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渡海!私のお隣奪還編
第474話 はづき、機上の人になる伝説
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空港でお別れなのだ。
ワーッと沢山の人が見送りにきた。
スーイェンさん、書記代行、メイユー、チェンファ、リーさん……。
握手して回ってお別れだ。
おおー、もみじちゃんがチェンファとハグしてる。
これはエモエモですなあ。
「はづきはなんだかんだ言ってクールよね」
メイユーが苦笑した。
「そうですか? 私はごくごく普通という感じを自負してるんだけど……」
「そんな普通はない。まあ、だからこそ常に揺らがずに敵と戦えるのかも知れないけど」
彼女が拳を突き出してきた。
「もうすぐ決戦なんでしょ。任せた。はづきが決める、あなただけの舞台だからね」
「う、うす」
私も拳を合わせる。
「なんではづきが気圧されてるのだろう」
後ろでカナンさんが首を傾げるのだった。
飛行機に乗り込んだら、なんかギターをかき鳴らして口笛みたいな音でけたたましく演奏しているのがいる。
げえっ、ホセ&パンチョ!
「セニョリィィィィタ! 俺たちはあんたに心酔しちまったぜ!」
「配信は地球の裏側でもできるからな! しばらく日本に居着くことに決めたんだ!」
「なんと自由な」
「先輩もかなり自由なんで、類は友を呼ぶというやつじゃないかなあ」
ちょっと目が赤いもみじちゃんがそんなことを言うのだった。
な、なんだってー!
で、飛行機が離陸するまでの間に兄から連絡が来て、イカルガの外郭団体であるイカルガEN……いや、イカルガUN(ユナイテッド)に二人が所属を表明したと言うことだった。
な、なんだってー!
ということは身内になってしまったのか……。
「俺たちは気ままな個人勢だったんだが」
「頂点を極めたと思ったら上には上がいたからな」
「だったらまた新しい場所で頂点を目指すしか無いぜ!」
「バロンドールへの道はチョモランマよりも高く険しいけどな!」
イヤッハー!!
と騒ぎ始める二人。
うわあーっ!!
陽!!
いや、なんか陽を超越して、騒!
騒の者だ!
『いやいやどうしてどうして。きら星はづきよ。強力な戦士たちを部下に迎え入れたな』
「そうなんです?」
バングラッド氏、ホセ&パンチョを持ち上げるじゃあないですか。
「うるさくしてるだけの人たちでは? あっ、カナンさんを二人で口説いてる。そして袖にされた! もみじちゃんにお菓子あげてる! もみじちゃんに『子供扱いしないでください!』って怒られてる!」
『あやつらは魔王との戦いで、その一撃をいなした者たちだ。間違いなく世界最上位の配信者の一角だ。お主の眷属契約のようなものもなぜか続いている……』
「なんでー!?」
不思議すぎるー!
『私あのうるさい二人が眷属とかいやなんだけど!』
ベルっちまで飛び出してきて抗議した。
だが!
飛び上がった飛行機は急には着陸できないし、今後の私もスケジュールというものがあるので、中国に戻って二人を置いていく暇はないのである!
夏休みはなんだかんだで短いからね!
こうして、イカルガはラテン系の二人を仲間にすることになったのだった。
魔王との決戦に向けての最終加入メンバーだと思うけど、それが騒の者二名で本当にいいんですか?
ちなみに二人を振ったカナンさんだけど、個人的にはウマが合うらしい。
ホセの演奏に合わせて機内カラオケみたいにしてなんか歌ってる。
もみじちゃんも、歌いたくてむずむずしているではないか。
すぐにカナンさんに加わり、ハモって歌い出した。
パンチョとバングラッド氏がやんややんやと盛り上がる。
仕方ないなあ……。
私はスッとAフォンを使ってマラカスを注文し、すぐさま取り寄せた。
そして!
歌に合わせてシャカシャカ振る!
仮にも持ち歌のあるアーティストですからね私。
音感みたいなのをかなり鍛えられた。
見よ、このマラカスさばき!!
機内の担当をしている人が、「あっ、当機は今聖なる輝きを帯びて日本に向けて飛行しています! 通過場所下方にあったダンジョンが浄化されています!」
とか仰っている。
何事~?
だが、この状況では解説してくれる人はいないのだ。
なぜなら、みんな機内カラオケしてるから。
私はマラカスを振り終わった後、機内食を出してもらってもりもり食べた。
ベルっちも出てきて、二人でもりもり食べる。
『大事になってきたねえ』
「なってきたねー」
『まあなんとかなるでしょ』
「なると思うねー」
中身のない会話をしつつ、次はもみじちゃんが歌うボカロ曲を聞く。
もりもり上手くなるなあ彼女。
二年前から上手かったけど、今は普通に曲も出してるもんね。
アーティストやりながら配信もして、高校生活もちゃんと過ごしながら家の手伝いもする。
超人的な活動ではないだろうか。
私はベルっちがいるのと、マルチタスクが得意だからやれてるだけだもんねえ。
『でもこの後、すぐに水着配信の準備するんでしょ』
「お分かりになりましたか」
『はづきと私のぶん、2つ水着用意してたじゃん。三人のスケジュールも抑えてあるんでしょ』
「当然! 高校最後の夏休み、楽しまなくちゃですからねー。もちろん魔王もなんとかしないとだけど……」
こうして飛行機は空港へ降りていくのだ。
中国から日本、割と近い!
お陰で今日はまだまだ時間があるぞ。
夏は終わらないのだ。
ワーッと沢山の人が見送りにきた。
スーイェンさん、書記代行、メイユー、チェンファ、リーさん……。
握手して回ってお別れだ。
おおー、もみじちゃんがチェンファとハグしてる。
これはエモエモですなあ。
「はづきはなんだかんだ言ってクールよね」
メイユーが苦笑した。
「そうですか? 私はごくごく普通という感じを自負してるんだけど……」
「そんな普通はない。まあ、だからこそ常に揺らがずに敵と戦えるのかも知れないけど」
彼女が拳を突き出してきた。
「もうすぐ決戦なんでしょ。任せた。はづきが決める、あなただけの舞台だからね」
「う、うす」
私も拳を合わせる。
「なんではづきが気圧されてるのだろう」
後ろでカナンさんが首を傾げるのだった。
飛行機に乗り込んだら、なんかギターをかき鳴らして口笛みたいな音でけたたましく演奏しているのがいる。
げえっ、ホセ&パンチョ!
「セニョリィィィィタ! 俺たちはあんたに心酔しちまったぜ!」
「配信は地球の裏側でもできるからな! しばらく日本に居着くことに決めたんだ!」
「なんと自由な」
「先輩もかなり自由なんで、類は友を呼ぶというやつじゃないかなあ」
ちょっと目が赤いもみじちゃんがそんなことを言うのだった。
な、なんだってー!
で、飛行機が離陸するまでの間に兄から連絡が来て、イカルガの外郭団体であるイカルガEN……いや、イカルガUN(ユナイテッド)に二人が所属を表明したと言うことだった。
な、なんだってー!
ということは身内になってしまったのか……。
「俺たちは気ままな個人勢だったんだが」
「頂点を極めたと思ったら上には上がいたからな」
「だったらまた新しい場所で頂点を目指すしか無いぜ!」
「バロンドールへの道はチョモランマよりも高く険しいけどな!」
イヤッハー!!
と騒ぎ始める二人。
うわあーっ!!
陽!!
いや、なんか陽を超越して、騒!
騒の者だ!
『いやいやどうしてどうして。きら星はづきよ。強力な戦士たちを部下に迎え入れたな』
「そうなんです?」
バングラッド氏、ホセ&パンチョを持ち上げるじゃあないですか。
「うるさくしてるだけの人たちでは? あっ、カナンさんを二人で口説いてる。そして袖にされた! もみじちゃんにお菓子あげてる! もみじちゃんに『子供扱いしないでください!』って怒られてる!」
『あやつらは魔王との戦いで、その一撃をいなした者たちだ。間違いなく世界最上位の配信者の一角だ。お主の眷属契約のようなものもなぜか続いている……』
「なんでー!?」
不思議すぎるー!
『私あのうるさい二人が眷属とかいやなんだけど!』
ベルっちまで飛び出してきて抗議した。
だが!
飛び上がった飛行機は急には着陸できないし、今後の私もスケジュールというものがあるので、中国に戻って二人を置いていく暇はないのである!
夏休みはなんだかんだで短いからね!
こうして、イカルガはラテン系の二人を仲間にすることになったのだった。
魔王との決戦に向けての最終加入メンバーだと思うけど、それが騒の者二名で本当にいいんですか?
ちなみに二人を振ったカナンさんだけど、個人的にはウマが合うらしい。
ホセの演奏に合わせて機内カラオケみたいにしてなんか歌ってる。
もみじちゃんも、歌いたくてむずむずしているではないか。
すぐにカナンさんに加わり、ハモって歌い出した。
パンチョとバングラッド氏がやんややんやと盛り上がる。
仕方ないなあ……。
私はスッとAフォンを使ってマラカスを注文し、すぐさま取り寄せた。
そして!
歌に合わせてシャカシャカ振る!
仮にも持ち歌のあるアーティストですからね私。
音感みたいなのをかなり鍛えられた。
見よ、このマラカスさばき!!
機内の担当をしている人が、「あっ、当機は今聖なる輝きを帯びて日本に向けて飛行しています! 通過場所下方にあったダンジョンが浄化されています!」
とか仰っている。
何事~?
だが、この状況では解説してくれる人はいないのだ。
なぜなら、みんな機内カラオケしてるから。
私はマラカスを振り終わった後、機内食を出してもらってもりもり食べた。
ベルっちも出てきて、二人でもりもり食べる。
『大事になってきたねえ』
「なってきたねー」
『まあなんとかなるでしょ』
「なると思うねー」
中身のない会話をしつつ、次はもみじちゃんが歌うボカロ曲を聞く。
もりもり上手くなるなあ彼女。
二年前から上手かったけど、今は普通に曲も出してるもんね。
アーティストやりながら配信もして、高校生活もちゃんと過ごしながら家の手伝いもする。
超人的な活動ではないだろうか。
私はベルっちがいるのと、マルチタスクが得意だからやれてるだけだもんねえ。
『でもこの後、すぐに水着配信の準備するんでしょ』
「お分かりになりましたか」
『はづきと私のぶん、2つ水着用意してたじゃん。三人のスケジュールも抑えてあるんでしょ』
「当然! 高校最後の夏休み、楽しまなくちゃですからねー。もちろん魔王もなんとかしないとだけど……」
こうして飛行機は空港へ降りていくのだ。
中国から日本、割と近い!
お陰で今日はまだまだ時間があるぞ。
夏は終わらないのだ。
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