おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき

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スローライフよ永遠に!編

第117話 降りてくるのは、スローライフを解さない神

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『来た、来ました!!』

 ファンが馬車に駆け込んできたのだ。

「来たか」

『何が来たんですかな?』

 ラムザーの質問に、ファンが青ざめた顔で答える。

『敵対的な外なる神です! ヘルズテーブル侵略のために降りてきました! ヘルズテーブルを囲んでいた外洋が、突然変化しています!』

 いつもは余裕ぶってるファンが余裕がない。
 珍しい。

「どれどれー? 私が飛んで見に行ってみようか」

「よし、護衛でアーマードポルポルもつけよう」

『ピピー』

 ポタルとポルポルで高く飛び上がり、この間作った双眼鏡を使ってもらった。

「ほえー」

 ポタルの間の抜けた声が聞こえてきたぞ。

「どうしたー」

「海のあったところが、黄色くなってるよ! あれって何かな?」

「黄色く……?」

 俺は浮遊島まで登り、そこに創造神ねんどでプールの監視員用の椅子を作った。
 上に腰掛けて双眼鏡を使う。

 タマル村で一番高さがある建造物は博物館であり、他には山も何もない。
 カルデラ湖の高さもそんなでもないので、ちょっと高度のあるところにいけば隅々まで見渡せるのだ。

「あれは砂漠ではないか」

「さばく!?」

『ピピー!』

「ヘルズテーブル、何気にちょっと北の方っぽい気候だからな。砂漠とは縁がなかろう。暑いところで水が少ないとこは、砂漠というのになるのだ」

「へえー!」

「これは征服しないといかんな」

 俺は決意したのだった。

『オー! エブリデイ、スローライフ以外はアウトオブ眼中なタマルさんがレアなリアクションでーす! ホワイ?』

「うむ、これはな、深い理由がある」

『どうせスローライフできない世界が降りてきたから怒ってるんでしょ』

『おっ、タマル様が愕然とした顔でキャロルを見ましたな』

「あれは心を読んだのか!? って言ってる顔だねー」

 俺が何も発してないうちに、何もかも見透かすのではない!
 全部その通りだが。

「ゴホン。うむ、そうだ……。砂漠は昼は灼熱、夜は極寒、強風が吹き荒れてそれを遮るものはなく、水もなく植物もなく、そんな厳しくて生きていくには楽しくない世界なのだ。征服したい」

『タマル様はその砂漠とやらがかなりお嫌いですな?』

「めちゃくちゃ嫌いだな」

 とある県に旅行に行った際、砂丘の上で転んで転がり落ち、砂だらけになったことがあるのだ。
 俺は砂漠を許さん。

『これ、絶対何かちっちゃい理由で怒りを燃やしてるわよ』

「やめろキャロル、俺の心を読むんじゃない!」

『顔見れば分かるし、付き合いがそこそこ長くなってきたから察せれるでしょー』

「うんうん、だよねー」

 むむっ、ポタルが寛容になっている。
 彼女的には、俺をゲットしたという実感があるようで、心に余裕が生まれているのだそうである。

「とりあえず、情報を集めよう。今日は事務所にハイドラがいるはずだから、インカムで聞いてみる。もしもしー」

『はいはい。今質問があるということは、突然出現した砂漠についてのお話ですね?』

「話が早い!」

『ヌキチータさんが調べてくださってましたから。これは、一つの星を全て砂漠に変えた魔王キナッコーですね』

「魔王? 外なる神ではない?」

『こちらの宇宙では、育ちきった魔王は外なる神に列せられるということです。これは遊星種として幾つもの星を渡った竜も同じだそうですね』

「色々なのがいるんだなあ。しかし名前がキナッコーということは、あの砂漠はきな粉なのではないか」

 とんでもない可能性に気付いてしまった。
 だが、どこのきな粉かは分からんが、せっかく緑地化しつつあるヘルズテーブルに、よりによって砂漠を持ち込む根性が気に食わない。

「それじゃあ、砂漠をスローライフ化するために旅立つので」

『判断が早いですね。ヌキチータさんが嬉しそうに拍手してます』

「なんか腹立つなあ」

『情報は随時お伝えしますね。ああ、それからこちら。ドクトル太郎さんから送られてきたドクトルバラードです』

「おっ、なんか砂漠の夜にマッチしそうな雰囲気のある音楽!」

 こうして今回のBGMを手に入れた俺たちは、砂漠に向かうこととなるのであった。
 場所は、タマル村からさらに北上したところ。

 タマル村がもともと、地球で言えば北欧みたいな土地だったのである。
 そこより北ということはつまり北極ではないか。
 寒い状態であるべきところに、砂漠がある。

 近づくほど暑くなってきた。

「あつーい!」

『枯れる~』

 馬車の中で、ポタルとキャロルが服をぽいぽいっと脱ぎ始めたので、俺は動揺した。

「お前ら、自分が暑いからって俺の男の子を熱くする必要は無いんだぞ!」

『タマル様、露骨に目の前にそういう展開があるとヘタれますな』

『オー! ミーはここで耐熱スーツを脱いだら、ミニマムセコンドでメルトしまーす! HAHAHAHAHA』

「そう言えば、フランクリンは常に死と隣り合わせの環境を耐熱スーツ一つで乗り切ってるんだもんな。すげえ度胸だ」

『アカスタムド! 慣れでーす!』

 常に死地にあることで平常心を鍛えたのか。
 ちょっと武士道っぽいやつだ。

 道は徐々に砂漠になっていく……ということはなく。
 突然緑地が砂漠に切り替わった。

「おっ、周囲の空気も変わった。乾いた暑さだ。こらー! 女子たち! 下着は身につけてなさい!」

「えー。見て喜ぶのタマルだけだからいいじゃん」

『どうしてもと言うなら水や涼める設備を要求するわよ』

「仕方ないなあ……」

 エアコンを作るための道具を探さねばなるまい。
 俺はそんな目的を得つつ、砂漠に踏み込むのだった。

『ウグワーッ! 砂漠世界に侵入しました! 500ptゲット!』


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