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渡海!私のお隣奪還編
第464話 はづき降下作戦伝説
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「はづきが来てから、世界の何もかもが変わってしまったみたい」
空飛ぶキッチンカーに乗り、中国某省の上空。
メイユーがしみじみ呟いた。
「この数ヶ月、ずっと戦い続けていた。それでも相手の勢いが圧倒的で、どんどん押されて……。このままじゃまずいと思っても誰も止められない。そこにはづきが来たの」
「はっ、メイユーがピンチだなーと思って助けに。こっちも面倒事は片付いた後だったので」
「そういうタイミングだったわけか。ふふ、今回からは私とはづきの二人で行ける。どんな相手にも負ける気がしないな」
カナンさんもいますけどね!
なお、彼女はハイエルフの長老と何か相談している。
カナンさんの役割は、その省を支配している魔将を特定することなのだ。
他のエルフたちとネットワークみたいなのを作って、それで情報を集約するらしい。
バイシンさんは地仙の仲間を連れて、もう現地入り中。
ダンジョンの中から情報集めをしてるそうな。
地仙と言えど、ダンジョンで戦うと命の危険があるから、情報収集に徹して後は姿を隠してるんだそうだ。
彼曰く、「冒険配信者は仙人の領域に只人が到達する技術。場合によっては我々地仙を凌駕します。えっ、はづきさん? ハハハ、うちの二代目が大魔将クラスと戦わない理由は負ける可能性が高いからとだけ言っておきますよ」だとか。
最後濁したなー。
「はづき、この辺りに魔将の反応。降下の準備を!」
「はいはーい! じゃあお前ら、行きますわぞー」
※『きた!』『シリアスな雑談から打って変わって、ごきげんなダンジョン踏破タイム!』『殲滅タイムとも言う……』『広大な中国でどうやって、省一つを覆うダンジョンを踏破するのか』
「実はですね、現地でもエルフの方々や他の協力者の皆さんがいらっしゃいまして! そのお力で魔将の位置を特定できるんですねー。多分この辺。まあ、降下すれば分かります! ゆーはぶこんとろーる!」
『あいはぶこんとろーる! じゃ、ここからは私ねー』
※『ベルっちきた!』おこのみ『いきなりのセンシティブ衣装変身は健康にいい』
私とメイユー、カナンさんの他は、パラシュートを装備した中国の配信者さんたち。
みんなやる気満々だ。
『では、ゴー!』
ベルっちが飛び出した。
翼を縮め、地面目掛けて急降下。
迎撃するために飛び出してくるモンスターみたいなのがいるけど、まあ触っただけで『ウグワー!』ピチューン!と消滅ですよ。
そんな強くないのばかりですねー。
「石獣どもを歯牙にもかけないか! 私たちも負けてはいられない!」
メイユー率いる現地の配信者さんたちもフル武装。
攻撃を行いながら降下していくのだ!
賑やかになってきたなあ。
で、ベルっちがダンジョンの只中に着地すると、彼女の周りから眷属のブタさんが次々に登場した。
羽のついたブタさんたちが、ダンジョンに食らいつき、もぐもぐもぐーっと食べ始める。
※『かわいい』『洒落になってない状況だけど絵面がかわいい』『今回はまったり攻略?』
『そうでもないけど、位置が特定できたらピンポイントで叩いたほうが効率がいいでしょ? 私ははづきと違って、そこまでカッとなって行動しないのだ』
ベルっちがそう言いながら、Aフォンからカロリーバーを取り出して四本立て続けにむしゃむしゃ食べた。
おおー、ベルっちの中にいる私にもエネルギーがみなぎる~。
次いで降りてくる現地配信者の皆さん。
カナンさんが最後に着地して、周囲を見回した。
「見晴らしが良くなったな。お陰で精霊の動きが活発になってきた。分かったぞ。敵は向こうだ!」
『あーなるほど。ちょっと離れたところだねー。これはあれかな。一旦飛び上がって、はづきになって着地が一番かな』
「敵の只中だけど大丈夫?」
メイユーさんの言葉に、ベルっちが頷く。
『はづきがまんま腹ペコ爆弾みたいな存在だから、そういうとこに放り込むのが最適解なの。じゃあ行ってくるから後詰よろ!』
ベルっちはまあまあ陽っぽいなあ!
だけど代わりにもりもり喋ってくれるからありがたいー。
さて、私の出番だ。
バーチャルゴボウを用意してっと。
飛び上がるベルっち。
見下ろす先には、モンスターがたくさん集まっている都市部。
みんなこっちを見て、戦闘態勢を整えている。
ベルッチはその真上まで来てから……。
『ゆーはぶこんとろーる!』
「ほいほい、あいはぶこんとろーる!」
入れ替わりなのだ!
私になって、バーチャルゴボウをパラソルみたいにして降下する。
おっ、まあまあな速度で降下ですよ!
周りから私に攻撃しようとして……。
あっ、なんか近づいただけでモンスターが『ウグワーッ』と蒸発した!
※『絶対不可侵はづき領域!』『近づけねえ!』『やべーw』
もう一本バーチャルゴボウを抜き、これで露払いを……。
※『はづきさん、採れたてゴボウが届きまして!』
「あっ、そうなんですか? じゃあちょっと検分を……。おおー! 見事なゴボウですねえ」
※『ゴボウ農家の人だ!!』『最強の聖剣を育てる職人w』『今、採れたての聖剣がはづきっちの手に渡ったぞ!』もんじゃ『勝ったな』
あっ、しまったー!
私がゴボウを抜き放ったら、そこから光の帯が伸びる。
どこまでもどこまでも伸びて、それに触れたモンスターもダンジョンも、『ウグワーッ!?』と消えていく。
でも、ゴボウは急に止まれない。
抜いた動きのままで90度くらいスイングしたら、省を覆うダンジョンの半分が消えていた。
そして、すっかりダンジョン化が解けた都市の中で、呆然としている魔将っぽい巨人の姿が。
『な、な、なんじゃこりゃああああああああ!?』
「いた! みんなー! 総攻撃ー!!」
ワーッと駆けつけてくる、配信者の皆さん!
敵にダンジョンによるバフがなくて、こっちの装備と士気が整ってれば負けることなんかないのです!
『ウグワーッ!? り、理不尽過ぎるー!! ジーヤ殿申し訳ございませーん!!』
こうして一つの省を解放したりするのだった。
空飛ぶキッチンカーに乗り、中国某省の上空。
メイユーがしみじみ呟いた。
「この数ヶ月、ずっと戦い続けていた。それでも相手の勢いが圧倒的で、どんどん押されて……。このままじゃまずいと思っても誰も止められない。そこにはづきが来たの」
「はっ、メイユーがピンチだなーと思って助けに。こっちも面倒事は片付いた後だったので」
「そういうタイミングだったわけか。ふふ、今回からは私とはづきの二人で行ける。どんな相手にも負ける気がしないな」
カナンさんもいますけどね!
なお、彼女はハイエルフの長老と何か相談している。
カナンさんの役割は、その省を支配している魔将を特定することなのだ。
他のエルフたちとネットワークみたいなのを作って、それで情報を集約するらしい。
バイシンさんは地仙の仲間を連れて、もう現地入り中。
ダンジョンの中から情報集めをしてるそうな。
地仙と言えど、ダンジョンで戦うと命の危険があるから、情報収集に徹して後は姿を隠してるんだそうだ。
彼曰く、「冒険配信者は仙人の領域に只人が到達する技術。場合によっては我々地仙を凌駕します。えっ、はづきさん? ハハハ、うちの二代目が大魔将クラスと戦わない理由は負ける可能性が高いからとだけ言っておきますよ」だとか。
最後濁したなー。
「はづき、この辺りに魔将の反応。降下の準備を!」
「はいはーい! じゃあお前ら、行きますわぞー」
※『きた!』『シリアスな雑談から打って変わって、ごきげんなダンジョン踏破タイム!』『殲滅タイムとも言う……』『広大な中国でどうやって、省一つを覆うダンジョンを踏破するのか』
「実はですね、現地でもエルフの方々や他の協力者の皆さんがいらっしゃいまして! そのお力で魔将の位置を特定できるんですねー。多分この辺。まあ、降下すれば分かります! ゆーはぶこんとろーる!」
『あいはぶこんとろーる! じゃ、ここからは私ねー』
※『ベルっちきた!』おこのみ『いきなりのセンシティブ衣装変身は健康にいい』
私とメイユー、カナンさんの他は、パラシュートを装備した中国の配信者さんたち。
みんなやる気満々だ。
『では、ゴー!』
ベルっちが飛び出した。
翼を縮め、地面目掛けて急降下。
迎撃するために飛び出してくるモンスターみたいなのがいるけど、まあ触っただけで『ウグワー!』ピチューン!と消滅ですよ。
そんな強くないのばかりですねー。
「石獣どもを歯牙にもかけないか! 私たちも負けてはいられない!」
メイユー率いる現地の配信者さんたちもフル武装。
攻撃を行いながら降下していくのだ!
賑やかになってきたなあ。
で、ベルっちがダンジョンの只中に着地すると、彼女の周りから眷属のブタさんが次々に登場した。
羽のついたブタさんたちが、ダンジョンに食らいつき、もぐもぐもぐーっと食べ始める。
※『かわいい』『洒落になってない状況だけど絵面がかわいい』『今回はまったり攻略?』
『そうでもないけど、位置が特定できたらピンポイントで叩いたほうが効率がいいでしょ? 私ははづきと違って、そこまでカッとなって行動しないのだ』
ベルっちがそう言いながら、Aフォンからカロリーバーを取り出して四本立て続けにむしゃむしゃ食べた。
おおー、ベルっちの中にいる私にもエネルギーがみなぎる~。
次いで降りてくる現地配信者の皆さん。
カナンさんが最後に着地して、周囲を見回した。
「見晴らしが良くなったな。お陰で精霊の動きが活発になってきた。分かったぞ。敵は向こうだ!」
『あーなるほど。ちょっと離れたところだねー。これはあれかな。一旦飛び上がって、はづきになって着地が一番かな』
「敵の只中だけど大丈夫?」
メイユーさんの言葉に、ベルっちが頷く。
『はづきがまんま腹ペコ爆弾みたいな存在だから、そういうとこに放り込むのが最適解なの。じゃあ行ってくるから後詰よろ!』
ベルっちはまあまあ陽っぽいなあ!
だけど代わりにもりもり喋ってくれるからありがたいー。
さて、私の出番だ。
バーチャルゴボウを用意してっと。
飛び上がるベルっち。
見下ろす先には、モンスターがたくさん集まっている都市部。
みんなこっちを見て、戦闘態勢を整えている。
ベルッチはその真上まで来てから……。
『ゆーはぶこんとろーる!』
「ほいほい、あいはぶこんとろーる!」
入れ替わりなのだ!
私になって、バーチャルゴボウをパラソルみたいにして降下する。
おっ、まあまあな速度で降下ですよ!
周りから私に攻撃しようとして……。
あっ、なんか近づいただけでモンスターが『ウグワーッ』と蒸発した!
※『絶対不可侵はづき領域!』『近づけねえ!』『やべーw』
もう一本バーチャルゴボウを抜き、これで露払いを……。
※『はづきさん、採れたてゴボウが届きまして!』
「あっ、そうなんですか? じゃあちょっと検分を……。おおー! 見事なゴボウですねえ」
※『ゴボウ農家の人だ!!』『最強の聖剣を育てる職人w』『今、採れたての聖剣がはづきっちの手に渡ったぞ!』もんじゃ『勝ったな』
あっ、しまったー!
私がゴボウを抜き放ったら、そこから光の帯が伸びる。
どこまでもどこまでも伸びて、それに触れたモンスターもダンジョンも、『ウグワーッ!?』と消えていく。
でも、ゴボウは急に止まれない。
抜いた動きのままで90度くらいスイングしたら、省を覆うダンジョンの半分が消えていた。
そして、すっかりダンジョン化が解けた都市の中で、呆然としている魔将っぽい巨人の姿が。
『な、な、なんじゃこりゃああああああああ!?』
「いた! みんなー! 総攻撃ー!!」
ワーッと駆けつけてくる、配信者の皆さん!
敵にダンジョンによるバフがなくて、こっちの装備と士気が整ってれば負けることなんかないのです!
『ウグワーッ!? り、理不尽過ぎるー!! ジーヤ殿申し訳ございませーん!!』
こうして一つの省を解放したりするのだった。
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