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私の最終決戦?編
第480話 いかにして魔王を誘い出すか?伝説
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とある南国。
カッと光ったかと思うと、爆風が吹き荒れた。
島に立ち並ぶ全ての建造物を薙ぎ払い、人間たちを吹き飛ばし……。
だが不思議と、南国の植物や動物たちは無事だった。
そんな異常な現象が起こったのは……そこに魔王のダンジョンが出現したためだ。
彼女はダンジョンを呼び出すなり、
「ていっ!」
それを拳で叩いた。
すると、巨大なダンジョンはまるで脆いガラス細工のように、澄んだ音を立てて砕け散る。
その後、彼女は大きなパラソルを砂浜に立て……。
ビーチチェアを設置すると、悠々と寝転んだ。
魔王マロン・グラーセ。
金と赤の入り交じる、きらびやかなビキニ姿である。
パッと見では、健康美あふれるギャルが寝転んでいるようにしか見えない。
誰も、彼女がこの世界をダンジョンにまみれた地獄に変えた張本人とは思わないだろう。
魔王はどこからかトロピカルなドリンクを取り出すと、そこに刺さった渦巻き型のストローに口をつけた。
横にスマホを置き、配信をチェックし始める。
その中では、きら星はづきが流れるプールのダンジョンを攻略している。
『間に合ったわー。マジ、人間がちょっと抵抗するから邪魔だったし。でも、視聴環境整ったから、ここで配信見るべ』
『マロン様! それどころではございませんぞ! 人間どもの反撃が始まり、各国でわしの分身の手が回らぬほどの騒ぎに……』
『じいはうるさいなー。ちょっと黙ってて』
『ウグワーッ』
現れた大魔将ジーヤがデコピンで弾き飛ばされ、水面をバウンドしながら水平線へ向かっていった。
『ふーん、はづきっちの眷属も強くなってんじゃん。あたしとやるつもりだねえ。あー、名残惜しい。実質的な最終回ってやつ?』
配信の中では、今まさに流れるプールダンジョン崩壊の時。
あれは、魔王マロンが自ら遊ぶため、顕現させたダンジョンだった。
つまり、ダンジョンの強さとしては上級に位置するもの。
それがこうも容易く攻略されたというのは、きら星はづきに連なる配信者たちが魔将を上回る実力を身につけたということ。
物事がインフレしていけば、やがて終わりがやって来る。
魔王マロンは、このお祭り騒ぎの最後が近いことを予感していた。
※
「迷宮省から、南方でのダンジョンの出現と崩壊を確認との連絡がありましたね。で、なんとダンジョン崩壊後にそこでスマホが使われていた形跡が」
「ほうほう」
プールダンジョンから戻ってきた夕方、ルンテさんからそんな話を受けた。
なるほどー。
それは怪しい。
「配信者でなく?」
「残念だけど、生存者はゼロみたい。その時間帯、その地域で行われている配信はなし。でもスマホが使われてたってことは」
「ダンジョンを発生させて、壊して、その後でスマホ使った人がいたってこと?」
「ですねえ……。私が思うに……多分魔王」
「魔王かー。あれ? ってことは、そのスマホをたどれば魔王にたどり着くってこと?」
「そうなりますねー。逆探知してこっちから襲撃はできるかも……」
「これはなかなか大きい話になりそうなので、持ち帰りで」
会社のみんながいる時にやりましょー、ということになった。
ルンテさん、今日は泊まり込みで資料を作っていくそうな。
頭が下がる。
「あ、いや、うちの会社フレックスなんで、私昼過ぎまで寝てたんですよ」
下げた頭を戻すー。
あの自由な母にしてこの自由な娘あり!
ということで、私は家に戻ったよ。
そのついでに、Aフォンとスマホを駆使して計画の進捗を確認。
アバターロケットは種子島にあり。
急ピッチで制作中だけど、安全装置以外はとりあえず爆発しながらでも宇宙に到達できる状態になってるのね。
スレイヤーVさんのお嬢さんにして、ロケット開発に関わってる才女のカレンさんが細かく連絡してくれてる。
彼女曰く、『いかに打ち上がればいいからって、はづきちゃんを爆発物に乗せるのはちょっと! ギリギリまで安全性の確保するから』頼もしい~。
あとは、各地で配信者がダンジョンへ急行できる体勢を整えてる。
チーム制みたいにもなってきてるし、いい感じではないでしょうか。
ホットな話題は……。
「あ、ルシファーさんがジーヤと戦ったんだ」
イギリスの配信者のバックアップを受けたルシファーさんが、大罪モードに変身してジーヤと激闘を繰り広げたらしい。
結果は勝利!
これでジーヤの一体がまた削れて、残り四つ?
あれ?
中国は本来なら怠惰なウォンさんがいて、まあまあ安全なはずだったのでは……。
まあいいか。
ウォンさん、都内のホテルでずっと惰眠を貪って幸せに生活してるからね。
強欲のお二人は、世界中の情報を集めて発信してる。
あちこちで、どれだけ魔王と戦えてるかがすぐ分かる。
とりあえず、本人がやって来たら普通は負け確定なので、くじ引きみたいな感じになってるのが問題ね。
「早いとこなんとかしないとなー。やっぱスマホの逆探知かなー」
魔王って言ったら魔王城みたいなのを持ってて、そこにみんなで乗り込むーって感じなんだけど。
なんか、魔王マロン・グラーセは決まった家がなくて、フラフラ世界を渡り歩いて、気分で参戦してくる感じなんだよね。
フットワークが超絶軽い魔王!
迷惑なー。
『でも、なんとなく私は魔王の性格が分かった』
「本当かベルっち!」
今は帰りの電車の中なんで、声には出さずに体の中で会話する。
『すっごいお祭り好き。大きいイベントがあると必ずちょっかい出してくる。だからあれじゃない?』
あれとは。
『はづきと私で、単独コンサートでもやったら?』
な、な、なんだってー!
カッと光ったかと思うと、爆風が吹き荒れた。
島に立ち並ぶ全ての建造物を薙ぎ払い、人間たちを吹き飛ばし……。
だが不思議と、南国の植物や動物たちは無事だった。
そんな異常な現象が起こったのは……そこに魔王のダンジョンが出現したためだ。
彼女はダンジョンを呼び出すなり、
「ていっ!」
それを拳で叩いた。
すると、巨大なダンジョンはまるで脆いガラス細工のように、澄んだ音を立てて砕け散る。
その後、彼女は大きなパラソルを砂浜に立て……。
ビーチチェアを設置すると、悠々と寝転んだ。
魔王マロン・グラーセ。
金と赤の入り交じる、きらびやかなビキニ姿である。
パッと見では、健康美あふれるギャルが寝転んでいるようにしか見えない。
誰も、彼女がこの世界をダンジョンにまみれた地獄に変えた張本人とは思わないだろう。
魔王はどこからかトロピカルなドリンクを取り出すと、そこに刺さった渦巻き型のストローに口をつけた。
横にスマホを置き、配信をチェックし始める。
その中では、きら星はづきが流れるプールのダンジョンを攻略している。
『間に合ったわー。マジ、人間がちょっと抵抗するから邪魔だったし。でも、視聴環境整ったから、ここで配信見るべ』
『マロン様! それどころではございませんぞ! 人間どもの反撃が始まり、各国でわしの分身の手が回らぬほどの騒ぎに……』
『じいはうるさいなー。ちょっと黙ってて』
『ウグワーッ』
現れた大魔将ジーヤがデコピンで弾き飛ばされ、水面をバウンドしながら水平線へ向かっていった。
『ふーん、はづきっちの眷属も強くなってんじゃん。あたしとやるつもりだねえ。あー、名残惜しい。実質的な最終回ってやつ?』
配信の中では、今まさに流れるプールダンジョン崩壊の時。
あれは、魔王マロンが自ら遊ぶため、顕現させたダンジョンだった。
つまり、ダンジョンの強さとしては上級に位置するもの。
それがこうも容易く攻略されたというのは、きら星はづきに連なる配信者たちが魔将を上回る実力を身につけたということ。
物事がインフレしていけば、やがて終わりがやって来る。
魔王マロンは、このお祭り騒ぎの最後が近いことを予感していた。
※
「迷宮省から、南方でのダンジョンの出現と崩壊を確認との連絡がありましたね。で、なんとダンジョン崩壊後にそこでスマホが使われていた形跡が」
「ほうほう」
プールダンジョンから戻ってきた夕方、ルンテさんからそんな話を受けた。
なるほどー。
それは怪しい。
「配信者でなく?」
「残念だけど、生存者はゼロみたい。その時間帯、その地域で行われている配信はなし。でもスマホが使われてたってことは」
「ダンジョンを発生させて、壊して、その後でスマホ使った人がいたってこと?」
「ですねえ……。私が思うに……多分魔王」
「魔王かー。あれ? ってことは、そのスマホをたどれば魔王にたどり着くってこと?」
「そうなりますねー。逆探知してこっちから襲撃はできるかも……」
「これはなかなか大きい話になりそうなので、持ち帰りで」
会社のみんながいる時にやりましょー、ということになった。
ルンテさん、今日は泊まり込みで資料を作っていくそうな。
頭が下がる。
「あ、いや、うちの会社フレックスなんで、私昼過ぎまで寝てたんですよ」
下げた頭を戻すー。
あの自由な母にしてこの自由な娘あり!
ということで、私は家に戻ったよ。
そのついでに、Aフォンとスマホを駆使して計画の進捗を確認。
アバターロケットは種子島にあり。
急ピッチで制作中だけど、安全装置以外はとりあえず爆発しながらでも宇宙に到達できる状態になってるのね。
スレイヤーVさんのお嬢さんにして、ロケット開発に関わってる才女のカレンさんが細かく連絡してくれてる。
彼女曰く、『いかに打ち上がればいいからって、はづきちゃんを爆発物に乗せるのはちょっと! ギリギリまで安全性の確保するから』頼もしい~。
あとは、各地で配信者がダンジョンへ急行できる体勢を整えてる。
チーム制みたいにもなってきてるし、いい感じではないでしょうか。
ホットな話題は……。
「あ、ルシファーさんがジーヤと戦ったんだ」
イギリスの配信者のバックアップを受けたルシファーさんが、大罪モードに変身してジーヤと激闘を繰り広げたらしい。
結果は勝利!
これでジーヤの一体がまた削れて、残り四つ?
あれ?
中国は本来なら怠惰なウォンさんがいて、まあまあ安全なはずだったのでは……。
まあいいか。
ウォンさん、都内のホテルでずっと惰眠を貪って幸せに生活してるからね。
強欲のお二人は、世界中の情報を集めて発信してる。
あちこちで、どれだけ魔王と戦えてるかがすぐ分かる。
とりあえず、本人がやって来たら普通は負け確定なので、くじ引きみたいな感じになってるのが問題ね。
「早いとこなんとかしないとなー。やっぱスマホの逆探知かなー」
魔王って言ったら魔王城みたいなのを持ってて、そこにみんなで乗り込むーって感じなんだけど。
なんか、魔王マロン・グラーセは決まった家がなくて、フラフラ世界を渡り歩いて、気分で参戦してくる感じなんだよね。
フットワークが超絶軽い魔王!
迷惑なー。
『でも、なんとなく私は魔王の性格が分かった』
「本当かベルっち!」
今は帰りの電車の中なんで、声には出さずに体の中で会話する。
『すっごいお祭り好き。大きいイベントがあると必ずちょっかい出してくる。だからあれじゃない?』
あれとは。
『はづきと私で、単独コンサートでもやったら?』
な、な、なんだってー!
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