異世界で始めるポイ活冒険生活 ~実績解除で人生ボーナス中!~

あけちともあき

文字の大きさ
3 / 121
ポイ活、人生を導く編

第3話 初めての人命救助をしました! +1000pt

しおりを挟む
 本当に手ぶらなのは俺くらいのようだ。
 採集を選んだ俺は、おっかなびっくり、薄暗い森の中を目指す。

「チャットボット。こういう山歩きで必要なものってなんだ?」

『とてもいい質問ですね! ご希望の道具は、照明、そして採取用の軍手、収納用の籠になります』

 お買い物サービスに、該当の商品が提示される。
 一番安いのは10pt、一番高いのは1000pt!?
 うーむ、違いが分からない。

 一番安いのは怖いから、それぞれ30ptくらいのものにしておこう。
 俺の片手に松明が出現する。
 両手のひらが軍手で覆われ、松明を持たない方の腕には籠がぶら下がっている。

「完璧。それじゃあ行こうか」

 森の中に一歩踏み入れると……。

『ウグワーッ! 新たな一歩を踏み出しました!』

「うわーっ! この実績解除のフレーズ、状況によっては心臓に悪いな……」

『実績・冒険の第一歩を解除! 200pt獲得!』

 おっと、嬉しいポイント量だ。
 これで、さっき購入したぶんのアイテム代がチャラになってお釣りが来る。

 ホクホクしながら、森の中を歩く俺だ。
 幸い、先行している人たちの足跡がそこここにあり、迷うことは無い。

 だがそれはつまり、既に誰かが通った道を歩くことになる。
 採取の対象となるのは、食用、薬用になる草木とキノコ。
 よく考えたら、俺はそういうのに詳しくないし、先行した人に全部取られてしまっているのではないか?

「こりゃあまずい。ポイントを使って何かいいのを買おう。例えば……貢献ポイントの対象になる草木やキノコが分かるアプリとか! そういうアプリはある?」

『とてもいい質問ですね! こちらの探索アプリを使えば、一定距離までの対象物を探せますよ!』

「AIみたいな返答してきたな? ピックアップ感謝! では、ダウンロードしてインストールして……ええっ!? 基本無料!? ありがたーい!」

 ほくほく顔で探索アプリ……The・探索を起動する俺。
 探索条件を打ち込む場所がある。

 ええと、貢献ポイント対象、と。

『The・探索が探索対象を認識しました。半径10m以内の対象を表示します』

「よしよしよし、いいぞいいぞいいぞ」

『その前に、15秒間のCMをご覧いただくとこのサービスがご利用可能になります』

「な、なんだってー!?」

 基本無料の落とし穴だ!!
 カード会社からのヒロイックでうるさいCMが流れ始めた!!
 俺はすぐさま、このアプリの使用権をランクアップする。
 FREEから、PREMIUMへだ!

 うおおお、虎の子のポイントが500pt消えた!
 基本無料だけどCMが出ないようにするために、かなりポイント食うじゃないか!

『次回からCMなし、などの条件をご提示下さい!』

「次からは絶対そうするからな!」

 このチャットボット、ポンコツかも知れない。
 アプリの探索能力だけは確かだった。
 ソナーのような画面が表示され、俺の周囲に点々と貢献ポイント対象の草木が表示される。

「種類までは分からないんだな」

『そちらはアプリ内課金で拡張するシステムになります』

「世知辛い……」

 もっとポイントが増えたら拡張しよう。
 今はこれで十分だ。

 一見して、対象となる薬草とそっくりな草木がある。
 だけど探索アプリが反応しないため、これは対象外だと分かる。
 よく似た毒草だったりして。

 探索アプリが示す対象物を採集しながら、俺は森の奥へと進んでいった。
 おっと、ここには対象のキノコがある!
 どれどれ……。

 おや?
 つま先にふにゃっとした柔らかな感触が。

 アプリから目を離し、足元を見る……。
 そこには、人が横たわっていた。

「…………。うわーっ!!」

 そりゃあ驚くって。
 アプリを見ながら歩いてはいけません!
 今後、気をつけます!!

「死体か……?」

 倒れている人の周りをウロウロする俺。
 アプリは、この人の下敷きになっている場所を指し示している。

 その人は、手にキノコを握りしめていた。
 齧った跡があるな。
 一見すると、採取対象のキノコそっくりだが……アプリは反応していない。
 毒キノコじゃないか?

 倒れている人をチェック。
 金色の髪が、森に差し込む木漏れ日を受けて煌めいている。
 髪の間から二本のツノが生えていた。

 整った顔立ちは、眠っているかのように穏やかだ。
 大きく膨らんだ胸が上下している。
 生きているな。
 眠ってるのだろうか?

「っていうか女の人じゃん」

 いかんいかん、胸を凝視していたぞ。
 彼女は長袖のシャツみたいなのを着ていて、下半身は短パンだった。
 真横に太い、ヘビみたいなものが飛び出している。
 ……尻尾だ!

「ツノと尻尾がある美女だぞ! 人間じゃないってわけか! ……いやいや、この世界では人間かも知れない。おーい。女の人ー。寝てるんですかー」

 声を掛けてみる。
 反応はない。
 顔をぺたぺた叩いてみた。
 反応がない。

「これはまずいかも知れない。毒か? 毒じゃないか? チャットボット」

『The・探索のアプリ内課金をご利用下さい』

「くっそー! 人命には代えられないだろ! ポイント課金だ! 毒を判定してくれ!」

 手持ちのポイントが一気に吸われる……と思ったら。

『ウグワーッ! 初めて誰かのためにポイントを消費しました! 実績・黄金の精神Lv1を解除! 1000pt獲得!』

「えーっ!? い、いや、そんなことより! アプリ起動!」

 The・探索の毒物判定機能を使用する。

『コンスイタケ。素晴らしい香りと食味だが、口にしたものを永遠の眠りに誘い、一晩で殺す。その肉体を苗床にして繁栄する』

「最悪の毒キノコじゃん! どうやって毒を解除する!?」

『調理されたコンスイタケは体内で素早く分解、吸収されているために物理的な手段では解除不可能。解毒の魔法かポーションを使用すること。生のコンスイタケの場合はまだ胃の中で未消化な場合があるため、吐き出させることで解毒できる』

 消化されてないのに毒の力を発揮するってわけか!?
 まあいい、助かるならやってやろう!
 酔っ払った人に吐かせる方法は、ネットで調べて知っているんだ。

 俺はツノの生えた女性の口を開くと、喉の奥に指を突っ込んだ。
 うおっ、生暖かくてぬらぬらしている。

 まさか人生で初めて女性に深く接触するのが、毒キノコを吐かせるためだとは……。
 ツノの生えた女性は、すぐに生理効果でオエッとなった。

 全力を込めて彼女をうつ伏せに……おおーっ! 出てきた! 胃の中のものが出てきた!
 その中には、かじりかけの生キノコが混じっている。

「おえーっ! おえええっ! げほっ、げほーっ! うげーっ!! ひ、ひどい、ひどい目覚めなんですけどーっ!!」

 ツノの生えた女性がそんな事を言いながら、胃の中のものを吐ききったようだった。
 よしよし、蘇生した!

『ウグワーッ! 初めての人命救助をしました! 実績・命の守り手Lv1を解除! 1000pt獲得!』

「えーっ!? な、なんか善行を積んだら、ポイントを使ってポイントが増えてしまったんだがーっ!? これはポイントの永久機関じゃないのかぁーっ!?」

◎現在のポイント:2010pt
 貢献ポイント :0pt (指定の場所に納品しなければポイントになりません!)
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

魔法至上主義の世界で『筋力』だけカンストした男が拳一つで全てを覆す

ポポリーナ
ファンタジー
魔法こそが至高——この世界では呼吸も移動も戦闘も、あらゆる営みが魔力で成り立っている。 筋力は「野蛮人の遺物」と蔑まれ、身体を鍛える者は最底辺の存在とされていた。 そんな世界に転生した元・体育教師の剛田鉄心は、魔力適性ゼロ、しかし筋力だけが測定不能のカンスト値。 魔法障壁を素手でぶち抜き、転移魔法より速く走り、最上位魔法を腹筋で弾く—— 「なぜ魔法を使わないんだ!?」と問われるたびに「だって使えないし」と笑う男の、 常識を腕力でねじ伏せる痛快・逆転無双が今始まる!

僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜

犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。 この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。 これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。

転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?

スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。 女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!? ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか! これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

剣の世界のβテスター~異世界に転生し、力をつけて気ままに生きる~

島津穂高
ファンタジー
社畜だった俺が、βテスターとして異世界に転生することに!! 神様から授かったユニークスキルを軸に努力し、弱肉強食の異世界ヒエラルキー頂点を目指す!? これは神様から頼まれたβテスターの仕事をしながら、第二の人生を謳歌する物語。

異世界転移しても所詮引きこもりじゃ無双なんて無理!しょうがないので幼馴染にパワーレベリングして貰います

榊与一
ファンタジー
異世界で召喚士! 召喚したゴブリン3匹に魔物を押さえつけさせ、包丁片手にザク・ザク・ザク。 あれ?召喚士ってこんな感じだったっけ?なんか思ってったのと違うんだが? っていうか召喚士弱すぎねぇか?ひょっとしてはずれ引いちゃった? 異世界生活早々壁にぶつかり困っていたところに、同じく異世界転移していた幼馴染の彩音と出会う。 彩音、お前もこっち来てたのか? って敵全部ワンパンかよ! 真面目にコツコツとなんかやってらんねぇ!頼む!寄生させてくれ!! 果たして彩音は俺の救いの女神になってくれるのか? 理想と現実の違いを痛感し、余りにも弱すぎる現状を打破すべく、俺は強すぎる幼馴染に寄生する。 これは何事にも無気力だった引き篭もりの青年が、異世界で力を手に入れ、やがて世界を救う物語。 幼馴染に折檻されたり、美少女エルフやウェディングドレス姿の頭のおかしいエルフといちゃついたりいちゃつかなかったりするお話です。主人公は強い幼馴染にガンガン寄生してバンバン強くなっていき、最終的には幼馴染すらも……。 たかしの成長(寄生)、からの幼馴染への下克上を楽しんで頂けたら幸いです。

異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。 ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。 仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。

異世界で家をつくります~異世界転移したサラリーマン、念動力で街をつくってスローライフ~

ヘッドホン侍
ファンタジー
◆異世界転移したサラリーマンがサンドボックスゲームのような魔法を使って、家をつくったり街をつくったりしながら、マイペースなスローライフを送っていたらいつの間にか世界を救います◆ ーーブラック企業戦士のマコトは気が付くと異世界の森にいた。しかし、使える魔法といえば念動力のような魔法だけ。戦うことにはめっぽう向いてない。なんとか森でサバイバルしているうちに第一異世界人と出会う。それもちょうどモンスターに襲われているときに、女の子に助けられて。普通逆じゃないのー!と凹むマコトであったが、彼は知らない。守るにはめっぽう強い能力であったことを。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

処理中です...