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ワンザブロー帝国編
第23話 突然の魔法攻撃とは驚きな
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「さっきの話の続きなんですけど」
突然ルミイが発したので、俺はビクッとした。
ヒャッハーするモヒカンが、あれで最後とは思えなかったからだ。
「さっきの話ってなんだっけ」
「ほらほら。マナビさんがヘルプ機能で知識を得られるのはいいけど、覚えてられないっていう話です」
「あーあー」
「あのですね、魔法使いは使い魔というのを連れてるそうです。それで、使い魔にはいろいろなのがいて、偵察してくれるのとか、主人の身代わりに変身するのとか、護衛をしてくれるのとかいるらしくて。中には凄く記憶力がいいのもいるそうですよ」
「そうなのか! じゃあ、使い魔を手に入れないとな。ヘルプ機能。俺にピッタリの使い魔」
『ワンザブローデビルと呼ばれる獣です。地球で最も近い生き物はウォンバットです』
「あれかあ」
とりあえず、旅の仲間として使い魔を得る事を目標にしよう。
記憶力のいいウォンバットが、ヘルプ機能で得た知識を覚えてくれる。
これだけで随分便利になるだろう。
それに、ペットがいると癒やしにもなる。
この世界、敵しかいないしな。
ヒャッハーも、あれが最後のヒャッハーとは思えない。
独立愚連隊と言っていたから、ワンザブロー帝国所属の軍隊が、上層部のチェックが機能していないのをいいことに好き勝手しているのだろう。
ということは、またやって来るに違いない。
爆裂火球はあと一発。
独立愚連隊が来たら……あいつらの魔道具を接収できるな。助かる!
「早く来い来い、独立愚連隊」
「マナビさん、凄く物騒な事言ってますね!?」
「物資は幾らあっても困らないからな。それに、あのモヒカンたちがワンザブロー帝国の正式な部隊だとすると、レジスタンスが持ってた装備よりも良質なのが手に入るぞ! それに食料だって各地から略奪してそうじゃない?」
「あっ、食生活が豊かに……。確かにわたし、マナビさんと出会ってからご飯がいつも美味しいです」
「だろう」
俺は世界一美食が集まる国、日本から来た男だぞ……!
美味しいものにはうるさいのだ。
廃墟と化したハイウェイを超えると、瓦礫に覆われた都市が見えた。
魔力の供給が極端に減少したことで、構造を維持できなくなった建物がみんな壊れてしまったのだな。
何かあるかなーと寄ってみたら、瓦礫の側から魔法がびゅんびゅん飛んできた。
うわー、怖い怖い。
俺たちを独立愚連隊の仲間か何かだと思っている。
それにどうやら、魔法帝国の住人たちは、魔法使い以外の存在を見下しているようなのだ。
モヒカンがルミイを下等な種族呼ばわりしていた。
俺を召喚した帝国上層部も、明らかに俺の魔力が無いことで存在価値がないみたいに言ってたし。
魔法なんて道具ではないか。
道具が使えたから偉いということはない。
道具を上手く使えるから偉いのだ!!
「魔法で攻撃してきたんですけど! あれはひどくないですか!」
ルミイがプンプンだ。
「今度こそこっちでお風呂に入れると思ったのに」
「そうか! そうだな!!」
俺は鼻息を荒くして同意した。
滅びの塔で温かいお湯のお風呂を経験してから、ルミイのお風呂欲は高まるばかりなのだ。
叶えたい、この願い。
「瓦礫の都市の住人はこっちを警戒してる。守りもバッチリ固めて、入れてくれないだろう」
「そ、そんなあ! じゃあどうしたらいいんですか!」
「守りをバッチリ固めてもどうしようもない状況にしてしまえば、潜り込める! 独立愚連隊を連れてくるぞ!!」
「ええーっ!?」
そういうことになった。
ターンして、ハイウェイまで戻る。
すると、向こうから砂煙が近づいてくるではないか。
あれは何か。
無駄に横一列に並んだ、ワンザブロー帝国独立愚連隊である。
「いた! いたぞー!! あれが斥候隊を燃やした魔導カーだ!!」
「くっそー! 許せねえ! 俺たちの仲間をー!!」
何か叫んでいるな。
リーダーっぽいのが、天井に玉座のついたやたら車高の高いダンプカーみたいなのに乗っており、俺たちを指さした。
「独立愚連隊を邪魔する者には死、あるのみ! やれえーっ!!」
「ヒャッハー!!」
ブオンブオン、と音を立てて迫ってくる、トゲ付き魔導カーの大群。
魔法文字が刻まれた旗が何本も立っているし、長い釣り竿みたいなのの先に、魔法生物みたいなのがくくりつけられて炎を吐き散らしたりしている。
実に禍々しい光景だ。
こりゃあいい!
俺はサイドカーの上に立ち上がり、奴らに向かって尻を向けた。
そして股の間から奴らを覗き込み、ダブルピースである。
「ムキーッ!!!」
愚連隊、キレた!
すごい速度で追ってくる。
「あひー!!」
ルミイが悲鳴をあげながら、魔導カーを反転、加速させた。
向かうは瓦礫に覆われた都市。
都市側も、いきなり愚連隊が総攻撃を仕掛けてきたようなものなので、大慌てだ。
凄まじい量の魔法が飛んできた。
「チュートリアル!」
俺は叫ぶ。
「チュートリアル終了! ルミイ、こっちだ!」
素早くルミイを抱きしめて、魔導カーから飛び降りた。
そして俺たちが地面に激突する瞬間、魔導カーにエネルギー弾の魔法が直撃し、爆発を起こした。
爆風がふわっと俺たちを舞い上がらせる。
足を伸ばせば……。
ストンと地面に着地だ。
「えっ、えっ!? またチュートリアルしたんですか!」
「ああ。お陰でこうなることは読めてた! では横に逃げよう! 俺のペースに合わせてね」
こうして、二人でスキップを踏むような感じで真横に移動していくのだ。
独立愚連隊は俺たちを追いたくても、都市からの攻撃が邪魔で自由に動けない。
都市は俺たちが怪しい動きをしていても、愚連隊の大群を無視することなどできない。
必然的に、俺とルミイはフリーになるのだ。
撃ち合いをしているところから少し外れた場所まで移動して、俺は遠くの争いを眺めた。
「いやあ、戦いは怖いね」
「マナビさんが怖いですねー」
「ハハハ。全てはルミイをお風呂に入れるためだぞ」
「そうだったんですか!? ええーっ! マナビさん大好きかも!」
むぎゅーっと彼女から抱きしめられながら、俺たちは瓦礫の都市へ進んでいくのだった。
突然ルミイが発したので、俺はビクッとした。
ヒャッハーするモヒカンが、あれで最後とは思えなかったからだ。
「さっきの話ってなんだっけ」
「ほらほら。マナビさんがヘルプ機能で知識を得られるのはいいけど、覚えてられないっていう話です」
「あーあー」
「あのですね、魔法使いは使い魔というのを連れてるそうです。それで、使い魔にはいろいろなのがいて、偵察してくれるのとか、主人の身代わりに変身するのとか、護衛をしてくれるのとかいるらしくて。中には凄く記憶力がいいのもいるそうですよ」
「そうなのか! じゃあ、使い魔を手に入れないとな。ヘルプ機能。俺にピッタリの使い魔」
『ワンザブローデビルと呼ばれる獣です。地球で最も近い生き物はウォンバットです』
「あれかあ」
とりあえず、旅の仲間として使い魔を得る事を目標にしよう。
記憶力のいいウォンバットが、ヘルプ機能で得た知識を覚えてくれる。
これだけで随分便利になるだろう。
それに、ペットがいると癒やしにもなる。
この世界、敵しかいないしな。
ヒャッハーも、あれが最後のヒャッハーとは思えない。
独立愚連隊と言っていたから、ワンザブロー帝国所属の軍隊が、上層部のチェックが機能していないのをいいことに好き勝手しているのだろう。
ということは、またやって来るに違いない。
爆裂火球はあと一発。
独立愚連隊が来たら……あいつらの魔道具を接収できるな。助かる!
「早く来い来い、独立愚連隊」
「マナビさん、凄く物騒な事言ってますね!?」
「物資は幾らあっても困らないからな。それに、あのモヒカンたちがワンザブロー帝国の正式な部隊だとすると、レジスタンスが持ってた装備よりも良質なのが手に入るぞ! それに食料だって各地から略奪してそうじゃない?」
「あっ、食生活が豊かに……。確かにわたし、マナビさんと出会ってからご飯がいつも美味しいです」
「だろう」
俺は世界一美食が集まる国、日本から来た男だぞ……!
美味しいものにはうるさいのだ。
廃墟と化したハイウェイを超えると、瓦礫に覆われた都市が見えた。
魔力の供給が極端に減少したことで、構造を維持できなくなった建物がみんな壊れてしまったのだな。
何かあるかなーと寄ってみたら、瓦礫の側から魔法がびゅんびゅん飛んできた。
うわー、怖い怖い。
俺たちを独立愚連隊の仲間か何かだと思っている。
それにどうやら、魔法帝国の住人たちは、魔法使い以外の存在を見下しているようなのだ。
モヒカンがルミイを下等な種族呼ばわりしていた。
俺を召喚した帝国上層部も、明らかに俺の魔力が無いことで存在価値がないみたいに言ってたし。
魔法なんて道具ではないか。
道具が使えたから偉いということはない。
道具を上手く使えるから偉いのだ!!
「魔法で攻撃してきたんですけど! あれはひどくないですか!」
ルミイがプンプンだ。
「今度こそこっちでお風呂に入れると思ったのに」
「そうか! そうだな!!」
俺は鼻息を荒くして同意した。
滅びの塔で温かいお湯のお風呂を経験してから、ルミイのお風呂欲は高まるばかりなのだ。
叶えたい、この願い。
「瓦礫の都市の住人はこっちを警戒してる。守りもバッチリ固めて、入れてくれないだろう」
「そ、そんなあ! じゃあどうしたらいいんですか!」
「守りをバッチリ固めてもどうしようもない状況にしてしまえば、潜り込める! 独立愚連隊を連れてくるぞ!!」
「ええーっ!?」
そういうことになった。
ターンして、ハイウェイまで戻る。
すると、向こうから砂煙が近づいてくるではないか。
あれは何か。
無駄に横一列に並んだ、ワンザブロー帝国独立愚連隊である。
「いた! いたぞー!! あれが斥候隊を燃やした魔導カーだ!!」
「くっそー! 許せねえ! 俺たちの仲間をー!!」
何か叫んでいるな。
リーダーっぽいのが、天井に玉座のついたやたら車高の高いダンプカーみたいなのに乗っており、俺たちを指さした。
「独立愚連隊を邪魔する者には死、あるのみ! やれえーっ!!」
「ヒャッハー!!」
ブオンブオン、と音を立てて迫ってくる、トゲ付き魔導カーの大群。
魔法文字が刻まれた旗が何本も立っているし、長い釣り竿みたいなのの先に、魔法生物みたいなのがくくりつけられて炎を吐き散らしたりしている。
実に禍々しい光景だ。
こりゃあいい!
俺はサイドカーの上に立ち上がり、奴らに向かって尻を向けた。
そして股の間から奴らを覗き込み、ダブルピースである。
「ムキーッ!!!」
愚連隊、キレた!
すごい速度で追ってくる。
「あひー!!」
ルミイが悲鳴をあげながら、魔導カーを反転、加速させた。
向かうは瓦礫に覆われた都市。
都市側も、いきなり愚連隊が総攻撃を仕掛けてきたようなものなので、大慌てだ。
凄まじい量の魔法が飛んできた。
「チュートリアル!」
俺は叫ぶ。
「チュートリアル終了! ルミイ、こっちだ!」
素早くルミイを抱きしめて、魔導カーから飛び降りた。
そして俺たちが地面に激突する瞬間、魔導カーにエネルギー弾の魔法が直撃し、爆発を起こした。
爆風がふわっと俺たちを舞い上がらせる。
足を伸ばせば……。
ストンと地面に着地だ。
「えっ、えっ!? またチュートリアルしたんですか!」
「ああ。お陰でこうなることは読めてた! では横に逃げよう! 俺のペースに合わせてね」
こうして、二人でスキップを踏むような感じで真横に移動していくのだ。
独立愚連隊は俺たちを追いたくても、都市からの攻撃が邪魔で自由に動けない。
都市は俺たちが怪しい動きをしていても、愚連隊の大群を無視することなどできない。
必然的に、俺とルミイはフリーになるのだ。
撃ち合いをしているところから少し外れた場所まで移動して、俺は遠くの争いを眺めた。
「いやあ、戦いは怖いね」
「マナビさんが怖いですねー」
「ハハハ。全てはルミイをお風呂に入れるためだぞ」
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