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ワンザブロー帝国編
第21話 後始末とはお任せな
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頭上をびゅんびゅんとソード・ヴァルキュリアが飛んでいく。
俺とルミイで、そいつを見上げながら寝転がって飯を食うのだ。
大変行儀が悪い。
「本当に寝転んでると当たりませんねえ」
「ああ。あいつら、飛び回って触れたものを切り裂くんだ。だけど飛んでるから、こうやって相手が堂々と寝転がってると反応できないんだと。それに敵意を感じるらしいから、こういう敵意がない、だらけた感じの俺たちを察知できない」
「普通、こんなとんでもない武器を使う相手を前にして寝転がってダラダラしないですもんねえ」
「だよなあ」
ソード・ヴァルキュリアは、アイナシティの人々を虐殺している。
逃げ惑う者がこの街の人間たちなのだから仕方ない。
それに、彼らはアイナのチャームから永遠に目覚めることは無いそうだ。
ここで全滅すると、アイナを倒した俺たちが恨みを買わずに済む。
うーむ、スローゲイン、超便利だなあ。
「あ、マナビさんこれ美味しい! 甘酸っぱい味がするお菓子ですよ!」
「ほんと? どれどれ……あっ、食べかけ……。こりゃあ間接キスですなあうまいうまい」
「美味しいでしょう」
別の意味で俺が喜んでいるとは思っていないようだ。
なんと純粋な子だろう。
俺の汚れきった様がいっそ清々しいほどだ。
「ウグワーッ!」
「ああ、また誰か斬られた」
「怖い怖い……あ、これも美味しい。ワンザブロー帝国って大っきらいだけど、食べ物は美味しいしお風呂はあるし……。あっ」
「何か気付きましたかルミイさん」
「あのですね! こういうのを全部略奪しちゃえばいいんです! パパは、欲しいものは力で勝ち取るって言ってましたもん!」
「おー、バーバリアンらしい思考! 普段ならアウトだけど、相手があの帝国ならセーフだな。やろうやろう」
そう言うことになった。
で、俺たちが談笑している間も、どんどん死んでいく街の人々。
アイナシティの外では生きていけないメンタリティになっていたからね。仕方ないっちゃー仕方ない。
しばらくゴロゴロしていたら、静かになった。
「死に絶えたかな? ちょっと偵察してくる」
「マナビさんのお尻移動ですね! あっ、あれってソード・ヴァルキュリアが飛び回っているところだと最強の移動方法なんじゃないですか!?」
「そうかな……? そうかも!」
ということで、尻移動をしていく。
まず、この移動の原理について。
歩く時は尻を使う。
なので、尻を歩く時の勢いでちょっと大きく動かすことで……。
ぐりぐりぐりっと進む。
こうして動けるのだ。
「速い!」
「修練の結果だ。まさかこれほど長距離を尻移動することになるとは思わなかったけどな」
頭上を飛び交うソード・ヴァルキュリアを眺めつつ、もりもりと移動するのだ。
動ける限りにおいては、死人しかいない。
スローゲインは本当に殺し尽くしてしまったようだな。
心なしか、仕事を失ったソード・ヴァルキュリアがしょんぼりしているようだ。
俺は平然とこいつらの下を動き回っているが、俺に敵意が無い限り、この空飛ぶ剣は全く反応できない。
ヘルプ機能で調べたから間違いない。
おっと、空飛ぶ剣どもが移動を開始した。
俺はこいつらを尻移動で追いかけてみる。
流石に尻だからな。全然追いつかない。
最高速度で早歩きくらいだし、その速度では一瞬しか動けない。
長時間動くには、ゆっくり歩く程度の速さが限界だ。
あー、行ってしまう。
速いなあ、空飛ぶ剣。
ソード・ヴァルキュリアがほとんど回収された頃合いに、ようやくスローゲインの姿を確認できた。
このきざな男は、ひどく腹を立てているようだった。
なんと今回は単独行動だ。
俺に煽られたのを根に持って、あの後速攻で俺たちの後を追いかけたのだろう。
後始末、ご苦労!
「誰もいないじゃねえか! ふざけんな!! 殺し尽くしたってのにあいつの気配がねえ!! なんなんだ、あいつは……!!」
まさかすぐ横で、俺が仰向けになって眺めているとは思うまい。
いや、普通思わないよな。
「ワンザブロー帝国の切り札ってわけか。こいつは、俺が本気でワンザブローの連中を滅ぼさなきゃならないようだな。そうすれば奴とも会えるだろうよ」
おお、やる気じゃないかスローゲイン!
やれやれ、大いにやってくれ!
その分、俺が楽をできる。
あいつが大暴れした後で、楽になった状況で俺が美味しいところをかっさらう。
これだ。
……ということは、どうにかしてスローゲインをワンザブロー帝国の帝都まで誘導しないといけないだろうな。
今のところ、俺が移動した場所は全てが灰燼に帰すような被害を受けている気がするが、この調子だと帝都も同じ運命をたどりそうだ。
俺たちをひどい目に遭わせた国なので、そうなってしまうのは因果応報と言えよう。
そんな俺の物想うのをよそに、スローゲインは魔導バイクみたいなのにまたがった。
バイクはなんと、車輪が左右に展開して空に舞い上がる。
うおーっ! エアバイクだ!!
そして去っていった。
あれはいいなあ。
かっこいい。
俺たちの魔導カーなど、あれに比べるとリヤカーみたいなもんだ。
だが、リヤカーでのんびり行くというのもいいものだ。
ルミイと合流し、いかにしてスローゲインを帝都へ向かわせるか考えるとしよう。
そして破壊された帝都で、食料とお風呂を手に入れるのだ。
俺とルミイで、そいつを見上げながら寝転がって飯を食うのだ。
大変行儀が悪い。
「本当に寝転んでると当たりませんねえ」
「ああ。あいつら、飛び回って触れたものを切り裂くんだ。だけど飛んでるから、こうやって相手が堂々と寝転がってると反応できないんだと。それに敵意を感じるらしいから、こういう敵意がない、だらけた感じの俺たちを察知できない」
「普通、こんなとんでもない武器を使う相手を前にして寝転がってダラダラしないですもんねえ」
「だよなあ」
ソード・ヴァルキュリアは、アイナシティの人々を虐殺している。
逃げ惑う者がこの街の人間たちなのだから仕方ない。
それに、彼らはアイナのチャームから永遠に目覚めることは無いそうだ。
ここで全滅すると、アイナを倒した俺たちが恨みを買わずに済む。
うーむ、スローゲイン、超便利だなあ。
「あ、マナビさんこれ美味しい! 甘酸っぱい味がするお菓子ですよ!」
「ほんと? どれどれ……あっ、食べかけ……。こりゃあ間接キスですなあうまいうまい」
「美味しいでしょう」
別の意味で俺が喜んでいるとは思っていないようだ。
なんと純粋な子だろう。
俺の汚れきった様がいっそ清々しいほどだ。
「ウグワーッ!」
「ああ、また誰か斬られた」
「怖い怖い……あ、これも美味しい。ワンザブロー帝国って大っきらいだけど、食べ物は美味しいしお風呂はあるし……。あっ」
「何か気付きましたかルミイさん」
「あのですね! こういうのを全部略奪しちゃえばいいんです! パパは、欲しいものは力で勝ち取るって言ってましたもん!」
「おー、バーバリアンらしい思考! 普段ならアウトだけど、相手があの帝国ならセーフだな。やろうやろう」
そう言うことになった。
で、俺たちが談笑している間も、どんどん死んでいく街の人々。
アイナシティの外では生きていけないメンタリティになっていたからね。仕方ないっちゃー仕方ない。
しばらくゴロゴロしていたら、静かになった。
「死に絶えたかな? ちょっと偵察してくる」
「マナビさんのお尻移動ですね! あっ、あれってソード・ヴァルキュリアが飛び回っているところだと最強の移動方法なんじゃないですか!?」
「そうかな……? そうかも!」
ということで、尻移動をしていく。
まず、この移動の原理について。
歩く時は尻を使う。
なので、尻を歩く時の勢いでちょっと大きく動かすことで……。
ぐりぐりぐりっと進む。
こうして動けるのだ。
「速い!」
「修練の結果だ。まさかこれほど長距離を尻移動することになるとは思わなかったけどな」
頭上を飛び交うソード・ヴァルキュリアを眺めつつ、もりもりと移動するのだ。
動ける限りにおいては、死人しかいない。
スローゲインは本当に殺し尽くしてしまったようだな。
心なしか、仕事を失ったソード・ヴァルキュリアがしょんぼりしているようだ。
俺は平然とこいつらの下を動き回っているが、俺に敵意が無い限り、この空飛ぶ剣は全く反応できない。
ヘルプ機能で調べたから間違いない。
おっと、空飛ぶ剣どもが移動を開始した。
俺はこいつらを尻移動で追いかけてみる。
流石に尻だからな。全然追いつかない。
最高速度で早歩きくらいだし、その速度では一瞬しか動けない。
長時間動くには、ゆっくり歩く程度の速さが限界だ。
あー、行ってしまう。
速いなあ、空飛ぶ剣。
ソード・ヴァルキュリアがほとんど回収された頃合いに、ようやくスローゲインの姿を確認できた。
このきざな男は、ひどく腹を立てているようだった。
なんと今回は単独行動だ。
俺に煽られたのを根に持って、あの後速攻で俺たちの後を追いかけたのだろう。
後始末、ご苦労!
「誰もいないじゃねえか! ふざけんな!! 殺し尽くしたってのにあいつの気配がねえ!! なんなんだ、あいつは……!!」
まさかすぐ横で、俺が仰向けになって眺めているとは思うまい。
いや、普通思わないよな。
「ワンザブロー帝国の切り札ってわけか。こいつは、俺が本気でワンザブローの連中を滅ぼさなきゃならないようだな。そうすれば奴とも会えるだろうよ」
おお、やる気じゃないかスローゲイン!
やれやれ、大いにやってくれ!
その分、俺が楽をできる。
あいつが大暴れした後で、楽になった状況で俺が美味しいところをかっさらう。
これだ。
……ということは、どうにかしてスローゲインをワンザブロー帝国の帝都まで誘導しないといけないだろうな。
今のところ、俺が移動した場所は全てが灰燼に帰すような被害を受けている気がするが、この調子だと帝都も同じ運命をたどりそうだ。
俺たちをひどい目に遭わせた国なので、そうなってしまうのは因果応報と言えよう。
そんな俺の物想うのをよそに、スローゲインは魔導バイクみたいなのにまたがった。
バイクはなんと、車輪が左右に展開して空に舞い上がる。
うおーっ! エアバイクだ!!
そして去っていった。
あれはいいなあ。
かっこいい。
俺たちの魔導カーなど、あれに比べるとリヤカーみたいなもんだ。
だが、リヤカーでのんびり行くというのもいいものだ。
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