おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき

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スローライフが攻めてきたぞーっ編

第21話 あそこに見えるのは海! ほう、魔人侯の領地?

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 オオコウモリを売ろうかと思ったのだが、こういう珍しいのは博物館行きであろう。
 館長に寄付すると大変喜ばれた。

『ほう、ブロローンですね! オオコウモリの種別に入りますが、かつては空の迷宮の守護者であったと言われている特殊な怪物です。怪力で、通常の家屋くらいなら持ち上げてしまうそうです』

「空に迷宮なんてあるのかあ」

『ありますよ。ただ、たどり着くためには飛行するための機械が必要ですし、空の魔人侯も存在しますから、それと戦う必要がありますね。頑張ってください』

「なるほど、ワクワクする話だな……。採集できる素材が増えそうだ」

 そして、博物館に展示されたオオコウモリを見る。
 だんだん動物園になってきたな。

 食餌機からニュルニュルと腸詰めされる前みたいなソーセージのもとが出てきて、これをオオコウモリが美味そうに食べている。
 バカでかいが、こうして見ると平和的でちょっと可愛いな。

『また、殺戮機械のような無生物も持ってきていただけると助かります。期待していますね』

「ああ、待っててくれ! 色々捕まえて、博物館の展示品を充実させるからな!」

 こうして戻ってきた俺。
 馬車は結構進んでいて、何やらポタルが大騒ぎしているところだった。

「ほらー! 見て見て! あれ! 水! たっくさんの水! 私が住んでいたところにあった湖よりもずーっとずーっと大きい湖だよ!」

『ははあ。あれは噂に聞く海というものであろうな』

「なんだなんだ」

「あっ、タマル! 見てー! おっきい湖! ……ウミ?」

『海でしょうな。タマル様、海ですぞ。釣り道具を使うことができますな』

「おお、これは嬉しい! 世界がぐんと広がるぞ。そして魚のレシピが手に入るに違いない。だが、妙なものがありますなあ……」

『ありますなあ……』

「あるよねえー」

 海に向かう街道の先に、見たことがあるような巨大なゲートがある。
 門扉は無いんだが、あのゲートをくぐった先はこことは違う世界なのだ。

 つまりは、魔人侯の支配区域。
 俺たちは今まで、流血男爵の領地にいたんだな。
 主である流血男爵がいなくなったので、この辺りの空気はかなり軽いものになっている。

 そして次なるゲートをくぐってみたら……。

『ウグワーッ! 新たな領域に突入しました! 300ptゲット!』

 うひょー、また空気が重くなった。

「魔人侯が邪魔するようなら、魚料理レシピのために捕獲してやらねばならんな」

『ついでのように魔人侯捕獲を語りますな』

「スローライフの方が大事だからな。魚料理はうまいぞー。シチューとはまた違う、こう……さっぱりとしつつも旨味が口の中に残るような味わいだ」

『おほー、今からよだれが出てきますな』

「食べたい食べたい、早く食べたい!」

『カタカター!』

 骨次郎が、こっちを振り返って進路を尋ねてきている。
 どうしたのだと思ったら、道が二つに分かれているではないか。

「片側のルートは……多分、魔人侯の城だろうな。ちょっと丘の方に向かってる。んで、もう片方は海だな」

『どちらに行かれますかな? というのは愚問でしたな』

「海だ!!」

 当然である。
 ホネノサンダーとホネノライジングも、初めての海に興奮気味である。
 この二頭は骨だが割と感情表現が馬っぽい。

 今度、こいつらの骨を磨いてやる道具を作らねばな。

『侵入者! 侵入者!』

『馬車を止めろ! 抵抗せず大人しく殺されろ!』

 物思いに耽っている時に、うるさい魔人たちである。
 灰色の肌をして、全身にトゲの生えた魔人たちが集まってきた。

「タマルー! いっぱい集まってきてるー!」

「ああ。なんかいつもどおり問答無用って感じだな! 魚料理のために、邪魔者にはポイントに換金されてもらおう」

 馬車を走らせながら、前方に立ちふさがる魔人にスパイダーストリングを放つ。

『ぬおーっ、これはなんだーっ!?』

 戸惑っているところを、通りすがりに虫取り網でゲットするのである。
 側面はサイドカーに乗ったラムザーが武器を振り回し、近づかせないようにしている。

 もう片側が無防備だな。
 サイドカーがもう一台と、戦える仲間があと一人欲しい。
 ポタルは戦闘要員じゃないしな!

「タマルー! 音楽流す? サンバ!」

「頼む! 景気よく行こう、海だしな!」

 チャカポコと、大音量の陽気なサンバが流れ出す。
 ギョッとする魔人たち。

 そしてポタルは、幌の後方から紙吹雪マシンを起動して魔人たちをびっくりさせ、前方からはスポットライトを照らして魔人たちをびっくりさせている。
 道具の使い方をマスターしつつある!
 そうだ、これは戦いではない。狩りだ。

 狩りは戦闘能力ではなく、道具をどう扱うかの知恵なのだ!

 陽気な音楽を垂れ流しつつ、紙吹雪と強烈なライトをぶっ放す幌馬車。
 魔人たちには何か恐ろしいものに見えたらしい。

『ひ、退け! 退けーっ!! 逢魔卿にお伝えするのだ! なんだかよく分からないが恐ろしいものがやってきたぞ! きっとあれは、新手の魔人侯だ!』

 逢魔卿!
 すごく厨二っぽい名前だ!
 魔人侯はそういうのばっかりなんだな。

 すると、俺のスローライフ王タマルというのはどうなんだ。
 かっこいいのか?
 スローライフキング……?

『敵がいなくなりましたぞ! タマル様、海です、海! 早く釣ってくだされ!』

「おう、そうだった!!」

 うじうじ悩むのは無駄である。
 まずは釣りだ。
 釣りをせねばならないのだ。

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