187 / 196
終章・始まりの王編
第187話 宇宙で隕石で帰還
しおりを挟む
エーテル宇宙の海を、尻移動でまったり行っていたのだが、さて引力が俺を引き寄せ始めたなと思った頃合いで考える。
どうやって軟着陸したものか……。
せめて、何か乗るものがあれば、それで大気圏をサーフィンしながら突破できるのだが。
考え込んでいると、猛烈な勢いで飛んでくるものがあった。
なんだ。
隕石か。
ヘルプ機能を展開すると、すぐに答えが飛び出してきた。
『魔導王が使用した隕石魔法、メテオストライクです。コンボの達人との戦いで、苦し紛れに使用しました』
「ほうほう。じゃあまだ魔導王は生きてるのか」
『死にました』
「ありゃー」
コンボの達人も、こっちの世界の魔導王をボコって倒したらしい。
その魔導王の最後っ屁がメテオストライクということだな。
だが、こいつは好都合である。
俺は尻移動して、メテオストライクに接近する。
そこでチュートリアルを行い、飛び乗る練習をした。
いけるいける。
メテオストライク通過の瞬間、俺はスパッと跳び移ったのである。
隕石が加熱する辺りは、その先端。
大気と摩擦するところが壊れていくのだが、このメテオは大きいのでそれくらいではびくともしない。
このままでは、異世界パルメディアにも大打撃を与えてしまうだろう。
それは困るので、俺は落下しながら隕石をサクサク削ることにした。
「しっかし、元の世界は真空だったから隕石は加速するんだろうが、こっちはエーテルがみっちり詰まってるじゃん。なんで加速できるの?」
『エーテルは魔法的なものに対しては、潤滑油のような効果を発揮し、加速させます』
「あっ、つるって滑るのね! つまりこれ、ツルツルと押し出されてきた隕石なのか!」
生牡蠣みたいなもんか。なるほどなあ。
隕石のウィークポイントを、ネクタイブレードでカンカン叩きながら調べ物をする俺。
この世界の構造なんかもよく分かってきたぞ。
エーテル宇宙は海みたいなもので、エーテルの中に星がたくさん浮かんでいる。
パルメディアもその一つってわけだ。
もしかすると、ここみたいに文明の発生した星が幾つもあるのかもしれない。
例えば、隕石みたいに飛来してくる来訪者だっているだろう。
いやあ、夢が膨らむなあ。
そう思いながら、隕石をぶっ叩いた。
一部がパコッと欠けて、外に飛び出していく。
そして摩擦熱ですぐに燃え尽きた。
これを繰り返しながら、隕石を小さく小さくしていくのだ。
地面に着弾するまでは猶予がない。
急げ急げ。
ガンガンぶっ叩きまくって、どんどん隕石を縮小する。
ついに、こぶりなコンパクトカーサイズまで縮めることに成功した。
これで落下だ。
おお、見えてくるのは魔導王の天空城。
俺は帰ってきたぞ。
隕石の見た目も、横に広くしてるから空気抵抗で落下がまあまあ遅くなっている……気がする。
「ヘルプ機能、アカネルへ連絡できる?」
『連絡可能です。連絡をしますか?』
「よし、やってくれ。ルミイに、すげえ風を起こせと伝えるんだ」
連絡は迅速に行われたようだ。
次の瞬間、猛烈な旋風が巻き起こり、隕石を空中で停止させたのだ。
ゆっくりと、隕石は天空城へ近づいていく。
歩くくらいの速度だ。
そして着地。
「帰ってきたぞ!」
降り立った俺は堂々と宣言した。
すると、むちむちしたものがドカーンとぶつかってきた。
「ウグワーッ!!」
「んもー!! マナビさん心配したんですからね! でも、無事で戻ってきて良かったー!」
ルミイである。
「うん、どうしたことかと思ったが、魔導王が最後っ屁でパルメディアを滅ぼすために隕石を召喚しててな。お陰で助かった」
「当機能としては世界を滅ぼすメテオストライクでマスターが助かった、という話、繋がりが明らかにおかしくて意味不明なのですが。ヘルプ機能の記録を参照しますと、確かにそうとしか言いようがありません」
アカネルは心配半分、呆れ半分だ。
カオルンは、ルミイに先を越されたーという顔をしていたが、すぐに気を取り直して飛び込んできた。
「カオルンも抱きつくのだ!」
「ウグワー!」
「あひー!」
突進を食らって、俺たちはゴロゴロ転げる。
これを、ナルカが駆け寄ってキャッチした。
「まあまあ、良かったじゃないかい。悪い魔導王は倒されて、マナビも無事で戻ってきて。だけど、本当に凄い勢いで解決しちまったねえ……。あたいはびっくりしたよ……」
「そうだろうそうだろう。相手が体勢を立て直す前に一気呵成に攻めて終わらせたんだ。これで世界は平和だぞ」
平和なままだとよろしくないから、色々画策するけどな。
俺は既に、今後の事を考えて頭脳をフル回転させているのだった。
だが、一般的にはこれで魔導王との戦いも終わり、世界は人間たちの手に取り戻されたのである。
魔力の星があった時代そのものが、魔導王の手のひらの上だったわけだからな。
これからは自分たちの力で未来を切り開いて行かねばならないのだ。
そして、俺がやろうとしている事も、ある意味前代未聞の行為なので……。
「誰に話して、誰に協力してもらうかだが……。まずはアカネルかなあ……」
ことの終わりを喜んでいる暇など全然ないのであった。
どうやって軟着陸したものか……。
せめて、何か乗るものがあれば、それで大気圏をサーフィンしながら突破できるのだが。
考え込んでいると、猛烈な勢いで飛んでくるものがあった。
なんだ。
隕石か。
ヘルプ機能を展開すると、すぐに答えが飛び出してきた。
『魔導王が使用した隕石魔法、メテオストライクです。コンボの達人との戦いで、苦し紛れに使用しました』
「ほうほう。じゃあまだ魔導王は生きてるのか」
『死にました』
「ありゃー」
コンボの達人も、こっちの世界の魔導王をボコって倒したらしい。
その魔導王の最後っ屁がメテオストライクということだな。
だが、こいつは好都合である。
俺は尻移動して、メテオストライクに接近する。
そこでチュートリアルを行い、飛び乗る練習をした。
いけるいける。
メテオストライク通過の瞬間、俺はスパッと跳び移ったのである。
隕石が加熱する辺りは、その先端。
大気と摩擦するところが壊れていくのだが、このメテオは大きいのでそれくらいではびくともしない。
このままでは、異世界パルメディアにも大打撃を与えてしまうだろう。
それは困るので、俺は落下しながら隕石をサクサク削ることにした。
「しっかし、元の世界は真空だったから隕石は加速するんだろうが、こっちはエーテルがみっちり詰まってるじゃん。なんで加速できるの?」
『エーテルは魔法的なものに対しては、潤滑油のような効果を発揮し、加速させます』
「あっ、つるって滑るのね! つまりこれ、ツルツルと押し出されてきた隕石なのか!」
生牡蠣みたいなもんか。なるほどなあ。
隕石のウィークポイントを、ネクタイブレードでカンカン叩きながら調べ物をする俺。
この世界の構造なんかもよく分かってきたぞ。
エーテル宇宙は海みたいなもので、エーテルの中に星がたくさん浮かんでいる。
パルメディアもその一つってわけだ。
もしかすると、ここみたいに文明の発生した星が幾つもあるのかもしれない。
例えば、隕石みたいに飛来してくる来訪者だっているだろう。
いやあ、夢が膨らむなあ。
そう思いながら、隕石をぶっ叩いた。
一部がパコッと欠けて、外に飛び出していく。
そして摩擦熱ですぐに燃え尽きた。
これを繰り返しながら、隕石を小さく小さくしていくのだ。
地面に着弾するまでは猶予がない。
急げ急げ。
ガンガンぶっ叩きまくって、どんどん隕石を縮小する。
ついに、こぶりなコンパクトカーサイズまで縮めることに成功した。
これで落下だ。
おお、見えてくるのは魔導王の天空城。
俺は帰ってきたぞ。
隕石の見た目も、横に広くしてるから空気抵抗で落下がまあまあ遅くなっている……気がする。
「ヘルプ機能、アカネルへ連絡できる?」
『連絡可能です。連絡をしますか?』
「よし、やってくれ。ルミイに、すげえ風を起こせと伝えるんだ」
連絡は迅速に行われたようだ。
次の瞬間、猛烈な旋風が巻き起こり、隕石を空中で停止させたのだ。
ゆっくりと、隕石は天空城へ近づいていく。
歩くくらいの速度だ。
そして着地。
「帰ってきたぞ!」
降り立った俺は堂々と宣言した。
すると、むちむちしたものがドカーンとぶつかってきた。
「ウグワーッ!!」
「んもー!! マナビさん心配したんですからね! でも、無事で戻ってきて良かったー!」
ルミイである。
「うん、どうしたことかと思ったが、魔導王が最後っ屁でパルメディアを滅ぼすために隕石を召喚しててな。お陰で助かった」
「当機能としては世界を滅ぼすメテオストライクでマスターが助かった、という話、繋がりが明らかにおかしくて意味不明なのですが。ヘルプ機能の記録を参照しますと、確かにそうとしか言いようがありません」
アカネルは心配半分、呆れ半分だ。
カオルンは、ルミイに先を越されたーという顔をしていたが、すぐに気を取り直して飛び込んできた。
「カオルンも抱きつくのだ!」
「ウグワー!」
「あひー!」
突進を食らって、俺たちはゴロゴロ転げる。
これを、ナルカが駆け寄ってキャッチした。
「まあまあ、良かったじゃないかい。悪い魔導王は倒されて、マナビも無事で戻ってきて。だけど、本当に凄い勢いで解決しちまったねえ……。あたいはびっくりしたよ……」
「そうだろうそうだろう。相手が体勢を立て直す前に一気呵成に攻めて終わらせたんだ。これで世界は平和だぞ」
平和なままだとよろしくないから、色々画策するけどな。
俺は既に、今後の事を考えて頭脳をフル回転させているのだった。
だが、一般的にはこれで魔導王との戦いも終わり、世界は人間たちの手に取り戻されたのである。
魔力の星があった時代そのものが、魔導王の手のひらの上だったわけだからな。
これからは自分たちの力で未来を切り開いて行かねばならないのだ。
そして、俺がやろうとしている事も、ある意味前代未聞の行為なので……。
「誰に話して、誰に協力してもらうかだが……。まずはアカネルかなあ……」
ことの終わりを喜んでいる暇など全然ないのであった。
0
あなたにおすすめの小説
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
剣の母は十一歳。求む英傑。うちの子(剣)いりませんか?ただいまお相手募集中です!
月芝
ファンタジー
国の端っこのきわきわにある辺境の里にて。
不自由なりにも快適にすみっこ暮らしをしていたチヨコ。
いずれは都会に出て……なんてことはまるで考えておらず、
実家の畑と趣味の園芸の二刀流で、第一次産業の星を目指す所存。
父母妹、クセの強い里の仲間たち、その他いろいろ。
ちょっぴり変わった環境に囲まれて、すくすく育ち迎えた十一歳。
森で行き倒れの老人を助けたら、なぜだか剣の母に任命されちゃった!!
って、剣の母って何?
世に邪悪があふれ災いがはびこるとき、地上へと神がつかわす天剣(アマノツルギ)。
それを産み出す母体に選ばれてしまった少女。
役に立ちそうで微妙なチカラを授かるも、使命を果たさないと恐ろしい呪いが……。
うかうかしていたら、あっという間に灰色の青春が過ぎて、
孤高の人生の果てに、寂しい老後が待っている。
なんてこったい!
チヨコの明日はどっちだ!
【完結】腹ペコ貴族のスキルは「種」でした
シマセイ
ファンタジー
スキルが全てを決める世界。
下級貴族の少年アレンが授かったのは、植物の種しか生み出せない、役立たずの『種』スキルだった。
『種クズ』と周りから嘲笑されても、超がつくほど呑気で食いしん坊なアレンはどこ吹く風。
今日もスキルで出した木の実をおやつに、マイペースな学院生活を送る。
これは、誰もがクズスキルと笑うその力に、世界の常識を覆すほどの秘密が隠されているとは露ほども知らない、一人の少年が繰り広げる面白おかしい学院ファンタジー!
ざまぁされた馬鹿勇者様に転生してしまいましたが、国外追放後、ある事情を抱える女性たちの救世主となっていました。
越路遼介
ファンタジー
65歳で消防士を定年退職した高野健司、彼は『ざまぁ』系のネット小説を好み、特に『不細工で太っている補助魔法士の華麗な成り上がり』と云う作品を愛読していた。主人公アランの痛快な逆転劇、哀れ『ざまぁ』された元勇者のグレンは絶望のあまり…。そして、85歳で天寿を全うした健司は…死後知らない世界へと。やがて自身が、あのグレンとなっていることに気付いた。国外追放を受けている彼は名を変えて、違う大陸を目指して旅立ち、最初に寄った国の冒険者ギルドにて女性職員から「貴方に、ある事情を抱えている女性たちの救世主になってもらいたいのです」という依頼を受けるのであった。そして、そのある事情こそ、消防士である高野健司が唯一現場で泣いた事案そのものだったのである。
長女は家族を養いたい! ~凍死から始まるお仕事冒険記~
灰色サレナ
ファンタジー
とある片田舎で貧困の末に殺された3きょうだい。
その3人が目覚めた先は日本語が通じてしまうのに魔物はいるわ魔法はあるわのファンタジー世界……そこで出会った首が取れるおねーさん事、アンドロイドのエキドナ・アルカーノと共に大陸で一番大きい鍛冶国家ウェイランドへ向かう。
魔物が生息する世界で生き抜こうと弥生は真司と文香を護るためギルドへと就職、エキドナもまた家族を探すという目的のために弥生と生活を共にしていた。
首尾よく仕事と家、仲間を得た弥生は別世界での生活に慣れていく、そんな中ウェイランド王城での見学イベントで不思議な男性に狙われてしまう。
訳も分からぬまま再び死ぬかと思われた時、新たな来訪者『神楽洞爺』に命を救われた。
そしてひょんなことからこの世界に実の両親が生存していることを知り、弥生は妹と弟を守りつつ、生活向上に全力で遊んでみたり、合流するために路銀稼ぎや体力づくり、なし崩し的に侵略者の撃退に奮闘する。
座敷童や女郎蜘蛛、古代の優しき竜。
全ての家族と仲間が集まる時、物語の始まりである弥生が選んだ道がこの世界の始まりでもあった。
ほのぼののんびり、時たまハードな弥生の家族探しの物語
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
勇者パーティーを追い出された大魔法導士、辺境の地でスローライフを満喫します ~特Aランクの最強魔法使い~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
クロード・ディスタンスは最強の魔法使い。しかしある日勇者パーティーを追放されてしまう。
勇者パーティーの一員として魔王退治をしてくると大口叩いて故郷を出てきた手前帰ることも出来ない俺は自分のことを誰も知らない辺境の地でひっそりと生きていくことを決めたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる