召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき

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セブンセンス法国編

第108話 昆布茶・協力・侵入チュートリアル

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 ルサルカ神殿の奥の部屋で話し合いをしていたら、なんか光るお茶みたいなのを持ってくる信者がいる。

「これはなに?」

「あの、ルサルカ様からの差し入れです」

「神が差し入れするの?」

「は、はい。神茶と言って、高位の司祭が生まれる時にしか出ないものだったのですが、今回は直々に礼拝堂でお告げがありまして、奇跡がそこで起こって」

『ルサルカも俺様たちの助けを求めていると見えるな』

 ニヤリと笑うオクタゴン。
 こんなイキイキしてるのは、浜辺で水着でキャッキャしてた時以来では無いのか。

「うおっ、塩辛い茶だな!」

 お茶を飲んだガガンが驚く。
 俺も口にして、なるほどと頷いた。

「昆布茶だなこれ。なるほど海の神様だ。そして体がなんか軽くなった気がする」

「えっとですね! 体内に魔力を循環させてる感じがありますね。本当に元気になるお茶なんですねえ」

 ルミイは感心しながら「でも美味しいですー! おかわり!」と何杯か飲んでいた。
 これはカオルンも気に入ったようで、ごくごくやっている。

「マスター、これ、神気を注ぎ込んだ海藻茶ですよ。本物です。あ。神気というのは神が発する魔力です。信者にアンテナが設置されていまして、そこにだけ本来届くものです。精霊の魔力と似たようなものですね。これは魔力の星も同じで、魔法使いの才能を持つものだけが魔力の星から供給される、ある種の魔力を無限に使うことができたわけです」

 アカネルが色々説明してくれるのだ。
 俺は、ほうほうと頷いてその話を聞いていた。

 その間に、オクタゴンがドミニクとナルカ相手に交渉内容をまとめたようだ。

『話は終わったぞ。この中で最も目立たない姿をしている者、マナビとアカネル。二人で街に侵入し、偵察をしてこい。俺様が攻め込むと、向こうの神々も顕現せざるを得なくなる。その前に地の利を得ておきたい。具体的には、俺様の簡易神殿をあちこちに設置して、神々の支配領域を奪う』

「ストラテジーゲームみたいになってきたな」

『ボードゲームみたいなもんだ。俺様もペンダントからそっちに介入するぞ』

 そういうことになった。

「それで、あたいが案内するからね。一応この姿は目立つから、変装していくけど」

「おっ! よろしくなナルカ。俺はマナビ。今後色々とよろしく頼む」

「あ、ああ。なんか、あたいの顔とか胸とかお腹周りとかお尻とか舐めるように見られてる気がするんだけど」

「マスター、気が多いのはどうかと思います! 数を絞りましょう!」

 アカネルに背中をペチペチされた。
 ボディタッチは可愛いが、言われてみればその通りである。

「じゃ、じゃあラストということでお願いします」

「はい。アカシックレコードに報告しておきますからね」

「そんな機能が……!!」

 俺とアカネルのやり取りに、ナルカは首を傾げるのだった。
 仲間の女子たちには無い、新しい魅力を持った彼女。
 うーん、お風呂したい(隠語)。

「今わたし、危機感を覚えましたよ! わたしも行きます!!」

「い、いやあなたは目立つからダメです!」

 今にも飛び出しそうなルミイを、ドミニク司祭が必死に抑えた。
 ファインプレーだぞ。
 俺もこう、色々必死に我慢するので待っていて欲しい……!!

 自分の顔をぴしゃっと叩いて気合を入れる。
 セブンセンスで朋友たちの嫁探し。
 その後、世界をどうにか安定させて、安心してルミイとイチャコラできる世界にしてから彼女の待つベッドにダイブ!!

 これを果たすために戦わねばならん。
 今の状況では、いつ邪魔が入るか分からない。

 俺は雰囲気を重んじるタイプなのだ。

 ということで、ナルカに案内され、アカネルとともに街に侵入することになったのだった。

「あたいはルサルカの寵愛を受けた、死の女神の聖女なんだ。だけど、背丈以外はそんなに目立たなくてね」

 聖女というのは、光を放ったり神々しい美貌を持ってたりするらしい。
 身なりや身のこなしも洗練されており、色々なシーンで素性がバレてしまう危険がある。

 だが、ナルカはざっくばらんなタイプで、顔はいいが神々しくはない。
 光も出ない。

「左目が祝福を受けてるから、こいつで見ると相手が死に近づく線が見えるんだ。それをなぞって攻撃すれば大抵のやつは死ぬね」

「死が見える系の魔眼じゃん。かっけー」

「戦える個性羨ましいですねえ……」

 うちの女子たちで唯一戦闘力ゼロのアカネルである。
 気に病むことはないぞ。

 それで、ナルカは傷病兵の変装をすることにしたようだ。
 魔眼は包帯で隠し、松葉杖を突いて歩く。
 背筋を曲げていると、なるほど、別人のような雰囲気になる。

「あんたらは……どこからどう見ても一般人だねえ」

「うむ。俺は全く特別ではない外見だからな」

「当機能もです」

「よし、じゃあ、あんたらは夫婦ということにしよう」

「夫婦ですか!!」

 アカネルの声がちょっと高くなった!

「興奮してらっしゃる?」

「いいえいいえ!」

 アカネル、顔をぶんぶん横に振った。

「抜け駆けしてマスターと宿で一晩過ごして特別な関係になんて考えていません」

「語るに落ちた!!」

 これはいかん。
 アカネルからも身を守らねばならぬ。

 俺はルミイに対して操を立てる決意をしたのである。
 なお、お風呂まではその範疇ではない。
 俺ルールである。

「さて、まずは街に侵入せねばならんわけだな」

 俺たちの前には、セブンセンスの、多分王都みたいな街が広がっている。
 もちろん、高い塀に覆われていて容易には入り込めそうにない。

 入り口は限られており、そこには門が設けられていた。

「あたいの策では、アンデッドに協力してもらって騒ぎを起こして、その隙に入り込む予定だよ」

「それじゃあ貴重なアンデッドが減ってしまうだろう。あれ、俺が知ってる無限に呼び出せるやつじゃなく、一体一体が信者からの許諾をもらって使わせてもらってる死体でしょ? 資源じゃん」

「お、お前……!!」

 ナルカの目がキラキラした。
 なんだなんだ。

「マスター、今の発言はいけません。明らかにナルカの琴線に触れました。ピピー! イエローカードです!」

「アカネルは心配性だなあ……。まあいいか。ナルカ、ここは俺に任せろ。アンデッドを犠牲にしなくてもなんとかしてやる」

「ああ。アンデッドの手を借りなくて済むなら、それに越したことはないよ。でも、どうやるんだい?」

「こうやるんだ。チュートリアル開始」

 一瞬で、世界が塗り替わった。

「なんだかここに来るの、久々ですね……」

「アカネルは戦わないタイプだから、あまりチュートリアルしないもんな」

 直接戦闘以外のチュートリアルも久々という気がする。
 水着の絵を描いた時以来か。

「わわわわわ!? な、な、なんだいここは!? あたい、どうなっちまったんだい!?」

 あれっ、なんか、ナルカがチュートリアル世界にいるんだが?

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