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スリッピー帝国編
第37話 ミリタリバトルは乗っ取りから
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カオルンに向けて、チュートリアル世界の説明を軽く行う。
「現実で起きる事がな、こっちでもやれるんだ。ここで試して、ちゃんと準備してから現実に挑むんだな」
「はー、意外と堅実なことをやってるのだなー。……でも明らかに危ないことを平気な顔してやってなかったのだ?」
「そりゃあもう、十分に試したら後は腹をくくるだけじゃないか。実に分かりやすい」
「マナビは度胸が据わりすぎてるのだなー! おかしいのだ!」
「分かってもらえましたか!」
「なんとなくルミイが今まで苦労してきたことが分かったのだ……」
あっ、女子たちが分かり合ってしまっている!!
俺には分からん。
何を分かり合っているというのだ。
だが、我々は真に分かり合うことはできないのだ。
その辺の話は横に置いといて、チュートリアルを行って行こうではないか。
何度か魔導カーを走らせてみて、魔導アーミーの攻撃の法則性みたいなのを掴む。
一見して現代地球の軍隊みたいだが、攻撃が魔法なのだ。
放物線状に射撃魔法が放たれてくる。
射撃魔法というのは本来必中なので、これはカオルンがボンネットに立って光の剣を振って切り落とす。
「光の翼も使えるのだ。ちょっと疲れるから短時間だけなのだなー」
「どんくら使えるの?」
「一度の戦いで三分が限界なのだ!」
「おっ、それだけ使えれば十分だ! 必要なところでお願いするわ。ルミイ、まずあそこの戦車に近づいてくれ。でかいし、盾にしたら他の連中が攻撃できなくなる」
「あひー! こ、攻撃魔法を撃ってる側に向かって突撃!? 死んでしまいますー!!」
悲鳴をあげながらも、ちゃんとアクセルを踏み込んでくれるルミイなのだ。
信頼できる。
さて、こっちに放たれてくる攻撃を分析してみよう。
射撃魔法は赤い色がついていて、小さい。
それを教えると、カオルンはこれらを的確に防げるようになった。
「わはー! やりやすいのだ!」
「現実だと色がついてないから、ここに来るって覚えといて」
「かなり練習しないといけないやつなのだな、これ! 思ったより地道なのだー」
そう、チュートリアルは地道なのだ。
魔導戦車や魔導ヘリから放たれる範囲魔法は、狙いが甘い。
そもそも、俺たちがどんどん近づいてくるので狙いをつけづらいのだ。
ヘリに至っては、仲間を巻き込む可能性が出てくる。
ということで、上手いこと範囲魔法の放たれるところを回避しつつ、肉薄するところまで成功した。
こうなると射撃魔法も襲ってこなくなる。
魔法、近すぎると使いづらくなるのな。
「ここからどうするのだ?」
「戦車の横っ面を切り裂いて扉を作って」
「乗り込むのだ!? マナビはいかれてるのだなー」
カオルンはしみじみ呟きながら、戦車の側面を光の剣で切り刻んだ。
人一人が入れるくらいの穴が空き、すぐ脇に立っていたらしい魔導兵がバラバラになって転がっている。
俺はそこをひょいっとくぐった。
魔導戦車の乗員たちが、「ウグワーッ!?」と驚愕の悲鳴をあげる。
これを、席についているうちに次々ゲイルハンマーで殴り倒すのだ。
乗員は全部で五名。
うち一名はカオルンがアレしているので、残り四名を殴って昏倒させる。
まあ死んでるかもしれないが、確認の手間が惜しい。
すると、魔導戦車内の二箇所が点滅した。
「範囲魔法砲弾の装填口と、砲手か。カオルン、射撃得意?」
「カオルンは接近戦専門なのだ!」
「よし、じゃあ装填して! やり方は目の前に表示されるから!」
「わ、分かったのだ! 大変な仕事なのだー!!」
乗り込んできたカオルン、口ぶりとは裏腹にちょっと楽しそうだ。
説明の表示に従い、砲弾を次々装填する。
俺は砲塔の扱い方説明をざっと読み、すぐに実行した。
砲塔を回転させながら、周囲に連続して範囲魔法砲弾をぶちこんだのである。
一発ごとに衝撃はある。
だが、それは近くにいた他の戦車や兵士にぶち当たって相殺すればいい。
ぐるぐる回りながら散々弾をぶっ放したら、チュートリアルモード画面が赤く点滅した。
アラートかな?
『上空からの攻撃が来ます。戦車を乗り捨てて回避しましょう』
「魔導ヘリが動き出したか。よしカオルン、撤収!」
「分かったのだ!」
穴から飛び出し、魔導カーに戻る。
「あひー!!」
ルミイの悲鳴とともに魔導カーが駆け出し、その背後で爆撃された魔導戦車が、大爆発を引き起こした。
搭載していた範囲魔法砲弾がまとめて誘爆したらしく、爆風がこちらまで届く。
おっ、こりゃあいいぞ。
俺の意図をチュートリアルモードも感じ取ったようだ。
上方向への矢印が表示される。
『タイミングよくゲイルハンマーを使用!』
「オーケー! ゴー!!」
爆風に乗りながら、ゲイルハンマーでさらに風を起こした。
俺の体が空に向けてぶっ飛ぶ。
ちょうど目の前に、魔導ヘリ。
乗組員の魔導兵が、信じられないものを見るような目をこちらに向けている。
俺はスピンしながら、ゲイルハンマーで風を起こす。
その反動でハンマー本体をヘリのフロントに叩きつけた。
砕けるフロント!
ハンマーで殴られて後方にぶっ飛ぶ操縦手!
俺は素早くヘリに乗り込み、表示を確認した。
「おっ、運転はゲームチックにレバーでやるんだな。右トリガーで射撃魔法、左トリガーで範囲魔法、両トリガーで範囲魔法爆撃か。オーケー! 発射発射!」
俺の乗り込んだヘリが、魔導アーミーを頭上から攻撃していく。
爆撃、爆撃、歩兵には射撃魔法掃射。
『指揮車両が当機の撃破命令を出しました』
「おっと、脱出か。ん? 指揮車両? ……その上にこのヘリ落とせない?」
俺の意図を、またまたチュートリアルモードが汲んだ。
『一定ダメージを受ける前までに、指定の場所に移動しよう!』
「オーケー! 行くぜ!!」
ヘリがぶいーんと移動する。
移動しながら、アーミーにあらん限りの範囲魔法をぶっ放すのは忘れない。
指定場所に到着すると、既に周りは他の魔導ヘリで包囲されている。
射撃魔法がヘリを貫き、俺はその隙間を縫って地面へと飛び降りる。
「カオルン、光の翼!」
「このタイミングなのだなー!!」
地上から、カオルンが背中に大きな輝く羽を生やして飛んできた。
俺をキャッチする。
俺たちの眼の前で、炎上したヘリが回転しながら落下を始めた。
その先には、魔法装置みたいなのを全身に装備した軽装甲の魔導戦車みたいなのがいる。
あれが指揮車両か。
そいつは外に響くスピーカーでわあわあ叫んでいたが、ヘリと激突すると静かになった。
その直後に大爆発。
あわれ、指揮車両は木端微塵である。
カオルンに連れられ、俺は魔導カーの助手席へ。
……なんか、俺がカオルンにお姫様抱っこされてる姿勢になったんだが?
「マナビさん! そろそろ逃げましょう!! わたしもう限界なんですけど!」
「よし、そうしようそうしよう。でも、あと二セットくらいこのチュートリアルやろうな」
「あひー!!」
ルミイが悲鳴をあげるのだった。
「現実で起きる事がな、こっちでもやれるんだ。ここで試して、ちゃんと準備してから現実に挑むんだな」
「はー、意外と堅実なことをやってるのだなー。……でも明らかに危ないことを平気な顔してやってなかったのだ?」
「そりゃあもう、十分に試したら後は腹をくくるだけじゃないか。実に分かりやすい」
「マナビは度胸が据わりすぎてるのだなー! おかしいのだ!」
「分かってもらえましたか!」
「なんとなくルミイが今まで苦労してきたことが分かったのだ……」
あっ、女子たちが分かり合ってしまっている!!
俺には分からん。
何を分かり合っているというのだ。
だが、我々は真に分かり合うことはできないのだ。
その辺の話は横に置いといて、チュートリアルを行って行こうではないか。
何度か魔導カーを走らせてみて、魔導アーミーの攻撃の法則性みたいなのを掴む。
一見して現代地球の軍隊みたいだが、攻撃が魔法なのだ。
放物線状に射撃魔法が放たれてくる。
射撃魔法というのは本来必中なので、これはカオルンがボンネットに立って光の剣を振って切り落とす。
「光の翼も使えるのだ。ちょっと疲れるから短時間だけなのだなー」
「どんくら使えるの?」
「一度の戦いで三分が限界なのだ!」
「おっ、それだけ使えれば十分だ! 必要なところでお願いするわ。ルミイ、まずあそこの戦車に近づいてくれ。でかいし、盾にしたら他の連中が攻撃できなくなる」
「あひー! こ、攻撃魔法を撃ってる側に向かって突撃!? 死んでしまいますー!!」
悲鳴をあげながらも、ちゃんとアクセルを踏み込んでくれるルミイなのだ。
信頼できる。
さて、こっちに放たれてくる攻撃を分析してみよう。
射撃魔法は赤い色がついていて、小さい。
それを教えると、カオルンはこれらを的確に防げるようになった。
「わはー! やりやすいのだ!」
「現実だと色がついてないから、ここに来るって覚えといて」
「かなり練習しないといけないやつなのだな、これ! 思ったより地道なのだー」
そう、チュートリアルは地道なのだ。
魔導戦車や魔導ヘリから放たれる範囲魔法は、狙いが甘い。
そもそも、俺たちがどんどん近づいてくるので狙いをつけづらいのだ。
ヘリに至っては、仲間を巻き込む可能性が出てくる。
ということで、上手いこと範囲魔法の放たれるところを回避しつつ、肉薄するところまで成功した。
こうなると射撃魔法も襲ってこなくなる。
魔法、近すぎると使いづらくなるのな。
「ここからどうするのだ?」
「戦車の横っ面を切り裂いて扉を作って」
「乗り込むのだ!? マナビはいかれてるのだなー」
カオルンはしみじみ呟きながら、戦車の側面を光の剣で切り刻んだ。
人一人が入れるくらいの穴が空き、すぐ脇に立っていたらしい魔導兵がバラバラになって転がっている。
俺はそこをひょいっとくぐった。
魔導戦車の乗員たちが、「ウグワーッ!?」と驚愕の悲鳴をあげる。
これを、席についているうちに次々ゲイルハンマーで殴り倒すのだ。
乗員は全部で五名。
うち一名はカオルンがアレしているので、残り四名を殴って昏倒させる。
まあ死んでるかもしれないが、確認の手間が惜しい。
すると、魔導戦車内の二箇所が点滅した。
「範囲魔法砲弾の装填口と、砲手か。カオルン、射撃得意?」
「カオルンは接近戦専門なのだ!」
「よし、じゃあ装填して! やり方は目の前に表示されるから!」
「わ、分かったのだ! 大変な仕事なのだー!!」
乗り込んできたカオルン、口ぶりとは裏腹にちょっと楽しそうだ。
説明の表示に従い、砲弾を次々装填する。
俺は砲塔の扱い方説明をざっと読み、すぐに実行した。
砲塔を回転させながら、周囲に連続して範囲魔法砲弾をぶちこんだのである。
一発ごとに衝撃はある。
だが、それは近くにいた他の戦車や兵士にぶち当たって相殺すればいい。
ぐるぐる回りながら散々弾をぶっ放したら、チュートリアルモード画面が赤く点滅した。
アラートかな?
『上空からの攻撃が来ます。戦車を乗り捨てて回避しましょう』
「魔導ヘリが動き出したか。よしカオルン、撤収!」
「分かったのだ!」
穴から飛び出し、魔導カーに戻る。
「あひー!!」
ルミイの悲鳴とともに魔導カーが駆け出し、その背後で爆撃された魔導戦車が、大爆発を引き起こした。
搭載していた範囲魔法砲弾がまとめて誘爆したらしく、爆風がこちらまで届く。
おっ、こりゃあいいぞ。
俺の意図をチュートリアルモードも感じ取ったようだ。
上方向への矢印が表示される。
『タイミングよくゲイルハンマーを使用!』
「オーケー! ゴー!!」
爆風に乗りながら、ゲイルハンマーでさらに風を起こした。
俺の体が空に向けてぶっ飛ぶ。
ちょうど目の前に、魔導ヘリ。
乗組員の魔導兵が、信じられないものを見るような目をこちらに向けている。
俺はスピンしながら、ゲイルハンマーで風を起こす。
その反動でハンマー本体をヘリのフロントに叩きつけた。
砕けるフロント!
ハンマーで殴られて後方にぶっ飛ぶ操縦手!
俺は素早くヘリに乗り込み、表示を確認した。
「おっ、運転はゲームチックにレバーでやるんだな。右トリガーで射撃魔法、左トリガーで範囲魔法、両トリガーで範囲魔法爆撃か。オーケー! 発射発射!」
俺の乗り込んだヘリが、魔導アーミーを頭上から攻撃していく。
爆撃、爆撃、歩兵には射撃魔法掃射。
『指揮車両が当機の撃破命令を出しました』
「おっと、脱出か。ん? 指揮車両? ……その上にこのヘリ落とせない?」
俺の意図を、またまたチュートリアルモードが汲んだ。
『一定ダメージを受ける前までに、指定の場所に移動しよう!』
「オーケー! 行くぜ!!」
ヘリがぶいーんと移動する。
移動しながら、アーミーにあらん限りの範囲魔法をぶっ放すのは忘れない。
指定場所に到着すると、既に周りは他の魔導ヘリで包囲されている。
射撃魔法がヘリを貫き、俺はその隙間を縫って地面へと飛び降りる。
「カオルン、光の翼!」
「このタイミングなのだなー!!」
地上から、カオルンが背中に大きな輝く羽を生やして飛んできた。
俺をキャッチする。
俺たちの眼の前で、炎上したヘリが回転しながら落下を始めた。
その先には、魔法装置みたいなのを全身に装備した軽装甲の魔導戦車みたいなのがいる。
あれが指揮車両か。
そいつは外に響くスピーカーでわあわあ叫んでいたが、ヘリと激突すると静かになった。
その直後に大爆発。
あわれ、指揮車両は木端微塵である。
カオルンに連れられ、俺は魔導カーの助手席へ。
……なんか、俺がカオルンにお姫様抱っこされてる姿勢になったんだが?
「マナビさん! そろそろ逃げましょう!! わたしもう限界なんですけど!」
「よし、そうしようそうしよう。でも、あと二セットくらいこのチュートリアルやろうな」
「あひー!!」
ルミイが悲鳴をあげるのだった。
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