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セブンセンス法国編
第110話 分析・戦神領域・大嘘吐き
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降り立ったセブンセンスの街の中。
ここはどの神様の領域かな?
「戦神レクシオンの領域だね。見てごらん。あちこちに修練場があるだろう? ここの信者どもは強くて厄介なんだ」
ナルカが周囲を指し示し、顔をしかめる。
なるほど、あちこちから立ち木を棒で叩く音が聞こえてくる。
そして掛け声。
「ほうほう、ここはつまり、みんな道場に通ってるわけね。魔法帝国時代だったのにこの姿ということは、あまり魔法を使わない?」
「セブンセンスそのものがあまり魔法を使わないのさ。神のご加護があるからね。信仰が篤く、神の寵愛を得られるほど強い力を振るえるもの。お陰で、神の奇跡を使える人間の数が多くて、他の帝国とやり合うことができたのさ。ただ、全く魔法を使わないわけじゃない。奇跡を使えないやつは、魔法に頼るしか無いってわけだよ」
生まれつきの魔力の有無に関係なく、神の寵愛を受けられれば使える神聖魔法。
なるほど、こりゃあ強い。
シクスゼクスが内部から崩そうとするわけだ。
大方、内戦でまとまりを失ったセブンセンスを、さらに内側から取り込むつもりだったんだろうな。
俺は、まだセブンセンス内部にシクスゼクスの間者が混じってて、さらなる内戦を呼び込んでいると見ている。
「ルサルカ教団とのやり合い以外にも内戦があるだろうな」
俺が口にしたら、ナルカが変な顔をした。
「何を言ってるんだい? うちと他の奴らとの争いは昔からさ。内戦ってのは、この塀の中で行われてるんだよ」
「なんだって」
とんでもない話を聞いた気がする。
「つまりここの人たちは」
アカネルが推測を口にする。
「わざわざ敵が入ってこれないように塀で自分たちを囲って、その中で逃げ場のない争いをしてるっていうことですか! 信じられない!」
「そうさ、その通りなのさ。バカなんだよ」
ナルカ、怒っていらっしゃる。
念のためにヘルプ機能にも確認した。
『六大教団のうち、四つが争いを続けています。光輝神アクシス、戦神レクシオン、知識神イクシャード、技巧神イサルデ。それぞれに聖女を有します。アクシスの現聖女であるアリスティアが神を下ろすための代表に選ばれていました。セブンセンスにおいて、神を下ろすことができる存在は次の法皇となる存在です』
「ははあ、つまりセブンセンスの法皇は代々が元聖女なんだな」
『その通りです。アリスティアは異世界召喚者タクルの手に掛かり、聖女としての資格を失ったという扱いになりました。その後、それぞれの教団にシクスゼクスの間者が入り込み、聖女を祀り上げて闘争を起こしています』
「ろくでもないことになってる。他の二つの教団は平和なの?」
『慈愛神リサルナの聖女は、前法皇で隠居しています。聖女の資格を持つ者は一時代につき、一つの教団に一人しかいません。鍛冶神ゼクシーンの聖女は鍛冶で忙しいので内戦はキャンセルしています』
「男らしいのがいたぞ。まあ、俺らもこの都市の内部に影響を及ぼせるようにするため、邪神のパワーで侵略するんだけどな。なあオクタゴン」
『俺様、ここに出てくると一瞬で感知されて宗教大戦争始まるから自重しておくぞ。なんとか頑張ってくれ、朋友』
そう言う話になったようだった。
さて、どうしたものか。
まずは各宗派を見て回ろう。
戦神の領域に降り立ったんだから、道場やらを冷やかして行くのだ。
バシバシと音がする。
立ち木がしなっている。
若者たちが叫びながら、木刀やら槍を模した棒やらで立ち木を殴る。
かと思えば、向こうでは神聖魔法の練習をしている。
衝撃波で敵を吹き飛ばすやつか。
ひたすらそればっかりだ。
「戦神の魔法のレパートリーって少ない?」
「ヘルプ機能によると、傷や毒からの回復と、戦闘力向上と、直接攻撃の三種類の神聖魔法しか無いそうです」
「シンプル!」
真正面から会敵してぶっ倒すのに特化してるわけだな。
これはルサルカ教団も苦戦するだろう。
融通が効かない強力な相手というのは厄介なのだ。
俺たちがじーっと練習を見ていたら、こちらに気づいた若い連中が近づいてきた。
「おいお前たち! 見たことのない風体だな。他の教団からの間者だな!!」
「いかにも、俺は技巧神の信者だ」
「あっ、マスターがさらりと嘘を!! しかも後々ややこしくなりそうなやつです!」
「ここでちょっと争いを起こしておいた方が動きやすくなるだろう」
俺は技巧神の信者でございます、という顔をして修練場らしきところに踏み入った。
若いのたちがざわつく。
「戦神の信者の力がどれほどのものかと思ってな。なに、聖印を持ってないじゃないかだと? このペンダントが最新式の技巧神の聖印だ。魔力の星が落ちた以上、いつまでも内戦はやってられんからな。ここで技巧神様の加護を得たこの俺がセブンセンスを平定してやろうと……なに、聖女じゃないのにだと? そこは技巧でなんとかするのが技巧神だ」
ナルカがポカーンとしている。
「マスター、とんでもないでしょ。ああやってゴリ押しで意見をねじ込むんです。相手に考える隙を与えないで、自分のペースに巻き込むんだそうです」
「狂人か、それとも恐るべき戦巧者か……。凄い男だねえ……。で、戦神の信者たちを煽って、自分が標的になるとは考えてないのかい? あいつらは強いよ。生半可な力じゃ対抗もできない……」
「多分、一人で全員ねじ伏せるつもりじゃないでしょうか」
アカネル、正解だ。
「チュートリアル」
俺はチュートリアル空間に一人で飛び込む。
ここで、戦神の信者たちとのバトルトレーニングをやった。
確かに強い。
だが若いので、攻撃がまっすぐである。
全員足しても、バルクには及ばないし、下手をするとガガンより弱い。
つまり楽勝である。
俺は戻ってきた。
「あ、マスターの足元がずれました。戻ってきたみたいです」
「戻ったって、さっきの空間からかい?」
「はい。見てて下さい。マスター、勝ちますよ」
「勝つ……? まだ始まってもいないのに?」
ナルカの疑問は当然である。
なので、見ていてもらおうじゃないか。
戦いは、始まった瞬間にもう勝敗が決まっているのだから。
ここはどの神様の領域かな?
「戦神レクシオンの領域だね。見てごらん。あちこちに修練場があるだろう? ここの信者どもは強くて厄介なんだ」
ナルカが周囲を指し示し、顔をしかめる。
なるほど、あちこちから立ち木を棒で叩く音が聞こえてくる。
そして掛け声。
「ほうほう、ここはつまり、みんな道場に通ってるわけね。魔法帝国時代だったのにこの姿ということは、あまり魔法を使わない?」
「セブンセンスそのものがあまり魔法を使わないのさ。神のご加護があるからね。信仰が篤く、神の寵愛を得られるほど強い力を振るえるもの。お陰で、神の奇跡を使える人間の数が多くて、他の帝国とやり合うことができたのさ。ただ、全く魔法を使わないわけじゃない。奇跡を使えないやつは、魔法に頼るしか無いってわけだよ」
生まれつきの魔力の有無に関係なく、神の寵愛を受けられれば使える神聖魔法。
なるほど、こりゃあ強い。
シクスゼクスが内部から崩そうとするわけだ。
大方、内戦でまとまりを失ったセブンセンスを、さらに内側から取り込むつもりだったんだろうな。
俺は、まだセブンセンス内部にシクスゼクスの間者が混じってて、さらなる内戦を呼び込んでいると見ている。
「ルサルカ教団とのやり合い以外にも内戦があるだろうな」
俺が口にしたら、ナルカが変な顔をした。
「何を言ってるんだい? うちと他の奴らとの争いは昔からさ。内戦ってのは、この塀の中で行われてるんだよ」
「なんだって」
とんでもない話を聞いた気がする。
「つまりここの人たちは」
アカネルが推測を口にする。
「わざわざ敵が入ってこれないように塀で自分たちを囲って、その中で逃げ場のない争いをしてるっていうことですか! 信じられない!」
「そうさ、その通りなのさ。バカなんだよ」
ナルカ、怒っていらっしゃる。
念のためにヘルプ機能にも確認した。
『六大教団のうち、四つが争いを続けています。光輝神アクシス、戦神レクシオン、知識神イクシャード、技巧神イサルデ。それぞれに聖女を有します。アクシスの現聖女であるアリスティアが神を下ろすための代表に選ばれていました。セブンセンスにおいて、神を下ろすことができる存在は次の法皇となる存在です』
「ははあ、つまりセブンセンスの法皇は代々が元聖女なんだな」
『その通りです。アリスティアは異世界召喚者タクルの手に掛かり、聖女としての資格を失ったという扱いになりました。その後、それぞれの教団にシクスゼクスの間者が入り込み、聖女を祀り上げて闘争を起こしています』
「ろくでもないことになってる。他の二つの教団は平和なの?」
『慈愛神リサルナの聖女は、前法皇で隠居しています。聖女の資格を持つ者は一時代につき、一つの教団に一人しかいません。鍛冶神ゼクシーンの聖女は鍛冶で忙しいので内戦はキャンセルしています』
「男らしいのがいたぞ。まあ、俺らもこの都市の内部に影響を及ぼせるようにするため、邪神のパワーで侵略するんだけどな。なあオクタゴン」
『俺様、ここに出てくると一瞬で感知されて宗教大戦争始まるから自重しておくぞ。なんとか頑張ってくれ、朋友』
そう言う話になったようだった。
さて、どうしたものか。
まずは各宗派を見て回ろう。
戦神の領域に降り立ったんだから、道場やらを冷やかして行くのだ。
バシバシと音がする。
立ち木がしなっている。
若者たちが叫びながら、木刀やら槍を模した棒やらで立ち木を殴る。
かと思えば、向こうでは神聖魔法の練習をしている。
衝撃波で敵を吹き飛ばすやつか。
ひたすらそればっかりだ。
「戦神の魔法のレパートリーって少ない?」
「ヘルプ機能によると、傷や毒からの回復と、戦闘力向上と、直接攻撃の三種類の神聖魔法しか無いそうです」
「シンプル!」
真正面から会敵してぶっ倒すのに特化してるわけだな。
これはルサルカ教団も苦戦するだろう。
融通が効かない強力な相手というのは厄介なのだ。
俺たちがじーっと練習を見ていたら、こちらに気づいた若い連中が近づいてきた。
「おいお前たち! 見たことのない風体だな。他の教団からの間者だな!!」
「いかにも、俺は技巧神の信者だ」
「あっ、マスターがさらりと嘘を!! しかも後々ややこしくなりそうなやつです!」
「ここでちょっと争いを起こしておいた方が動きやすくなるだろう」
俺は技巧神の信者でございます、という顔をして修練場らしきところに踏み入った。
若いのたちがざわつく。
「戦神の信者の力がどれほどのものかと思ってな。なに、聖印を持ってないじゃないかだと? このペンダントが最新式の技巧神の聖印だ。魔力の星が落ちた以上、いつまでも内戦はやってられんからな。ここで技巧神様の加護を得たこの俺がセブンセンスを平定してやろうと……なに、聖女じゃないのにだと? そこは技巧でなんとかするのが技巧神だ」
ナルカがポカーンとしている。
「マスター、とんでもないでしょ。ああやってゴリ押しで意見をねじ込むんです。相手に考える隙を与えないで、自分のペースに巻き込むんだそうです」
「狂人か、それとも恐るべき戦巧者か……。凄い男だねえ……。で、戦神の信者たちを煽って、自分が標的になるとは考えてないのかい? あいつらは強いよ。生半可な力じゃ対抗もできない……」
「多分、一人で全員ねじ伏せるつもりじゃないでしょうか」
アカネル、正解だ。
「チュートリアル」
俺はチュートリアル空間に一人で飛び込む。
ここで、戦神の信者たちとのバトルトレーニングをやった。
確かに強い。
だが若いので、攻撃がまっすぐである。
全員足しても、バルクには及ばないし、下手をするとガガンより弱い。
つまり楽勝である。
俺は戻ってきた。
「あ、マスターの足元がずれました。戻ってきたみたいです」
「戻ったって、さっきの空間からかい?」
「はい。見てて下さい。マスター、勝ちますよ」
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