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スローライフが攻めてきたぞーっ編
第8話 博物館が出来上がるまでの間に魔人侯を捕まえる
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「ということでポイントほとんど使って博物館を解放してきたよ」
『またタマル様が無駄遣いをされていますぞ』
「この人さ、ラムザーがついていてあげないと毎回すかんぴんになって戻ってくるよ? 絶対」
何という言われようだ。
スローライフ的に心躍る話を聞いたら、ありったけのポイントを使ってしまうだけではないか。
だが、こうして親身になって俺を心配してくれる仲間がいるとは。
スローライフとは実にいいものである。
生前、会社にいた頃は成果主義のせいで、上も下も同僚も全て敵だったからな。
「博物館解放まで一日あるそうなので、それまでに流血男爵を捕まえて売ろうと思うんだが」
『タマル様、今自分が何を言っているか分かってますかな?』
「でもなんかできそうだよね? やっちゃう? 私、湖畔の外の世界がこんなに刺激的だなんて知らなかった」
『日々命を取り合う刺激的な世界ではありますがな、タマル様のこれはちょっとおかしいですぞ』
「なんて事を言うのだ」
口が過ぎるぞラムザー。
だが思いやりを感じるのでよし!
俺は生前の企業で、ずっと憎んでいた上司を思い出した。
ああはなるまい。
今の俺は、いわば村長的な立場にある。
あの荷馬車が小さな村である。
二人も住人がおり、骨次郎は俺にとっての従者だ。あれ? ラムザーは従者じゃない? では口が過ぎるぞっていうのは違わない?
俺はハッとした。
バカバカ、俺のバカ。
これではあのクソ上司と一緒ではないか。
「あっ、タマルが自分にビンタした」
『何か心のなかで葛藤があったんでしょうな。まあまあタマル様。また愚かな真似を繰り返されるでしょうからそんなに自分に厳しくては身が持ちませんぞ』
「なんという言われようだ」
だが、これでひとまず状況は解決。
タマル一味の荷馬車は、流血男爵領の町並みをそっと眺めることにするのである。
「町並みというか瓦礫の山なんだが?」
『かつて人間たちが住んでいた町を流血男爵が襲撃しましてな。人間は全て奴隷かおもちゃにされ、今はブラッディアンと彼らの作った殺戮機械が闊歩しておりますな』
「端的に言って地獄では?」
『ここはヘルズテーブルですぞ? 地獄以外の光景は滅多にございませんからな』
言われてみれば納得である。
ここも灰色と、たまーに流れ出た血の固まった黒い色とか茶色があちこちにある。
あの赤錆びた巨大な鐘や、巨大な壺はなんだ。
『ブラッディアンの殺戮機械ですな』
「ほう、あれが……。高く売れそうだ」
『第一印象が恐怖でなくてそれなのが、タマル様のおかしいところですぞ』
「頼もしくもあるよね、恐怖を知らない魔人侯」
『羅刹侯爵とは別方向で壊れてますな、この方』
ひどい言われようだ。
「これ、ちょっと突っかけたらブラッディアンがいっぱい出てくるかな?」
『うーん。この辺りにいるのが集まってくるとは思いますが、男爵領は広いですしな。そこまで大量に来ないでしょう』
「なるほど、じゃあ問題ないじゃん。行こうぜ」
「気軽に決めたわね! あ、人間が連れられてる」
俺たちの目の前で、ブラッディアンたちが人間に首輪を付け、紐で繋いで連れ回している。
ああ、転んだ奴がいるな。
それを引きずり、蹴ったりして笑っている。
人間に血を流させることが奴らの娯楽なんだろう。
あるいは、殺戮機械というのは人間をおもしろおかしく殺して、ブラッディアンを楽しませる道具なのだろうな。
「だが、これはいかんな。スローじゃない。戦いと流血にしか生き甲斐を感じない種族なのかもしれないが、そいつらは明らかに俺のスローライフと相反する」
『タマル様、キレた!』
「キレてないですよ」
俺は静かに、ふわふわベッドと衣装ケースを収納した。
そして骨次郎に骨のベルをあるだけ持たせる。
「なに、三つ持つのが限界?」
『カタカタ』
「じゃあポタル頼む。これをな。チリンチリーンとあっちで鳴らしてくれれば」
「はいはーい。ハーピー仲間にしてるのに魔曲を使わせないとか珍しいわよねタマルって」
「えっ、なあにそれ」
「私と会った時に、私歌ってたじゃない。あれ。音楽を聞ける種族を引き寄せられるのよ」
「じゃあそれも頼む!」
「はいはーい。タマルのやろうとしてること、めちゃくちゃだけど面白そう!」
笑いながら、ポタルは空を飛んで出ていった。
後を、骨次郎が駆けていく。
『カタカタ!』
「なに、ホネノサンダー、お前に乗れというのか! お尻痛そう」
『カタカタカタ』
「あ、作業台の鎧を下に敷けばいいのね。なーる」
『では、我も一働きしますかな! タマル様、これは流血男爵に戦争を仕掛けることですぞ。後悔はありませんな?』
「元から流血男爵を捕獲して換金するつもりだったんだ。その前哨戦で俺のスローライフ哲学を守りつつブラッディアンを換金するだけだからな。問題ない! 行くぞ!」
『了解ですぞ! タマル様のむちゃくちゃが、どうしてだか楽しくて仕方ありませんな!』
「もっと楽しくしてやる! スローライフは楽しいぞ!!」
タマル一味、ブラッディアンのハント開始だ!
UGWポイント
70pt
友好度
ラムザー ↑
ポタル ↑
『またタマル様が無駄遣いをされていますぞ』
「この人さ、ラムザーがついていてあげないと毎回すかんぴんになって戻ってくるよ? 絶対」
何という言われようだ。
スローライフ的に心躍る話を聞いたら、ありったけのポイントを使ってしまうだけではないか。
だが、こうして親身になって俺を心配してくれる仲間がいるとは。
スローライフとは実にいいものである。
生前、会社にいた頃は成果主義のせいで、上も下も同僚も全て敵だったからな。
「博物館解放まで一日あるそうなので、それまでに流血男爵を捕まえて売ろうと思うんだが」
『タマル様、今自分が何を言っているか分かってますかな?』
「でもなんかできそうだよね? やっちゃう? 私、湖畔の外の世界がこんなに刺激的だなんて知らなかった」
『日々命を取り合う刺激的な世界ではありますがな、タマル様のこれはちょっとおかしいですぞ』
「なんて事を言うのだ」
口が過ぎるぞラムザー。
だが思いやりを感じるのでよし!
俺は生前の企業で、ずっと憎んでいた上司を思い出した。
ああはなるまい。
今の俺は、いわば村長的な立場にある。
あの荷馬車が小さな村である。
二人も住人がおり、骨次郎は俺にとっての従者だ。あれ? ラムザーは従者じゃない? では口が過ぎるぞっていうのは違わない?
俺はハッとした。
バカバカ、俺のバカ。
これではあのクソ上司と一緒ではないか。
「あっ、タマルが自分にビンタした」
『何か心のなかで葛藤があったんでしょうな。まあまあタマル様。また愚かな真似を繰り返されるでしょうからそんなに自分に厳しくては身が持ちませんぞ』
「なんという言われようだ」
だが、これでひとまず状況は解決。
タマル一味の荷馬車は、流血男爵領の町並みをそっと眺めることにするのである。
「町並みというか瓦礫の山なんだが?」
『かつて人間たちが住んでいた町を流血男爵が襲撃しましてな。人間は全て奴隷かおもちゃにされ、今はブラッディアンと彼らの作った殺戮機械が闊歩しておりますな』
「端的に言って地獄では?」
『ここはヘルズテーブルですぞ? 地獄以外の光景は滅多にございませんからな』
言われてみれば納得である。
ここも灰色と、たまーに流れ出た血の固まった黒い色とか茶色があちこちにある。
あの赤錆びた巨大な鐘や、巨大な壺はなんだ。
『ブラッディアンの殺戮機械ですな』
「ほう、あれが……。高く売れそうだ」
『第一印象が恐怖でなくてそれなのが、タマル様のおかしいところですぞ』
「頼もしくもあるよね、恐怖を知らない魔人侯」
『羅刹侯爵とは別方向で壊れてますな、この方』
ひどい言われようだ。
「これ、ちょっと突っかけたらブラッディアンがいっぱい出てくるかな?」
『うーん。この辺りにいるのが集まってくるとは思いますが、男爵領は広いですしな。そこまで大量に来ないでしょう』
「なるほど、じゃあ問題ないじゃん。行こうぜ」
「気軽に決めたわね! あ、人間が連れられてる」
俺たちの目の前で、ブラッディアンたちが人間に首輪を付け、紐で繋いで連れ回している。
ああ、転んだ奴がいるな。
それを引きずり、蹴ったりして笑っている。
人間に血を流させることが奴らの娯楽なんだろう。
あるいは、殺戮機械というのは人間をおもしろおかしく殺して、ブラッディアンを楽しませる道具なのだろうな。
「だが、これはいかんな。スローじゃない。戦いと流血にしか生き甲斐を感じない種族なのかもしれないが、そいつらは明らかに俺のスローライフと相反する」
『タマル様、キレた!』
「キレてないですよ」
俺は静かに、ふわふわベッドと衣装ケースを収納した。
そして骨次郎に骨のベルをあるだけ持たせる。
「なに、三つ持つのが限界?」
『カタカタ』
「じゃあポタル頼む。これをな。チリンチリーンとあっちで鳴らしてくれれば」
「はいはーい。ハーピー仲間にしてるのに魔曲を使わせないとか珍しいわよねタマルって」
「えっ、なあにそれ」
「私と会った時に、私歌ってたじゃない。あれ。音楽を聞ける種族を引き寄せられるのよ」
「じゃあそれも頼む!」
「はいはーい。タマルのやろうとしてること、めちゃくちゃだけど面白そう!」
笑いながら、ポタルは空を飛んで出ていった。
後を、骨次郎が駆けていく。
『カタカタ!』
「なに、ホネノサンダー、お前に乗れというのか! お尻痛そう」
『カタカタカタ』
「あ、作業台の鎧を下に敷けばいいのね。なーる」
『では、我も一働きしますかな! タマル様、これは流血男爵に戦争を仕掛けることですぞ。後悔はありませんな?』
「元から流血男爵を捕獲して換金するつもりだったんだ。その前哨戦で俺のスローライフ哲学を守りつつブラッディアンを換金するだけだからな。問題ない! 行くぞ!」
『了解ですぞ! タマル様のむちゃくちゃが、どうしてだか楽しくて仕方ありませんな!』
「もっと楽しくしてやる! スローライフは楽しいぞ!!」
タマル一味、ブラッディアンのハント開始だ!
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ポタル ↑
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