召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき

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セブンセンス法国編

第109話 神力・壁・出るとこ出てる

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「これはつまり、ナルカさんはマスターとの相性がとてもいいということでしょうね。当機能を含め、マスターとともにここを訪れられたのは三人しかいません。つまりナルカさんが四人目で、当機能はこれ以上の増殖を望みませんので最後の一人です」

「い……一体何を言ってるんだい!? というか、風景がまるで子供の落書きみたいな線になっちまって、あたいの頭がおかしくなったのかい……!?」

「つまりだな、ナルカ。一緒に行動すれば分かる。ついてこい」

 俺は歩き出した。
 ナルカも、おっかなびっくりついてくる。

 なりは大きいのだが、実はルミイと近い年齢らしいナルカ。
 ハイティーンくらいの年齢である。
 表向きは強がっているが、内心は不安でいっぱいだろう。

 そこにチュートリアル空間である!
 まあ混乱するよな。

「ここは俺の能力である、チュートリアルができる空間だ。これで事前に起こることを予習して、対策を立てられる」

「能力……!? あんた、異世界召喚者なんだね……! セブンセンスでは、あんまり異世界召喚者を使わないんだよ。神を信じないやつばかり召喚されてね……」

 現代の地球から呼ばれれば、そういうのは多かろうな。
 俺もちょっと遅れて初詣行ったり、墓参りしたり、クリスマスにフライドチキンを貪り喰らう程度の信心だ。

「まあ、異世界召喚者というのはそんなに怖い存在でもないので、気にしなくていい」

「世界を揺るがすような力を持った人ばかりだと思いますが、当機能は何も言いません」

 セブンセンス法国の根幹を揺るがしたのは、ただ一人のチャーム能力者だもんな。
 確かにヤバいやつしかいないわ。

「ま、どうでもいい話だ。出てきたら倒せばいいのだ。セブンセンスには少ないそうだし、気にすることもないだろ。今は塀を乗り越えて侵入するのが優先だな」

 塀をコンコン叩く。
 おっ、ボワンっとなんか反発してきた。

「これが厄介なのさ。それぞれの担当地区で変わるけど、神力が流し込まれてるんだよ。不信心者は触れると弾かれて、異なる神を信じているとご覧の通り」

 ナルカが塀に触ろうとしたら、バチバチと静電気の凄いのが起こった。

「お陰で、ルサルカ教団は塀の中に入ることもできないのさ。アンデッドが無駄に潰されちまう」

「アンデッドは有限な資源だもんな」

 俺が知ってる創作物では、アンデッドは無限に生み出される雑兵みたいなイメージがあるんだが。
 所変われば常識も変わるものである。

「じゃあこれは、直接触れずにクリアしていくことにしよう。この塀そのものが侵入を阻むバリアとしての機能があるみたいだが……塀の上は?」

 石を投げた。
 それは、見えない光にバチッと弾かれてこっちに戻ってくる。

「街全体をバリアが覆ってる」

『俺様が砕こうか?』

 オクタゴンが顔を出した。
 ナルカがビクッとする。

「いや、オクタゴンがやると、もうそれは宗教戦争なのよ。規模がデカくなりすぎる。ここは穏便にやろう。ヘルプ機能。神の魔力の流れを見せてくれ」

「了解しました。ヘルプ機能が画像を展開します」

 アカネルがアカシックレコードに、俺の要請を仲介してくれる。
 目の前に、映像が出た。

「うわああ、空中に動く絵が!!」

 ナルカがめちゃくちゃ驚く。
 一つ一つのことに驚いてくれるなあ。リアクションが初々しくてとても新鮮だ。

「マスター。魔力の流れは左から右へ。そして上へ向かって頂点で下に戻ってきます。範囲はこう……。街の規模を考えると、おおよそ17%の塀と空をこの魔力が覆っている事になります」

「ありがとう。じゃ、つまり向こうの神様は六柱いるってことね。それぞれ分け合って守ってる。神の魔力同士がぶつかったら何かまずいことが起きるんだろう」

 俺の推測を聞いて、ナルカが頷いた。

「そうだよ。例え親しい神々でも、神力は別物なんだ。ましてや、他の魔法帝国の連中を締め出すための攻撃的な神力だよ。ぶつかり合ったら、そこで爆発が起こっちまう」

「おお、それは素晴らしい情報だな! これは攻略できただろ」

「もう!?」

 驚くナルカ。
 俺は彼女とアカネルを率いて、魔力の流れが切り替わるところへ向かう。
 つまり、他の神が担当している塀の位置だ。

 一見すると同じ塀。
 だが、よく見ると……。
 塀と塀の間に僅かに色が違うつなぎ目がある。

「ここが隙間だ。ここから乗り越えていける」

 俺は塀に足をかけると、すいすいっと登った。
 うーん、度重なるチュートリアルで身体能力が磨き上げられていっている。
 アスリートみたいに体が動くぞ。

「マ、マスター! 当機能には無理です!!」

「あ、ごめんごめん。アカネルは一般人並なんだった。小さくなってくれ」

 俺は戻って、小型化したアカネルを胸元に入れた。
 デフォルメちびアカネルが、顔だけちょこんと出す形になる。

「うわあーっ、ひ、人が小さくなったよ! 魔法かい!?」

「魔法のような、そうでないような。詳しく説明するほどナルカは混乱するだろう」

 俺は説明をそれだけに留めて、再び塀の隙間へ。
 ここ、体を横にすれば入れる程度の隙間が空いているな。
 ルミイだったら危なかった。

 あれ?
 ナルカも胸と尻がでかいから危ないぞ。

「ちょっと待ってろナルカ。神の魔力の流れをこうやって歪めてだな」

 塀の構造材を壊して、左右の塀に積み上げるのだ。
 つなぎになっていた塀は、どういうことか神の魔力の断絶効果があるようなのだった。

 積み上げてみたら、魔力がそこにそって流れを変える。
 ナルカも通れるくらいの隙間が空いた。

「これならいけるか? ナルカ、通ってみてくれ」

「あ、ああ! ……いけた! 何もないよ!? あたい、念のためにルサルカ様の神力の鎧を纏ったっていうのに!」

「つまりここが、神の魔力が途切れる隙間ってことだ。しかも物理的に広げられる。じゃあ現実に戻ろうか」

 チュートリアルモードが終わる。
 すると、また細やかな解像度で描かれる現実の世界だ。

 ナルカはきょとんとしていた。
 混乱するだろうが、いちいち考えていたら生き残れないぞ。

「ここはそういうものだと理解して動こうじゃない。落ち着いたら説明するから」

「あ、ああ! 分かったよ!」

「マスター、物わかりがいい人には優しいですよね」

「会話が通じるからな」

 かくして、俺たちはチュートリアル通りに神の魔力の隙間をくぐり、悠々と街へ侵入を果たしたのである。
 もちろん、断絶効果のある塀はもとに戻しておいたよ。
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