、天使っぽいアバターな同期の女の子と一緒に飲みに行ったらしい。
仲良しだなあ。
ルームシェアする予定まであるとか?
このマンションにライブダンジョンの配信者が住むの!?
調べてみたら、座天使くおんという人らしい。
多分、中身は普通の人間だろうなあ。
小柄な女の子で、周囲を回転するのは三つのリングが複雑に絡み合った構造体。
全てに目玉がついているこれは、ハイロゥというらしい。
ほうほう、コーラル社長に馴れ馴れしくしていた羊かヤギっぽい女の子といい、社長に抱っこされていたお姫様ルックの女の子といい、並び立ってる悪魔っぽいルックの女の子といい……。
ライブダンジョンは逸材を発見したようだ。
配信が楽しみだなあ。
『主様、自分の配信しないで他の人のを見るんですかー?』
「見るよ見るよ。うちの家主でもあるんだぞ。それに本物のドラゴンがデビューしてどうなるか気になって仕方ない。あと、同期の娘たちは社長がドラゴンだと知ってるのかどうか……」
マシロが帰ってきた夕方、一緒に食事をして、ゆったりタイム。
そこでコーラル社長のデビュー配信が始まった。
『人間たちよ、よくぞ我のデビュー配信に駆けつけてくれたな。ご苦労。我はコーラル。星渡りの竜にして、とあるマンションのオーナーをしている竜である。社長と呼ぶが良い』
うおーっ!!
かなり上から来たぞーっ!!
いや、本人がドラゴンだし、人智を超越した存在なので全然自然なのだが。
なお、コーラル社長の美人なルックスは大変受けているし、厳格な口調に対してちょっと甘い感じの声色で、早くも集まったリスナーがメロメロになり始めている。
これがドラゴンの力……!!
俺は戦慄した。
生まれながらのアイドル気質ではないか。
社長が自分を説明するコーナーが始まり、尻尾の話になった。
『うむ、尻尾は生えておるぞ? 当然であろう。我は竜故にな。なに? 貴様らも尻尾が欲しい? ではグッズとやらで尻尾を作ってやろう。人間には尻尾を差し込む穴があるであろう。そこに装着するが良い……なにっ!? この話題はNGだと!? そうか……』
「マネージャーさんからNGが入ったな」
「いきなりセンシティブな話題だったッスからねー……! アブノーマルすぎる!」
想像したらしく、マシロがもじもじしている。
そこから、今後の活動方針について。
ダンジョン配信はほどほどの頻度で行うようだ。
本物のドラゴンによるダンジョン攻略だからね……。
本気を出すと一瞬で終わってしまう。
エンタメになるように構成を練り込む必要があるだろう。
あとはゲーム配信とか、ダンス配信とか。
『我を信仰する者へ、常に門戸を開いているぞ。名称はタツノオトシゴとしている。竜である我の落とし子だ。いいネーミングであろう? では人間どもよ。さらばだ』
初めてとは思えぬほどの堂の入り方で、コーラル社長の初配信が終わった。
「すげえー」
「もうベテランみたいな空気を醸し出してたッスねー」
「ツブヤキックスでも話題になってる」
続く同期の女の子たちは初々しいものだった。
だが、やはりみんな個性的で魅力的。
ライブダンジョンが選び取る目は確かだな……。
「あっ! ショウゴさん! コーラル社長の登録者がもう3万人になってるッス!」
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